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ネブライザー適用製剤-アレルギー性鼻炎

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:薬物療法・アレルギー性鼻炎・ネブライザー・抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬・副腎皮質ホルモン剤

Q:アレルギー性鼻炎の適応があり、ネブライザーによる適用が認められている製剤としてどの様な製剤があるか

A:現段階で、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬に分類される製剤中に『ネブライザー』の適用が承認されている薬物は存在しない。

『アレルギー性鼻炎』に適応があり『ネブライザー』の適用が承認されている薬物は、副腎皮質ホルモン剤及びその配合剤である。なお、使用の詳細については、添付文書を参照すること。

一般名・商品名(会社名) ネブライザーによる 用法・用量
betamethasone sodium phosphate

リンデロン注(塩野義)

リンデロン液0.1%(塩野義)

1回0.1-2mg—-1日1-3回

1日1-数回

betamethasone sodium phosphate・fradiomycin sulfate

耳科用リンデロンA液(塩野義)

1日1-数回
dexamethasone sodium phosphate

デカドロン注射液(万有)

オルガドロン点耳溶液0.1%(三共)

1回0.1-2mg——–1日1-3回

——1日1-数回

hydrocortisone sodium succinate

ソル・コーテフ注(住友-ファイザー)

1回10-15mg—-1日 1-3回
methylprednisolone acetate

デポ・メドロール注(ファイザー)

1回 2-10mg—–1日1-3回
prednisolone sodium succinate

水溶性プレドニン注(塩野義)

1回 2-10mg——1日1-3回
triamcinolone acetonide

ケナコルト-A(ブリストル)

1回 2-10mg—–1日1-3回

[035.1. NEB:2004.1.20.古泉秀夫]


  1. 日本医薬品集CD-ROM 1版,2002
  2. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2003

ニンニクと薬剤の相互作用について

日曜日, 8月 12th, 2007

Q:「ニンニクの生の食用は薬の効果に影響するか」の質問が外来窓口でされたが、何か資料はあるか

A:ニンニクはユリ科に属するオオニンニク(AlliumsativumL, vor.pekinenseF.Maekawa)を主とする多年草の鱗茎で、通例食用として栽培される。通常、健胃、発汗、利尿、去痰、整腸、殺菌、駆虫等の効果があり広く食用又は薬用として用いられる。

本来無臭のアリインといわれる成分を含むが、共存する酵素アリナーゼによって分解し、刺激性の強い悪臭あるアリチンを生成する。

この成分はビタミンB1と結合(アリサイアミン生成)することにより、ビタミンB1を一層強化する作用が認められている。

ビタミンB1を吸収しやすく、更に比較的貯留しやすくするほか、各種の薬効が期待される。尚、ニンニクの薬効はその悪臭ある成分によるから無臭としては意味がなくなる。

仮に凍結乾燥して粉末化したものが無臭であるとしても、酵素が死滅しない限り、その作用により経口投与後容易に分解してアクチンを生成し、呼気・汗及び排尿等により悪臭を発散するから、生理作用があることが確認できる。

反対に経口投与後も無臭で、呼気、排尿に異臭を発散しないとすれば、薬効は期待し得ない。

ニンニクの含硫黄有機化合物(研究者による)は類脂質溶解性の溶血毒とされ、家兎には少量で赤血球の増加をまねき、大量では著しい貧血を起こすという。

血色素量は、赤血球の増減にやや遅れて増減し、少量の皮下投与では白血球の増加を来たし、適量は幼若家兎の体色増加に好影響を与えるという報告がある[白沢玄章:日本消化器病学会雑誌,38:490(1939)]ので、貧血性患者にはニンニク末は投与しない方が安全であろう。

東邦大学医学部第一内科の山口了三助手は、野菜類の抗血栓作用について検討した結果、ニンニク、シシトウ、ホウレンソウ、カブ、アスパラガス、セロリ、トマト、ネギ等に、果物ではメロン類、イチゴ、八朔、西瓜、パパイア、マンゴー、甘夏等に強い抗血栓作用があることを確認した[東京新聞,1990.7.25]。

私立協立病院皮膚科(徳島)の菊池誠らの研究グループは、ニンニク成分とビタミンB1を含んだ入浴剤が、アトピー性皮膚炎を緩和させることを第1回四国ぜんそくアレルギー研究会で発表した。現在ニンニク成分中の何が有効なのか不明とされているが、ニンニク成分とビタミンB1が皮膚から吸収されていることは実証されており、ニンニク中の何かの有効成分が皮膚下の血管から吸収され、血行をよくし、効果を上げているのではないかと推定されている。尚、使用した入浴剤は富士産業(香川県丸亀市飼料添加物製造会社)が魚の餌に混ぜて使う栄養剤として開発のもの[朝日新聞, 1989.9.27(夕刊)]。

活性強
(50%以上)
やや活性強い
(50-30%)
僅かに活性
(30-10%)
活性無
(10%以下)
ニンニク

シシトウ

サヤインゲン

ホウレンソウ

玉葱

アスパラガス

セロリ

アシタバ

パセリ

トマト

ネギ

シソ

メロン

パッションフルーツ

春菊

大根菜

カイワレダイコン

ワケギ

アサツキ

二十日大根

人参

チンゲンサイ

ピーマン

イチゴ

アボガド

グレープフルーツ

フェイジョア

甘夏

モヤシ

大根

三つ葉

南瓜

サラダ菜

ブロッコリー

サヤ豌豆

グリンピース

レモン

パパイア

西瓜

りんご(ふじ)

オレンジ

レタス

胡瓜

カリフラワー

小松菜

牛蒡

生姜

茄子

白菜

蓮根

キャベツ

チェリー

蜜柑

枇杷

梨(幸水)

[読売新聞,1990.9.19]

大蒜(ニンニク)

新鮮な鱗茎100gに、水分70g、蛋白質4.4g、脂肪0.2g、炭水化物23g、粗繊維 0.7g、灰分1.3g、カルシウム5mg、リン44mg、鉄0.4mg、ビタミンB10.24mg、ビタミンB20.03mg、ニコチン酸0.9mg、ビタミンC3mgが含まれている。大蒜は精油約0.2%を含み、辛辣の味と特異な臭いがあり、アリシン及び他種のアリル基“プロピル基”メチル基を持った硫黄化合物を含んでいる。この他精油にはシトラール、ゲラニオール、リナロール、α-フェランドレン、β-フランドレン、プロピオンアルデヒド、パレルアルデヒド等も含まれる。

アリシンには殺菌作用があるが、新鮮な大蒜の中には存在しない。スリシンは大蒜に含まれているアリイン(S-アリル -L-システイン-スルフォキシド)がアリイナーゼの作用で加水分解されて生ずる。アリシンの溶液に熱を加えると殺菌等の作用はすぐに消える。アルカリを加えても効果を失うが稀酸では影響を受けない。このアリインの他に大蒜の中にもう一種類のアリインであるS-メチル-L-システイン-スルフオキシド、アリシンとビタミンB1が反応し生ずるアリチアミン、多種のγ-グルタミン酸のペプチド等が含まれている。

  • 抗菌作用:抗菌性の物質を含む高等植物のうち最も効力の大きいのが大蒜と洋葱である。大蒜中の植物殺菌素はアリシンである。大蒜の粗製剤又は大蒜そのものは早くから臨床に応用されており、数種の細菌や真菌及び原虫の感染に対して十分な治療と予防の価値が証明されている。
    大蒜油から分離された大蒜素(既に人工的に合成)は熱に対して安定性がある。
    invitroでCandidaalbicns等の真菌、緑膿菌、黄色葡萄球菌等のいずれに対してもかなり良好な抑制作用があり(有効濃度5μg/ml)、非溶血性で全体の毒性が低いので、点滴静注により比較的優れ多臨床効果がある。
    その他乳腺腫瘍の発生抑制、心拍を遅くさせ、心臓の収縮力を増加して末梢血管を拡張し、利尿を増加する等の作用が報告されている。

以上の報告からビタミンB1剤との服用中に大蒜を摂取すれば、ビタミンB1の有効利用が考えられるが、ワーファリン服用患者では大量の摂取は要注意、エイコサペンタエン酸製剤であるイコサペント酸エチル(エパデールカプセル)服用患者では作用増強の可能性があり大量の摂取は要注意ということがいえる。

[510.FD14.015.21ALL][1991.2.23.・1999.3.25.一部修正.古泉秀夫]


  1. 木村雄四郎:朝鮮人参及びにんにくの薬効;質疑応答第2集;日本医事新報社,1978,p.271
  2. 木村雄四郎:乾燥ニンニク末の薬効;質疑応答第2集;日本医事新報社,1978,p.366
  3. 木村雄四郎:貧血性患者に対するニンニク末投与の是非;質疑応答第2集;日本医事新報社,1978,p.492
  4. 上海科学技術出版・編:中薬大辞典第三巻;小学館,1985
  5. 古泉秀夫:魚類と薬剤;臨床と薬物治療,10(1):23-26(1991)
  6. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.29,1991.2.27.より転載

乳幼児の蜂蜜摂食の是非について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:中毒・毒性・蜂蜜・ハチミツ・ボツリヌス菌・乳幼児・厚生省通知・厚生労働省通知

Q:ボツリヌス菌に汚染された蜂蜜により中毒症状が発現したとの報告を以前見たが、乳幼児に蜂蜜を投与することの是非について

A:ボツリヌス症(botulism)は、ラテン語のソーセージ(botulus )に由来する名称で、ヨーロッパでは食中毒の一つとして、既に18世紀には知られていた。

本邦では1951年の最初の報告以来、1983年までに91事例-438症例が報告されている。1984年の熊本県産のカラシ蓮根によるボツリヌス症は、各県に散在する死者を出し、ボツリヌス中毒の名称を広く知らせることとなった。

食品中に含まれるボツリヌス菌芽胞(Clostridium botulinum;嫌気性グラム陽性桿菌)そのものを摂取しても、腸管内での増殖、毒素産生はないものとされていたが、1976年米国において乳児ボツリヌス症が発生し、詳細な検討の結果、ボツリヌス毒素の摂取は否定され、ボツリヌス菌の芽胞が、経口的に摂取され、腸管内において発芽、増殖、毒素を産生し、吸収された結果、発症したことが明らかにされた。

本邦では1986年6 月に始めて報告- 蜂蜜に含まれたボツリヌス菌芽胞が感染源と考えられる症例- 厚生省食品衛生局が直ちに調査研究班を組織。1987年7 月、京都市で同様に蜂蜜を飲用していた生後40日の幼児が発病し、回復するまでに約3 カ月の呼吸管理を要した例が報告された。

1987年10月20日、厚生省は乳児ボツリヌス症の発病には、市販の蜂蜜が原因である可能性が強いとして、各都道府県に対し1 歳未満の乳児に対する蜂蜜の摂取を避けさせるよう指導することなどを通知した。

蜂蜜は今迄、食品の中で唯一の感染源とされている。1979年カルフォルニア州において調査した結果では、75症例中28例(34.7% )は蜂蜜を摂取していたことが明らかである。本邦の3 症例も全例が発症する前に蜂蜜を与えられていた。米国の調査では発病患児に与えられた蜂蜜の約30% からボツリヌス菌が検出された。また、発病患児とは無関係な市販蜂蜜241 検体のうち18検体にボツリヌス菌を検出したとする報告もされている。

厚生省の昭和61年(1986年)度における検討結果では、巣箱から直接採集した蜂蜜、市販(国産、輸入)・原材料(国産、輸入)蜂蜜512 検体のうち27検体(5.3%)からボツリヌス菌が検出されている。発病患児が摂取していた蜂蜜からの分離菌毒素型は、患児の糞便中の毒素型と常に一致する。蜂蜜がボツリヌス菌芽胞の媒介物である事に異論はないものと思われる。

米国では1978年から公的機関(Centers forDiseaseControl、FDA、カリフォルニア州)、小児科学会及び蜂蜜製造業者は「1 歳以下の乳児には蜂蜜を与えないよう勧告」している。

本邦でも厚生省食品衛生局が乳児ボツリヌス症対策委員会を作り、中間報告として1987年10月に同様の勧告をしている。

約94% の症例は生後2 週間から6 カ月の乳児で、平均は12.7週(89日)。報告された症例の中で最高年齢は11カ月、最低年例は11日である。症例の大部分は母乳栄養(混合栄養を含めて)であるが、ボツリヌス菌感染によるSIDSの全症例は、人工栄養である。

母乳中の免疫機構が腸内ボツリヌス菌の増殖を抑制し、劇症型の発症を防止するのではないかと推測されている。性別の発生頻度に特に差異はなく、人種的には圧倒的に白人が多いが、その理由は現在迄、明確にされていない。

ヒトは常にボツリヌス菌の芽胞を食事(特に野菜、果物)経由で摂食しているが、限られた年齢層の生後数週から数ヵ月の乳児にしか発症しない。その原因はまたはっきりしないが、腸内常在菌叢を含め、胃酸、胆汁酸、脂肪酸等の腸内環境がボツリヌス菌芽胞の増殖を抑制しているのではないかと推測されている。

 

厚生省通知(1987.10.20. )

乳児ボツリヌス症の予防対策について

1.保健関係者及び医療関係者に対し、本症に関する知識の普及に努めること。

2.乳児の保育に当たる保護者、乳児を対象とする児童福祉施設等に対し、1 歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう指導すること。

この場合、本症が乳児特有の疾病であり、1 歳以上の者に蜂蜜を与えても本症の発生はないことを十分認識させることとし、いたずらに混乱を招くことのないよう保健関係者及び医療関係者を通じ、適切な指導を行うこと。

3.医療機関から乳児ボツリヌス症が疑われる患者の血清、便等のボツリヌス菌及び毒素の検査依頼あった場合は、出来る限り協力を行うこと。

以上の報告及び通達等から見て、

「1 歳未満の乳児に対しては、蜂蜜の摂食は回避すべき」

であるといえる。

[FD19.615.1HNY][1991.12.4. ・一部修正.古泉秀夫]


  1. 野田弘昌:乳児ボツリヌス症について;メディヤサークル,33(4):125-132(1988)
  2. 国立病院・療養所四国DIセンター・編:ボツリヌストキソイドの入手法;四国DIセンター実例集,1991
  3. 鍋屋孝司・他:愛媛県で確認された乳児ボツリヌス症;感染症,19(1):296-292(1989)
  4. 静岡県薬剤師会・編:蜂蜜と乳児ボツリヌス症が関係あるということだが?;DI実例集,1989,p.62-63
  5. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.229,1991.12.26.より転載

納豆・ブロッコリーが糖尿病患者に摂取制限される理由

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:相互作用・糖尿病患者・摂取制限・納豆・ブロッコリー・糖尿病食

Q:糖尿病の患者さんに対する納豆・ブロッコリーの摂取制限について記載されている文献について

A:インスリン非依存型糖尿病患者にとって、最も大切なことは適切な食事と運動を日常生活に組入れ、肥満から脱却することであるとされている。

また糖尿病食はいわゆる病人食ではなく、“食べてよい食品・食べてはいけない食品”はない。糖尿病患者にとって重要なことは、過食は禁物であり、患者個々に定められた1日摂取量を守ることであるとされている。

その他、糖尿病治療食について、「一般的には、標準体重又はそれを若干下回る位(肥満度90%くらいまで)の少しやせ形の体重を維持しながら社会生活をすることができる必要限度のエネルギー量が糖尿病患者には適正である。

その根拠として二つの事項が挙げられる。」とする以下の報告がみられる。

  1. やせ形の体重維持は、身体のインスリン感受性を増加させ、1日食事摂取量を必要限度に抑えることと相俟って、身体のインスリン需要量を必要最低にし、糖尿病病態の原因であるインスリン作用の不足解消に役立つ。
  2. 健康人なみの社会生活に必要なエネルギーの供給をこの食事で確保できる。 従って、1日摂取総エネルギー量は、「糖尿病を持ちながら健康人なみの生活と寿命を得る」という、糖尿病の治療目標に適正な判断である。以上の各報告から糖尿病患者の食餌療法は、1日の摂取総エネルギー量と費消エネルギー量の平衡の問題であり、個別食品の摂取回避を求めていない。

質問の『納豆・ブロッコリー』の摂取制限は、両食材に含まれるビタミンKの含有量からワーファリンの服用者を対象としたものであり、当該患者の服用中の薬剤を精査し、ワーファリンが処方されていないのであれば、糖尿病食を理由として両食材の摂取を回避する理由は見あたらない。

[015.2.NAT:2005.1.11.古泉秀夫]


  1. 種瀬富男・他:糖尿病の人の食事;保健同人社,1986
  2. 七里元亮・編著:質疑応答による糖尿病;日本医事新報,1997
  3. 工藤龍彦:心臓病と納豆摂取制限;日本医事新報,No.3710,1995.6.3.
  4. 飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用研究班・編:改訂3版 飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用;薬業時報社,1999

納豆菌関連健康食品と薬剤の相互作用

日曜日, 8月 12th, 2007

Q:納豆菌あるいは納豆菌培養エキス製品が健康食品として市販されているが、患者が服用中の薬剤との関係で注意すべき事項

A:医療用医薬品として、納豆菌を配合した製剤が市販されている。

新ドライアーゼ(三菱東京製薬)

  • [組成]:1g中納豆菌末— 60mg

    アミロクィファーゼX —–120mg

    サンプローゼF —— 30mg

  • [効能・効果]:消化異常症の改善
  • [用法・用量]:通常成人1回1g、1日3回、食後経口投与。

なお、本剤の相互作用として、添付文書中に次の記載がされている。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリン ワルファリンの抗凝血作用が減弱する恐れがある。 納豆で抗凝血作用が減弱するとの報告がある
  • 納豆菌末(Bacillus natto powder):納豆菌(Bacillus natto)を含む、白色?淡黄色の粉末である。

次に納豆菌関連健康食品について、製品資料から検討する。

乳酸菌ローヤルゼリー

(サン・ケン株式会社:〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-6)

ビフィズス菌—約115億菌

有胞子性乳酸菌—約3.3億菌

活性納豆菌—約1億500万菌

ローヤルゼリー——1,500mg/1日3粒当たり

納豆菌濃縮エキス「ビオチームNSK」

(株式会社日本生物.科学研究所:〒569-0832 大阪府高槻市唐崎中4丁目10番11号)

ナットウキナーゼ活性*1 2050FU(納豆1パック50g相当)
SOD様物質*2 82単位(ビタミンE約1.5g相当)
ビタミンK2 60μg(成人1日必要摂取量約60μg)
大豆レシチン 30mg

*1 :当社活性測定法(フィブリン分解活性法)

*2:J.Biol.Chem,244,6049(1969)に定義された単位として

  • 使用上の注意:医師より納豆の摂取を控えるよう指導されている方は本品の使用をお控え下さい。アレルギー及び疾病のある方又は通院されている方は、摂取する前に医師と相談の上摂取して下さい。

納豆菌はヒト腸内において、ビタミンKを生成するとされている。warfarin potassium服用患者では、作用減弱の恐れがあるため、納豆菌を原料とする健康食品の摂取は回避する。また、納豆菌濃縮エキスを原料とする健康食品では、血栓溶解作用があるとされるnattokinaseを含有するため、warfarin potassium服用中の患者では、作用増強の恐れがあるため摂取を回避する。

なお、「ビオチームNSK」では、被包剤中にゼラチンが含まれているため、ゼラチンに対するアレルギーの経験のある患者では、摂取を回避する。

[015.2NAT:2000.5.30.古泉秀夫]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2000
  2. 新ドライアーゼ添付文書,1999.12.改訂
  3. 読売新聞広告,2000.5.17.
  4. 株式会社日本生物.科学研究所・資料,2000.5.30.現在

南天実の薬効・薬理について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:漢方薬・健康食品・南天・南天実・ナンテンジツ・南天竹・?メチルドメスチシン・成分・薬理

Q:南天実の薬効・薬理作用について

A:メギ科植物「南天竹」(和名:南天)の実。NandinadomesticaThunb.。秋に果樹が成熟したとき、又は翌年の春迄に採集し、日干しにし乾燥した場所に置く。

成分

アルカロイドを含み主なものはo-メチルドメスチシンで、その他にプロトピン、イソコリジン、ナンジニン、ドメスチシン等が含まれている。またペラルゴニンジン-3-キシロシルググルコシド、カリステフィンを含む。

種子に脂肪油のリノリン酸、オレイン酸、フィトステロールの他、プロトピン、フマル酸を含む。

薬理

  1. 中枢神経に対する作用:ドメスチシン、ナンジニンは冷血動物(カエル)に対して、モルヒネ様の麻痺作用をもたらす。温血動物(マウス、イヌ)に対し、少量で軽度の麻酔作用、大量で痙攣(間代性及び強直性)、イヌは涎を流し、しゃっくり・大便失禁等を起こすが、これは脊髄の反射性が高まり、最終的に麻痺するためである。ナンジニンの作用はドメスチンより弱い。
  2. 心臓血管系に対する作用:ドメスチシン、ナンジニンがいずれも心臓を抑制する作用を持つ。動物の摘出心臓に直接麻痺作用を持ち、アトロピンはこれに影響を及ぼさない。ストロファンチンはかなりの拮抗作用があり、アドレナリンがこれに次ぐ。ドメスチシンの血管に対する作用についての報告は一致していない。ナンジニンは動物実験の結果摘出血管に対し影響を及ぼさない。ウサギに静注すると血圧を下降させるが、これは心臓が抑制されるためで、最終的には心臓麻痺で死亡する。
  3. 平滑筋に対する作用:ドメスチシンはモルモットの生体内腸管の緊張を高めるが、摘出腸管に対しては作用は相反する。ウサギの摘出子宮に対し、少量で興奮、大量では麻痺させる。ナンジニンはウサギの摘出腸及び子宮、イヌの腸管に対し少量では興奮、大量では抑制する。ウサギの生体内の腸及び子宮に対しては興奮作用しか認められないが、その強度は投与量の増加につれて強くなる。この作用点は動物神経抹消及び筋肉の両方面にある。
  4. その他の作用:ドメスチシン、ナンジニンは横紋筋に対して直接の麻痺作用を持つがクラーレとは異なる。二種のアルカロイドは呼吸中枢に対して抑制又は麻痺作用を持つ。ドメスチシンはモルヒネ様のフェナントレン構造を持ち、神経系に対する作用が比較的強く、ナンジニンはプロトベルベリン型構造を持ち、原形質毒に属し、心筋・骨格筋に対する作用が比較的強く、また中枢神経に対する作用は比較的弱いとする報告もある。

適応

利尿、鎮咳、解熱作用があり、民間では鎮咳薬として用いるほか、扁桃炎等に含嗽料、浴湯料等として用いられる。

[510.FD18.015.4NAN][1991.8.26.・1999.4.2.一部修正.古泉秀夫]


  1. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典第三巻;小学館,1985
  2. 三橋博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
  3. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.152,1991.8.29.より転載

糖尿病患者に対する賦形薬としての乳糖使用について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:薬物療法・乳糖・lactose・α-含水乳糖・α-無水乳糖・β-無水乳糖・酵素ラクターゼ・lactase

Q:糖尿病治療中の患者に賦形剤等として乳糖の含まれる製品の使用について

A:[局]乳糖(lactose)の性状として『白色の結晶、粉末又は造粒した粉末で、臭いはない。二糖類。二炭糖。本品は水に溶け易く(1g/水約5mLに溶解)、エタノール(95)に殆ど溶けない』とする報告がされている。乳糖は3種の形態があり、α-含水乳糖、α-無水乳糖、β-無水乳糖で、光学的に比旋光度により区分される。

通常、乳糖といわれるのは1分子の結晶水を持ったα-含水乳糖で、これは水溶液から93℃以下で結晶させるとき得られ、常温で最も安定である。乳糖は稀硫酸と熱したり、酵素ラクターゼ(lactase)を作用させると加水分解され、ブドウ糖とガラクトースを生じる。本品はブドウ糖と同様の還元性を有する。

乳糖は1615年Bartlettiによって初めて牛乳より分離され、1688年Ettm

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と加味帰脾湯

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:薬物療法・特発性血小板減少性紫斑病・Idiopathic Thrombocytopenic Purpura・ITP・加味帰脾湯

Q:特発性血小板減少性紫斑病に加味帰脾湯が有効であるとされるが、そのような報告はされているのか

A:特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)は後天性の血小板減少症で、点状出血や紫斑など皮膚粘膜出血を伴う症状を示し、急性型と慢性型に分類され、6ヵ月以内に自然緩解する病型は急性型、それ以後も血小板減少が持続する病型は慢性型に分類される。

急性型は小児に多く見られ、ウイルス感染を主とする先行感染を伴うことが多い。一方、慢性型は成人に多く、一般的にITPといえば慢性型を指しているとする報告がされている。

ITPの標準治療は副腎皮質ステロイド剤投与及び摘脾である。

ITPに効果があるとして報告されている漢方製剤は、柴苓湯、小柴胡湯、補中益気湯、帰脾湯、加味帰脾湯などである。

このうち柴苓湯、小柴胡湯では一定の症例数を纏めた報告がされている。しかし、これらの漢方製剤の薬理作用は十分に解明されておらず、ITP患者に対する作用機序についても不明である。

中山らは、各種治療に抵抗性の慢性ITPに対して、補中益気湯、柴苓湯、人参養栄湯、加味帰脾湯の4製剤を選び、その有効性について検討した結果、30%の症例がいずれかの漢方製剤に反応したと報告している [中山志郎・他:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の漢方治療;現代東洋医学<臨増>12:160-163(1991)]。

漢方製剤の中には、ITPに対して治療効果を示すものが確実に存在しており、中でも加味帰脾湯は大いにその効果が期待されうる。

加味帰脾湯のITPに対する作用機序としてはCIC(免疫複合体)除去作用以外にinterleukin 6、interferonのような各種サイトカインを介する機序も想定されている。

作用機序については更に詳細な検討が必要であるものの、副作用の少ない漢方製剤、特に加味帰脾湯はITPの治療法の一つとして試みる価値があると思われる。

慢性のITP症例168例(男性44例、女性124例、平均年齢45.13歳)を対象として加味帰脾湯を1回2.5g、1日3回、食前又は食後に経口投与した。血小板数の増加効果は投与24週時点で、著明増加5.4%、増加以上が 13.5%、やや増加以上が31.7%であった。血小板数増加による臨床効果では、投与24週後で、著効が5.4%、有効以上20.4%、やや有効以上 47.6%であった。

この結果は、血小板数の増加効果の数字より高く、加味帰脾湯は必ずしも血小板数を増加させなくても臨床症状(出血症状)を改善させる効果があるものと考えられた。副作用は188例中13例(6.9%)に16症状が発現した。

発現症状は胃部不快感、心窩部痛、下痢、掻痒、発疹、肝機能障害、浮腫等である。

[035.1.ITP:2005.4.18.古泉秀夫]


  1. 山口徹・他総編:今日の治療指針;医学書院,2005
  2. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:医薬品情報,27(5):419-420(2000)
  3. 野村昌作・他:ITP患者に対する加味帰脾湯の治療効果と作用機序;臨床病理,143<特:96>-149(1996)
  4. 櫻川信男:特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対する漢方製剤-加味帰脾湯の効果;医学と薬学,40(30):442-447(1998)

トシル酸ブレチリウムについて

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:薬名検索・トシル酸ブレチリウム・bretylium tosylate・ダレンチン・darenthin・降圧剤・抗不整脈薬

Q: トシル酸ブレチリウムとはどの様な薬剤か

A:トシル酸ブレチリウム(bretylium tosylate:INN) は、降圧剤あるいは抗不整脈薬と報告されている。

用法として100-400mg、1日3回。

同意語:BW-57-373、ASL-603。Omid。[商] Bretylan、Bretylin、Darenthin、Hypotyl、Ipodaren、Ornidum、ダレンチン。

bretyliumは、アドレナリン作動神経末端からのノルアドレナリン遊離を阻害する。

副腎髄質からのアドレナリンの遊離は影響を受けない。

神経顆粒のノルアドレナリン含量は変化しない。

モノアミン酸化酵素活性の阻害が報告されている。

外来性ノルアドレナリンに対する感受性は増大する。

本品は血圧を下降させるが、作用の持続は短く一定しない。

不整脈の治療に使用されることがある。耐性を生じやすい。

精神錯乱、骨格筋力低下などの副作用のために臨床応用は限定されるとする報告がされている。

その他、アドレナリン作動性神経終末からのノルアドレナリン遊離を抑制することによって、アドレナリン作動精神系シナプスの興奮伝達を遮断する。

グアネチジンやレセルピンと異なって、神経終末の伝達物質を枯渇させる作用はないため、作用の発現は速く、持続は短い。

副腎髄質からのカテコールアミン遊離を抑制せず、血中カテコールアミンに対する受容器細胞の反応は著しく増強される。また中枢神経系に対する作用も認められないとする報告がされている。

  • 臨床応用:時に、抗不整脈薬として用いられるが、消化管からの吸収の悪いこと、耐性を生じること、副作用のために高血圧の治療に用いられなくなった。
  • 副作用:体位性低血圧、下痢が高頻度に見られる。
    また本剤による治療中に体動によって衰弱感、目眩及び呼吸困難をきたす。
    また強い局所麻酔作用と抗ヒスタミン作用を示す。耳下腺痛をきたす。

[011.1.BRE:2004.2.16. 古泉秀夫]


  1. 薬名検索辞典;薬業時報社,1984
  2. 中井健吾・他編:薬理学第2版;理工学社,1984
  3. 藤原元始・他編:医科薬理学;南山堂,1986

トレチノイン水性ゲルについて

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:院内製剤・特殊製剤・トレチノイン・水性ゲル・レチノイド・retinoid・脂溶性vitamin・atRA・メラニン色素沈着・老人性色素斑・加齢皮膚変性

Q:トレチノイン水性ゲルの調製法について

A: 脂溶性vitaminの一つであるvitamin Aと呼ばれる物質は、単一のものではなくvitamin A作用を有する数種類の類縁物質の総称である。 vitamin Aの類縁化合物であるレチノイド(retinoid)は、多くのホルモンと同様に核内に転写因子である受容体を持ち、生体内では形態形成や細胞の増殖分化の制御因子として不可欠のものである。retinoidの外用剤は、海外ではニキビ、光老化の治療薬として使用されており、更に乾癬や悪性腫瘍に用いられているものもある。本邦では外用薬は承認されていないが、合成retinoidであるCD-271(adapalene)とAm-80の治験が実施されているとする報告が見られる。

vitamin Aの生理活性の本体ともいえるall-trans retinoic acid(atRA:tretinoin)の持つretinoidの特異的作用を最大限に利用することにより、多くの皮膚疾患の治療及び美容目的での使用も可能であるとする報告がされている。関連する製剤の処方及び調製法は次の通り報告されている。

tretinoin

カーボポール940

エマルゲン408

10%-水酸化ナトリウム液

パラオキシ安息香酸メチル

パラオキシ安息香酸エチル

精製水 全量

0.1g

1g

2g

0.6mL

0.026g

0.014g

100mL

retinoic acid

エマルゲン

水性ゲル

200mg

4mL

50g

カーボポール

注射用蒸留水

10%-水酸化ナトリウム液

5g

500mL

3mL

調製法

  1. 水性ゲル(500g):カーボポール5gをガラス乳鉢に入れ、注射用蒸留水500mLを少量ずつ加える。ダマがなくなったら10%-水酸化ナトリウム液3mLを加える。ダマがなくならないときは一晩放置し、ダマがなくなった後で10%-水酸化ナトリウム液を加える。
  2. 0.4%-レチノイン酸ゲル:retinoic acid 200mgをガラス乳鉢に入れ、エマルゲン4mLを少量ずつ加える。水性ゲル50gを加え、均質に練合する。

特記事項

  1. tretinoinは催奇形性があるため調製時には手袋、マスクを着用する。
  2. 要院内倫理委員会承認。文書による患者説明・同意文書の取得。
  3. 使用患者は使用後8カ月は避妊。
  4. ステロイドは拮抗作用があるため、同時使用不可。
  • 適応:メラニン色素沈着、老人性色素斑、加齢皮膚変性に対する治療。
  • 規格:5g/個(軟膏瓶)
  • 保存条件:冷暗所保存。
  • 使用期限:安定性のデータはないが1カ月。
  • 使用上の注意:眼の近く、傷口及び日焼け、アセモなどのある場合には使用しない。

[014.16.RET:2004.1.27.古泉秀夫]


  1. 糸川嘉則:最新ビタミン学;フットワーク出版,1998
  2. 吉村浩太郎:レチノイン酸治療;
    http://www.cosmetic-medicine.jp/list/hihuka-practice.html,2004.1.27.
  3. 日本病院薬剤師会・編:病院薬局製剤 第5版;薬事日報社,2003

糖尿病の民間療法について

日曜日, 8月 12th, 2007

?KW:薬物療法・民間療法・糖尿病・麦飯・レタス・南瓜・コンニャク・大豆レシチン・アロエ・?蚕蛆・苦蕎麦

Q:糖尿病の民間療法についてどのようなものがあるか。

A:糖尿病の民間療法の意味が、臨床上の薬物療法を行わず、それのみで治療をする療法を指すのか、薬物療法に併用し、食事療法の一部として行っているものを指すのか不明であるが、一般に公表されている図書等に収載されている内容を次に紹介する。

1.麦飯:
白米に比較しエネルギー量はあまり変わらないが酸性に傾きがちな体質を弱アルカリ性に変え、血糖値や尿糖を下げる働きをしてくれる。
2.レタス:
豊富な繊維質とビタミンEを含み、体内のコレステロールをコントロールするので、動脈硬化を始めとする合併症を予防する。
3.南瓜:
南瓜にはインスリンの分泌を促す作用があり、糖尿病に対する昔ながらの民間療法としても定着している。
4.コンニャク:
ノンカロリーなので制限された食事をにぎやかにしてくれる一品となり、空腹を満たして満足感を与える。糖尿病食のポイント。しかも過剰のコレステロールを除去する。
5.大豆レシチン:
食事療法に加えて、糖尿病を克服するために大豆レシチン療法を実施して見るのも価値がある。大豆中に含まれるレシチンは、細胞レベルで生体維持をするために絶対的に必要なものである。レシチンは血液細胞にも存在し、血液にとって不必要なものを排出し、必要なものを取入れる門番のような役目をしている。従って血液を正常できれいな状態に戻す働きをしてくれる。しかも細胞の一つ一つを活性化させるので、肝機能も正常化し、インスリンを分泌する膵臓を活発にする。
6.アロエ:
内服により糖尿病に有効。
7.蚕蛆:
蚕蛆(さんそ)は比較的高い栄養価があり、蛋白質、脂肪、炭水化物、燐質及びカルシウムを含有している。蚕蛆に含有している20余種のアミノ酸の中には、人体の8種の必須アミノ酸を有し、卵や牛肉に比肩する程の食品である。脂肪の含有量は30%に達し、主成分がリノール酸である。蚕蛆は高脂血症、慢性肝炎、糖尿病及び栄養不良の患者に比較的効果がある。蚕蛆の調理法については炒め物や塩漬け等の方法がある。炒める場合には、まず軽く煮た後、調味料を加えて炒める。塩漬けの場合は、煮上がった蚕蛆を人参、芹等と一緒に混ぜて醤油で漬ける。
8.苦蕎麦:
汚染される恐れのない四川省涼山高原の苦蕎麦を主な原料として、糖尿病に著効な「苦蕎麦効粉」という天然食品が開発された。苦蕎麦効粉は、特殊なプロセスで加工された物で、栄養と治療作用と一石二鳥の効果があり、糖尿病の理想的な機能性食品である。蛋白質、脂肪の含有量が米と麦以上であるばかりでなく、その他の成分の構成も優れている。人体の8種の必須アミノ酸を含む19種のアミノ酸を含有しており、カルシウム、燐、鉄、銅、マグネシウム、セレン、カリウム、ナトリウム、マンガン等の10数種の微量元素も含有している。その中でマグネシウムの含有量は米の2倍相当である。マグネシウムはフィブリノーゲン溶解促進、血管拡張、トロンボプラスチン抑制、コレステロール下降、血栓形成防止等の作用を有するが、セレンは解毒作用、ビタミンCやビタミンEに類似の抗酸化作用、免疫調節作用を有する。

以上、種々の報告がされているが、いずれも食事療法に関連するものであり、中に南瓜あるいはアロエのように治療としての糖尿病を挙げているものがある。

いずれにしろこれらの報告は参照程度のものであり、糖尿病の治療は、専門医に委ねるべきである。

[1995.1.10.古泉秀夫][1998.9.11.改訂]


  1. 根本幸夫・編著:健康食品はやわかり;曜曜社出版,1991
  2. 栄養食品「蚕蛆」;中国医薬情報,4(1):20(1991)
  3. 苦蕎麦から糖尿病機能性食品;中国医薬情報,3(3):16(1990)
  4. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.1209(1996.1.11.)

ドクダミ茶の副作用-高カリウム血症

日曜日, 8月 12th, 2007

Q:ドクダミ茶を服用している患者の血清カリウム値が上昇した。ドクダミの副作用としてカリウム値の上昇はあるか

A:ドクダミ(和名)はドクダミ科に属する多年草(学名:Houttuynia cordata Thunb.)で、別名として十薬(重薬)、漢方名『魚腥草(ギョセイソウ)』。その他『臭菜(シュウサイ)』、『臭草』等の異名がある。根の付いた全草を使用する。

成分

全草に精油が含まれるが、その中には抗菌成分としてのデカノイル-アセトアルデヒド(decanoylacetaldehyde)、ラウリルアルデヒド (laurinaldehyde) 、メチル-n-ノニルケトン(methylnonyketone)、α-ピネリン(α-pinene)、リナロール(linalool)及びカンフェン、 d-リモネン(d-limonene)、ボルニル-アセタート、カリオフィレン、ミルセン(myrcene)、leaf alcohl、citronellal、citronellol、citral、1,8-cineol、ocimene、o-cresol、m- cresol、p-cresol、carvacrol、thymol等を含む。またコルダリンも含まれる。

花穂及び果穂にはイソクエルシトリン(isoquercitrin:血圧調節作用)が含まれ、葉にはクエルシトリン(血圧調節作用)が含まれる。

花・葉・果実のフラボノイドは同じで、アゼリン、クエルシトリン(quercitrin:利尿作用)、クエルセチン(quercetin)、 isoquercitrin、レイノウトリン(reynoutrin)、ヒペリン(hyperin)、ルチン(rutin)を含むの報告もある。

根茎の精油にもdecanoylacetaldehydeが含まれる。また、カリウム塩を含む。無機物約2.7%を含有し、主成分はカリウム塩で、硫酸塩、塩酸塩として存在するとする報告も見られる。

魚腥草の悪臭の元凶はdecanoylacetaldehyde、laurinaldehydeで、これには抗菌力がある。乾燥するとこの悪臭は消失し、抗菌力も消滅するとする報告が見られる。

薬理

  1. 抗菌作用:有効成分であるdecanoylacetaldehydeはin vivoでカタル性球菌・インフルエンザ桿菌・肺炎球菌・黄色ブドウ球菌などに対し明らかな抑制作用を持つが、赤痢菌・大腸菌・腸チフス菌に対してはやや劣る。魚腥草から抽出される一種の油状物質は、多くの酵母・真菌に対して成長を抑制する作用を持つ。またin vitroでquercitrinは抗菌活性を示し、oxymethylenemethyl nonyl ketomeには2万倍希釈でAspergillus nigerに対し抗真菌活性が認められるなど、抗微生物活性があるとするのが一般的である。
  2. 抗ウイルス作用:魚腥草はインフルエンザアジアA型京科68-1株に対して抑制作用を持ち、更にエコーウイルスの成長を遅延させることができるとされている。インフルエンザウイルスに対する抗菌性は弱いとする報告も見られる。
  3. 利尿作用:魚腥草剤は蛙による実験において、毛細血管を拡張し、血流量と尿液分泌を増加し、利尿作用を発揮する。その利尿作用は、おそらく有機物によるもので、カリウムは利尿作用に対し相加的な作用を果たすのみであろうとされている。また、quercitrin の血管拡張作用も影響しているであろうとしている。
  4. その他の作用:魚腥草には鎮痛、止血、漿液分泌抑制、組織再生促進等の作用もある。また動物実験で鎮咳作用を示すが、去痰作用、平喘作用はない。ドクダミ成分「ピレスチン」について、毒性はなく、創傷、胃潰瘍の治癒を促進し、抗炎症作用があり歯槽膿漏、排膿瘍、湿疹に有効であるとしたが、抗トリプシン作用は全く認められないとする報告も見られる。臨床的には慢性腎炎や慢性気管支炎に対する治療効果も報告されている。その他の報告として、quercitrinが極めて低濃度で、利尿作用を示し、高含量のK+塩と共に十薬(日本薬局方)の利尿活性成分であるとした。

十薬の10%-ringer浸出液を用いて各種薬理試験を行った結果、本浸出液は蛙の瞳孔を収縮させ、蛙の皮膚色素細胞を拡大させ、心臓には直接作用して弛緩期で停止、更に血管に対しては一過性の収縮の後拡張させ、血流量を増大させることを認めた。

また、ネコの血圧を下降させ、子宮腸管平滑筋に対して周期運動を亢進させることを認めたが、これらの作用は全て灰化ドクダミにも認められ、K+塩の作用と同一であることから、ドクダミのこれらの作用はK+塩によるものであって有機化合物の関与はないとしている。

粉砕器で細粉とし90℃で24時間乾燥したものを5g秤取し、これに水100mLを加え直火を用いて約30分間で50mLになるように加熱し、ガラスフィルターを用いてろ過を行った煎液中の金属類を測定した結果が次の通り報告されている。

金属 試料 Na K Ca Mg Fe Mn Zn Cu
含有量 全草 212 54,300 770 3,430 500 120 56 26
溶出量 全草 92.1 18,400 110 1,470 250 43 19 4.3

食事中に摂取されるカリウムやグリコーゲン分解・体蛋白異化によって遊出するカリウムを排泄するには、腎以外に出口はなく、大便中のカリウムは10mEq 以下(全排泄量の10%程度)であるとされている。腎不全の場合、腎からの排泄率が低下することから高カリウム血症を惹起しやすい状態になりやすい。

一方、ドクダミ中のK含有量は上表に見るとおりであり、腎機能の低下する高齢者あるいは腎機能の低下している患者、カリウム保持性利尿剤、副作用として高カリウム血症を惹起する薬剤等を服用している患者では、ドクダミ茶の飲用により高カリウム血症を惹起する可能性があるため、注意を要する。

なお、ビタミンKの含有量は確認していないが、光合成を行う植物ではビタミンKの存在がいわれておりwarfarin服用患者では注意。

[065.HOU:2000.7.7.古泉秀夫]


  1. 伊澤一男:薬草カラー大事典;株式会社主婦の友社,1998
  2. 三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
  3. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典;小学館,1998
  4. 生薬ハンドブック;株式会社ツムラ,1989
  5. 高木敬次郎・他編:和漢薬物学;南山堂,1983
  6. 鈴木 章・他:生薬中の金属の溶出;生薬学雑誌,36(3):190-195(1982)
  7. 桜井 寛:薬局よもやまばなし(21)カリウムの話(1)ドクダミ中のカリウム;薬事新報,No.1795:487(1994)
  8. 株式会社ツムラ学術課・私信,2000.7.7.

「O-157特効水」について

日曜日, 8月 12th, 2007

?KW:薬名検索・O-157・O-157特効水・アンチ-157・滅菌・消毒

Q:週刊誌「FRI」に掲載された「O-157特効水」とは何か

A:「FRI」1997.5.23に収載されたのは「また巡ってきた”猛威”の季節「O-157」を退治する”最終兵器 “を発見したゾ」とする表題の記事であり、長岡工業高等専門学校 高松正士教授の発見した「O-157」に食菌する2種のバクテリオファージを製品化したもの。商品名「アンチ-157」として市販され、使用対象は野菜、食器等外食産業で、医薬品としての取扱はされていない。

なお、殺菌剤「アンチ-157」の概要は、次の通り。

病原性大腸菌O-157を破壊するタンパク水

「アンチ157(アンチイチゴーナナ)」(業務用)

バイオベンチャーバンク株式会社

埼玉県比企郡吉見町久保田1501

TEL.0493-54-6452  FAX.0493-54-6462

「アンチ157」は、高松教授等が発見した腸管出血性大腸菌O-157のみを食菌破壊するファージを含んだタンパク水です。特徴として全て食品に使われている成分のみを用いています。ファージ含有量は、2×10^7/mLで、極微量です。通常の方法では検出限界以下ですが、O-157を破壊する上で十分な量です。

使用方法

  1. 食材を使用する場合は「アンチ157」を直接噴霧し、洗浄する。若しくは水槽(本製品は水道水等で20倍まで希釈可能)に浸し、洗浄する。
  2. 10分程放置して下さい。
    *病原性大腸菌O-157の機能は停止します。
    *O-157は、30分程放置すると完全に溶解されます。
  3. 水で洗浄して下さい。

用途例

  1. 食品・食材加工工場における処理施設の洗浄
  2. 肉・魚介類加工業における食材の洗浄
  3. 水耕栽培用水
  4. 生野菜の洗浄
  5. 厨房の床・まな板の洗浄
  6. 食器類の洗浄

規格

容量 800mL
ファージ含有量 2×10~7/mL
pH緩衝液 200mM:塩化カルシウム・食塩・アミノ酸等含む
pH 6.8?7.0

使用上の注意

  • 病原性大腸菌O-157に対してのみ有効です。
  • 冷暗所で保存して下さい。
  • 凍結しないで下さい(凍結すると効力は無くなります)
  • 開封後はお早めに(1週間以内)ご使用下さい。
  • 使用上の不備により生存菌が存在する場合もあります。この場合の責任は負いかねますので十分慎重に処理して下さい。
  • 誤って飲んでも害はありませんが、飲用はしないでください

なお、病原性大腸菌O-157に対する有効率等に関する原データの入手を依頼したが、現在、雑誌等への発表を準備している段階であり、公表できないとする回答が得られている。

したがって、医療機関内で本品を消毒剤として使用することの可否判断はデータ不足のため困難であるとしなければならない。

[1997.6.6.古泉 秀夫]


  1. FRI;講談社, 1997.5.23
  2. 高松 正士・私信,1997.5.15
  3. 国立国際医療センター医薬品情報管理室・私信,1997.5.15.
  4. 「アンチ157」商品説明書

ドクダミの薬理作用について

日曜日, 8月 12th, 2007

?KW:漢方薬・ドクダミ・ギョセイソウ・魚腥草・十薬・薬理作用・薬効

Q:ドクダミの薬理作用について

A:ドクダミ(Houtuyniacordata)は、ドクダミ科の植物で魚腥草(ギョセイソウ)といわれる漢方の和名である。

本品中の成分としては、全草に精油が含まれるが、その中に抗菌成分としてデカノイル-アセトアルデヒド、メチル-n -ノニルケトン、α-ピネリン、リナロール及びカンフェン、d-リモネーン、ボルニル-アセタート、カリオフィレン、ミルセン、ラウリンアルデヒド等を含有する他、コルダリンも含まれる。

花穂及び果穂にはイソクエルシトリンが含まれ、葉にはクェルシトリンが含まれる。花・葉・果実のフラボノイドは同じで、いずれもクェルセチン、クェルシトリン、イソクェルシトリン、レイノウトリン、ヒペリンを含むとの報告もある。根茎の精油にもデカノイル-アセトアルデヒドが含まれる。

有効成分であるデカノイル-アセトアルデヒドは、invitroでカタル性球菌・インフルエンザ桿菌・肺炎球菌・黄色ブドウ球菌等に対して明らかな抑制作用を持つが、赤痢菌・大腸菌・腸チフス菌に対してはやや劣る。その他、抗ウイルス作用としてインフルエンザアジアA 型京科68-1株に対し抑制作用を持ち、エコーウイルスの成長を遅延させる。

また、毛細血管の拡張作用による血流量と尿液分泌が増加し、利尿作用を発揮する。利尿作用については、有機物に由来するもので、カリウムは単に相加作用を果たすのみであろうとされている。またクェルシトリンの血管拡張作用も影響しているであろうと報告されている。

その他、魚腥草には鎮痛、止血、漿液分泌抑制、組織再生促進などの作用もある。また、鎮咳作用があるとの報告も見られる。

[510.FD18.038HOU][1991.11.5.・1999.4.9.一部修正.古泉秀夫]


  1. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典;小学館,1985,p.507
  2. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.245,1992.1.27.から転載

鉄皮石斛について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:健康食品・機能性食品・鉄皮石斛・ホンセキコク・石斛・セキコク・コウキセッコク・金釵石斛・キンサセッコク

Q:鉄皮石斛とはどの様なものか

A:石斛(セキコク)[神農本草経]は、異名として林欄(リンラン)・禁生(キンセイ)[神農本草経]、杜欄(トラン)・石?(セキスイ)[名医別録]、金釵石斛(キンサセツクコ)・千年潤(センネンジュン)・黄草(オウソウ)[薬物出産弁]、弔欄花(チョウランカ)[中国薬植誌]等が報告されている。

石斛の基原として、ラン科植物、金釵石斛、和名:高貴石斛(コウキセッコク)、又は多種類の同属植物の茎等の報告がされており、原植物として次の報告がみられるる。

原植物 学名 特記事項
1.高貴石斛

(中国石斛)

Dendrobium nobile Lindl. 付生する多年性本草。高さ30-50cm、茎は叢生で直立し、直径1-1.3cm、黄緑色で節は多く、葉は無柄で皮質に近く、通常3-5枚が茎の上端に付く。

高山の岩石や森林中の樹木の幹に付生する。開花期は5-6月。分布は四川、貴州、雲南、湖北、台湾など。

この他の地で栽培もされる。

2. 爪石斛 Dendrobium linawianum Reichb.f. 上種と類似。

主な相違点は茎の節間が折れ曲がっているか明らかに太くなっているので、全形はやや数珠状を呈している。

分布は高西、広東、台湾など。

3. 鉄皮石斛

(ホンセキコク)

Dendrobium officinale K.Kimura et Migo 霍山石斛(カクザンセキコク)とも。茎は叢生し、直立で高さ5-30cm、直径は約5mm、円柱形。基部はやや細く、緑色で紫色を帯びている。

節は多く、節間の長さは1-2cm、葉は少なく茎の上部につき、無柄。

分布は安徽、浙江、陜西、山西、河南、福建、広東、広西、雲南、貴州など。

4. 石斛 Dendrobium moniliforme(L.)Sw. 銅皮石斛、細黄草とも。

鉄皮石斛と非常に良く似ている。

茎は高さ10-20cm、直径1.5-3mm。葉は楕円状披針形で、長さ2.5-4cm、幅7-10mm、先端は鈍形。

葉鞘は灰色ではない。分布は浙江、安徽、広西、雲南など。

本州、四国、九州に自生。

樹上や岩上に着生する。

別名:少名彦薬根(スクナビコノクスネ)、岩薬[本草和名]。

5.ケドリセッコク Dendrobium hercoglossumReichb.f. 茎は直立し、高さ25-50cm。

節間は長さ2.5- 3.5cm。葉鞘は節間をぴったり包み、節間の長さはほぼ等しい。葯は深紫色。

分布は広西、広東など。

6.鉤状石斛 Dendrobium aduncum Wall.et Lindl. 茎は直立し、かなり細く、高さ60cmに達する。葉は互生で無柄、線状披針形ないし披針形。

長さ7-8cm、幅15-20mm、先端は鋭先形。

分布は福建、広東など。

7.白花銅皮石斛 Dendrobium wilsonii Rolfe 銅皮欄とも。茎は直立し、円柱形。痩せて細く、高さ15-30cm。

葉は線状楕円形で長さ3-5cm、幅 8-12mm、先端は鈍形が急に尖り、左右不同の窪みがある。

高山に生える。

分布は広西、雲南、四川など。

8.羅河石斛 Dendrobium lohohens Tang et Wang 小黄草とも。茎は直立し、円柱形、痩せて細く、高さ25- 27cm、節間は長さ1.3-2.3cm。

葉鞘は膜質で管状、茎を包んでいる。

葉は楕円形で、長さ3.5-6cm、幅1-1.5cm、両端とも尖っている。

山間の渓谷の岩石上に付生する。分布は広西。

9. 美花石斛 Dendrobium loddigesiiRolfe 茎は円柱形で、高さ10-15cm、直茎5-7mm、基部はやや細い。

葉には柄がなく、楕円状披針形、長さ4-6cm、幅1.2-18cm。

花は単生で淡紅色。分布は広東、広西、雲南など

10.小美石斛 Dendrobium bellatulum Rolfe 矮石斛(ワイセキコク)、黒節草(コクセツソウ)とも。

茎は仮鱗茎状で紡錘形、高さ4-7.5cm、中間の直径は約1.5cm、通常3節で、外側は黒色の長い硬毛で覆われている。

葉は2-4枚で、長円形か楕円状長円形。

長さ2-5cm、幅1-1.8cm、先端は急に尖り、左右不同の僅かな窪みがある。

分布は雲南。

石斛は温和陰涼、湿潤の気候を好む。肥沃で水捌けが良く、湿度を保ち、通気性の良い砂礫壌土がよい。

薬材 原料植物 形態
金釵石斛 コウキセッコクの加工品。 乾燥した茎は長さ約20-45cm、直径約1-1.5cm、基部は円柱形で、中央部と上部は扁平な円柱形、茎節は僅かに左右に彎曲し、表面は黄金色で僅かに緑色を帯び、光沢があり、縦溝があり、節は明瞭で、褐色、節の部分が僅かに膨れているものあり、節間は長さ約2.5-3cmで上に行くに従って少し短くなっている。

全体に軽く、質は緻密で折れやすく、断面は類白色、深色の小さい点が散在する。臭いはなく、味は苦く、噛むと粘性がある。

黄草石斛 鉄皮石斛、羅河石斛、白花銅皮石斛、石斛などの加工品。 乾燥した茎は、一般に長さ30cm以上、直径約3-5cm、円柱形でやや湾曲し、表面は黄金色で少し緑色を帯び、光沢があり、深い縦溝を持ち、節は明瞭、節間は長さ約2-3.5cm。

臭いはなく、味は僅かに苦く、噛むとやや粘性がある。

小黄草石斛 美花石斛、羅河石斛、石斛の加工品。 乾燥した茎は、一般に長さ30cm以下で、直径約2-3mm、多くは湾曲して輪のようになり、表面には細い縦の筋が通り、黄金色で、少し緑色を帯び、光沢がある。

粉質に富む。

噛むと甘涼味があり、粘性がある。

耳環石斛

楓斗(フウト)

石斛属の多種の植物の茎に特殊加工したもの。 [1]西楓斗、鉄皮楓斗(鉄皮石斛で製造)、銅皮楓斗(石斛原料)、雲南楓斗(小美石斛原料)

[2]円楓斗

[3]結子斗(ケツシト)

鮮石斛   [1]鉄皮石斛

[2]細茎石斛

[3]爪蘭石斛

  • [成分]金叉石斛はデンドロビン、デンドラミン、ノビロニン、デンドロキシン、デンドリン、6-ヒドロキシデンドロキシンを含み、また粘液質と澱粉をも含む。石斛はデンドロビン、デンドラミン、N-メチルデンドロビン(第4アンモニウム塩)を含む。羅河石斛はシフニンを含む。
  • [薬効]石斛として健胃・強壮がいわれている。

金釵石斛の流エキスは、人工発熱させたウサギに解熱作用を示さない。デンドロビンは一定の鎮痛・解熱作用を持ち、フェナセチンと類似の作用を示すが、作用は弱い。血圧と呼吸に対する抑制作用も示すが、中毒に至る投与量では引きつけを起こす。

流エキスはウサギの摘出腸に対して低濃度では興奮させ、高濃度では抑制作用がある。ヒキガエルの摘出心臓に対しては、濃度の高低にかかわらず、抑制作用がある。下肢血管に環流したときには、明らかな作用は見られなかった。

解熱・止渇・制吐作用又は解熱・鎮痛作用、健胃作用。

[015.9.DEN:2005.12.6.古泉秀夫]


  1. 上海科学技術出版・編:中薬大辞典;小学館,1998
  2. 伊澤一男:薬草カラー大事典;主婦の友社,1998