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鉄皮石斛について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:健康食品・機能性食品・鉄皮石斛・ホンセキコク・石斛・セキコク・コウキセッコク・金釵石斛・キンサセッコク

Q:鉄皮石斛とはどの様なものか

A:石斛(セキコク)[神農本草経]は、異名として林欄(リンラン)・禁生(キンセイ)[神農本草経]、杜欄(トラン)・石?(セキスイ)[名医別録]、金釵石斛(キンサセツクコ)・千年潤(センネンジュン)・黄草(オウソウ)[薬物出産弁]、弔欄花(チョウランカ)[中国薬植誌]等が報告されている。

石斛の基原として、ラン科植物、金釵石斛、和名:高貴石斛(コウキセッコク)、又は多種類の同属植物の茎等の報告がされており、原植物として次の報告がみられるる。

原植物 学名 特記事項
1.高貴石斛

(中国石斛)

Dendrobium nobile Lindl. 付生する多年性本草。高さ30-50cm、茎は叢生で直立し、直径1-1.3cm、黄緑色で節は多く、葉は無柄で皮質に近く、通常3-5枚が茎の上端に付く。

高山の岩石や森林中の樹木の幹に付生する。開花期は5-6月。分布は四川、貴州、雲南、湖北、台湾など。

この他の地で栽培もされる。

2. 爪石斛 Dendrobium linawianum Reichb.f. 上種と類似。

主な相違点は茎の節間が折れ曲がっているか明らかに太くなっているので、全形はやや数珠状を呈している。

分布は高西、広東、台湾など。

3. 鉄皮石斛

(ホンセキコク)

Dendrobium officinale K.Kimura et Migo 霍山石斛(カクザンセキコク)とも。茎は叢生し、直立で高さ5-30cm、直径は約5mm、円柱形。基部はやや細く、緑色で紫色を帯びている。

節は多く、節間の長さは1-2cm、葉は少なく茎の上部につき、無柄。

分布は安徽、浙江、陜西、山西、河南、福建、広東、広西、雲南、貴州など。

4. 石斛 Dendrobium moniliforme(L.)Sw. 銅皮石斛、細黄草とも。

鉄皮石斛と非常に良く似ている。

茎は高さ10-20cm、直径1.5-3mm。葉は楕円状披針形で、長さ2.5-4cm、幅7-10mm、先端は鈍形。

葉鞘は灰色ではない。分布は浙江、安徽、広西、雲南など。

本州、四国、九州に自生。

樹上や岩上に着生する。

別名:少名彦薬根(スクナビコノクスネ)、岩薬[本草和名]。

5.ケドリセッコク Dendrobium hercoglossumReichb.f. 茎は直立し、高さ25-50cm。

節間は長さ2.5- 3.5cm。葉鞘は節間をぴったり包み、節間の長さはほぼ等しい。葯は深紫色。

分布は広西、広東など。

6.鉤状石斛 Dendrobium aduncum Wall.et Lindl. 茎は直立し、かなり細く、高さ60cmに達する。葉は互生で無柄、線状披針形ないし披針形。

長さ7-8cm、幅15-20mm、先端は鋭先形。

分布は福建、広東など。

7.白花銅皮石斛 Dendrobium wilsonii Rolfe 銅皮欄とも。茎は直立し、円柱形。痩せて細く、高さ15-30cm。

葉は線状楕円形で長さ3-5cm、幅 8-12mm、先端は鈍形が急に尖り、左右不同の窪みがある。

高山に生える。

分布は広西、雲南、四川など。

8.羅河石斛 Dendrobium lohohens Tang et Wang 小黄草とも。茎は直立し、円柱形、痩せて細く、高さ25- 27cm、節間は長さ1.3-2.3cm。

葉鞘は膜質で管状、茎を包んでいる。

葉は楕円形で、長さ3.5-6cm、幅1-1.5cm、両端とも尖っている。

山間の渓谷の岩石上に付生する。分布は広西。

9. 美花石斛 Dendrobium loddigesiiRolfe 茎は円柱形で、高さ10-15cm、直茎5-7mm、基部はやや細い。

葉には柄がなく、楕円状披針形、長さ4-6cm、幅1.2-18cm。

花は単生で淡紅色。分布は広東、広西、雲南など

10.小美石斛 Dendrobium bellatulum Rolfe 矮石斛(ワイセキコク)、黒節草(コクセツソウ)とも。

茎は仮鱗茎状で紡錘形、高さ4-7.5cm、中間の直径は約1.5cm、通常3節で、外側は黒色の長い硬毛で覆われている。

葉は2-4枚で、長円形か楕円状長円形。

長さ2-5cm、幅1-1.8cm、先端は急に尖り、左右不同の僅かな窪みがある。

分布は雲南。

石斛は温和陰涼、湿潤の気候を好む。肥沃で水捌けが良く、湿度を保ち、通気性の良い砂礫壌土がよい。

薬材 原料植物 形態
金釵石斛 コウキセッコクの加工品。 乾燥した茎は長さ約20-45cm、直径約1-1.5cm、基部は円柱形で、中央部と上部は扁平な円柱形、茎節は僅かに左右に彎曲し、表面は黄金色で僅かに緑色を帯び、光沢があり、縦溝があり、節は明瞭で、褐色、節の部分が僅かに膨れているものあり、節間は長さ約2.5-3cmで上に行くに従って少し短くなっている。

全体に軽く、質は緻密で折れやすく、断面は類白色、深色の小さい点が散在する。臭いはなく、味は苦く、噛むと粘性がある。

黄草石斛 鉄皮石斛、羅河石斛、白花銅皮石斛、石斛などの加工品。 乾燥した茎は、一般に長さ30cm以上、直径約3-5cm、円柱形でやや湾曲し、表面は黄金色で少し緑色を帯び、光沢があり、深い縦溝を持ち、節は明瞭、節間は長さ約2-3.5cm。

臭いはなく、味は僅かに苦く、噛むとやや粘性がある。

小黄草石斛 美花石斛、羅河石斛、石斛の加工品。 乾燥した茎は、一般に長さ30cm以下で、直径約2-3mm、多くは湾曲して輪のようになり、表面には細い縦の筋が通り、黄金色で、少し緑色を帯び、光沢がある。

粉質に富む。

噛むと甘涼味があり、粘性がある。

耳環石斛

楓斗(フウト)

石斛属の多種の植物の茎に特殊加工したもの。 [1]西楓斗、鉄皮楓斗(鉄皮石斛で製造)、銅皮楓斗(石斛原料)、雲南楓斗(小美石斛原料)

[2]円楓斗

[3]結子斗(ケツシト)

鮮石斛   [1]鉄皮石斛

[2]細茎石斛

[3]爪蘭石斛

  • [成分]金叉石斛はデンドロビン、デンドラミン、ノビロニン、デンドロキシン、デンドリン、6-ヒドロキシデンドロキシンを含み、また粘液質と澱粉をも含む。石斛はデンドロビン、デンドラミン、N-メチルデンドロビン(第4アンモニウム塩)を含む。羅河石斛はシフニンを含む。
  • [薬効]石斛として健胃・強壮がいわれている。

金釵石斛の流エキスは、人工発熱させたウサギに解熱作用を示さない。デンドロビンは一定の鎮痛・解熱作用を持ち、フェナセチンと類似の作用を示すが、作用は弱い。血圧と呼吸に対する抑制作用も示すが、中毒に至る投与量では引きつけを起こす。

流エキスはウサギの摘出腸に対して低濃度では興奮させ、高濃度では抑制作用がある。ヒキガエルの摘出心臓に対しては、濃度の高低にかかわらず、抑制作用がある。下肢血管に環流したときには、明らかな作用は見られなかった。

解熱・止渇・制吐作用又は解熱・鎮痛作用、健胃作用。

[015.9.DEN:2005.12.6.古泉秀夫]


  1. 上海科学技術出版・編:中薬大辞典;小学館,1998
  2. 伊澤一男:薬草カラー大事典;主婦の友社,1998