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納豆・ブロッコリーが糖尿病患者に摂取制限される理由

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:相互作用・糖尿病患者・摂取制限・納豆・ブロッコリー・糖尿病食

Q:糖尿病の患者さんに対する納豆・ブロッコリーの摂取制限について記載されている文献について

A:インスリン非依存型糖尿病患者にとって、最も大切なことは適切な食事と運動を日常生活に組入れ、肥満から脱却することであるとされている。

また糖尿病食はいわゆる病人食ではなく、“食べてよい食品・食べてはいけない食品”はない。糖尿病患者にとって重要なことは、過食は禁物であり、患者個々に定められた1日摂取量を守ることであるとされている。

その他、糖尿病治療食について、「一般的には、標準体重又はそれを若干下回る位(肥満度90%くらいまで)の少しやせ形の体重を維持しながら社会生活をすることができる必要限度のエネルギー量が糖尿病患者には適正である。

その根拠として二つの事項が挙げられる。」とする以下の報告がみられる。

  1. やせ形の体重維持は、身体のインスリン感受性を増加させ、1日食事摂取量を必要限度に抑えることと相俟って、身体のインスリン需要量を必要最低にし、糖尿病病態の原因であるインスリン作用の不足解消に役立つ。
  2. 健康人なみの社会生活に必要なエネルギーの供給をこの食事で確保できる。 従って、1日摂取総エネルギー量は、「糖尿病を持ちながら健康人なみの生活と寿命を得る」という、糖尿病の治療目標に適正な判断である。以上の各報告から糖尿病患者の食餌療法は、1日の摂取総エネルギー量と費消エネルギー量の平衡の問題であり、個別食品の摂取回避を求めていない。

質問の『納豆・ブロッコリー』の摂取制限は、両食材に含まれるビタミンKの含有量からワーファリンの服用者を対象としたものであり、当該患者の服用中の薬剤を精査し、ワーファリンが処方されていないのであれば、糖尿病食を理由として両食材の摂取を回避する理由は見あたらない。

[015.2.NAT:2005.1.11.古泉秀夫]


  1. 種瀬富男・他:糖尿病の人の食事;保健同人社,1986
  2. 七里元亮・編著:質疑応答による糖尿病;日本医事新報,1997
  3. 工藤龍彦:心臓病と納豆摂取制限;日本医事新報,No.3710,1995.6.3.
  4. 飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用研究班・編:改訂3版 飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用;薬業時報社,1999