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「浜松五社・諏訪神社」

金曜日, 3月 1st, 2013

      鬼城竜生

2012年10月7日-8日の両日、浜日本薬剤師会の学術大会が開催され、会として発表をするというので、出かけてきた。7日の昼に到着、アクトシティ浜松に開設された総合案内で受付を浜松-01浜松-02済ませ、ポスター展示会場の展示イベントホールに入った。既にあちらこちらで発表用のポスターの展示がされており、我が部隊も展示の準備を始めていた。初日は奇数番号がポスター発表の担当、我々は偶数番号なので翌日の発表と云うことになった。

今回の浜松行きの大きな目的の一つは、学会に集まる同窓生との懇親会をするため、地元の支部と共催する目的で、本部から出かけるのが習慣になっている。今回も地元静岡支部支部長の御努力によりオークラアクトシティホテル浜松で開催されることになった。取り敢えずポスターの展示が終わった段階で、宿泊するホテルにチェックインを行うと云うことで会場を後にしたが、ホテルの場所の聴き方が悪く、酷い遠回りをする羽目に陥った。驚いたのは浜松の街というのは横断歩道が少なく、殆どが地下道になっていると云うことで、車には便利かもしれないが、年寄りには過酷な状況を強いる街だという印象を持った。

浜松-03浜松-04どうにかホテルに辿り着き、手続きを終了。13時を過ぎていたので、何処かで昼飯を食いながら会場に戻ろうということにしたが、知らない街と云うこともあり、昼飯を食う場所が見当たらない。かじ町通りから電車通りに出て郵便局の裏通りを左に曲がったところパスタ・コーヒーの看板が眼に入った。あそこでいいやていうことで、入ってトマトのパスタとアイスコーヒーを注文した。何はさておき腹に物を入れたので満足して会場へ。その後意見交流会を終えて部屋に戻ったが、このホテル驚くべき合理化がされており、前払いの宿泊料は全て機械での入金だった。

次の日、午前中は会場に張り付いたが、12時30分で終了と云うことで、その後14時から17時迄の会議があるため、取り敢えずタクシーで五社神社に行くことにした。タクシーの女性運転手は五社神社の狛犬は大きいと自慢していたので、大きい狛犬は東京にもあるぜと云ったところ、五社神社にお客さんを送る度に御神籤を買うけど何時も大吉ですと威張っていた。それは凄いね。凶は滅多に出ないだろうけど、小吉や中吉は出るだろうにね。普段の行いがいいんだと申し上げているうちに神社に到着。車を降りると彼女も車を降りてき浜松-05て御神籤を買いますと云って社務所に駈けていった。お客さん、また大吉ですと叫ぶと急いで戻ってきて御神籤を見せてくれた。確かに大吉で商売の行き先良好と書かれていたので、よかったですねと申し上げ、神社の本殿に向かった。確かに狛犬はでかい。今迄見たことのない大きさであることは間違いない。

更にこの神社の珍しいところは鳥居の額束(がくづか)に「五社神社」と「諏訪神社」の名前を併記した“神社額”が掲げられていることである。社務所で戴いた四つ折りによると、五社神社の御祭神は『太玉命(ふとだまのみこと)、武雷命(たけみかづちのみこと)、斎主命(いわいぬしのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、姫大神(ひめのみこと) [相殿:応神天皇、舎人親王、菅原道真公、徳川家康公]』。諏訪神社の御祭神は『建御名方命(たけみなかたのみこと)、八坂刀売命(やさかとめのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)[相殿:徳川家康公]』とされている。

流石に浜松の神社である。応神天皇、舎人親王、菅原道真と共に徳川家康が合祀されている。その他、御祭神の一人、姫大神については、その出自がよく解らないとされているが、日本の神社というのは、そのお祀りしている神については、柔軟を通り越して無節操と思われるほどに自由であり、先人がお祀りした当時には、由緒正しい神だったと云うことかもしれない。

五社神社は曳馬城(後の浜松城)主・久野越中守が城内に創建した事に始まると伝えられる。後、徳川家康公、浜松城主となり天正七(西暦1579)年四月七日、秀忠公誕生に当り産土神として崇敬し、現在地に社殿を造営し天正八年遷座した。寛永十一(西暦1634)年の家光公上洛の砌、社参し朱印三百石を奉る。その節改めて社殿の造営がされ、寛永十八年竣工する。「お江戸見たくば五社諏訪ごろじ、お江戸まさりの五社や諏訪」と謡われ戦前まで国宝建造物に指定されていたという。

諏訪神社は延暦十(西暦791)年、坂上田村麻呂が東征の砌、敷智郡上中島村に奉斎と伝えられる。弘治二(西暦1556)年に曳馬城下、大手前に遷座される。秀忠公誕生に当り、五社神社と同じく産土神として崇敬され、天正七年徳川家康公、社殿を造営する。元和元年、秀忠公、社地を杉山に改め、更に寛永十一年、家光公、社参し朱印三百石を奉ると共に現在地に社地を遷し、寛永十八年竣工す。国宝建造物に指定されるも、昭和二十(西暦1945)年戦災により五社神社と共に消失すると紹介されている。

両社とも嘗ては国宝に指定されていたという。その当時の両社を見たかったと思うが無い物ねだりである。昭和三十五年両社合祀、昭和四十七年神社本庁別表神社に列格、現社殿は昭和五十七年竣工とされている。

五社・諏訪神社で御朱印を戴き、会議の会場に行くため、再度浜松駅の近くまで戻ることになったが、途中昨日昼飯を食った店が眼に付いたので、遅昼を喰うことにした。昨日注文した“完熟トマトのポモドーロ”は不味くはないのだが、火を通した丸ごとのトマトが2個乗っており、何とも酸っぱさに閉口していたので、本日は他の物にしようと“黒毛和牛のミートソース”とアイスコーヒーを御願いした。これは美味いスパゲッティだった。コーヒーもいい味をしていた。店を出てから店の名前を見たが、『トスカ』という店名で、浜松まちなかうまいもんマップに掲載されている店であった。

本日の総歩行数は8,153歩。行きにタクシーを使用した為、目的の歩数一万は達成できなかった。

                 (2012.10.25.)

『パンパスグラス』

金曜日, 3月 1st, 2013

                鬼城竜生

東京都江東区のシンボルプロムナード公園でパンパスグラスが見頃という記事が写真と共に掲載されていた。新聞に掲載される写真というのは、撮影者の技術で、実際とは異なって見える場パンパスグラス-01パンパスグラス-03合があるので、実際に見に行ってみることにした。

パンパスグラス(Pampas Grass)は、イネ科コルタデリア属の多年草の植物。学名:Cortaderia selloana。和名はシロガネヨシ。 原産地はアルゼンチン。南米大陸の草原に生育するところからパンパスグラスと名付けられているようである。ススキに似るが大形。雌雄異株。夏から秋にかけ、銀白色に輝く大きな雌穂をつけると解説されている。

新橋からゆりかもめに乗車し、6番目のお台場で下車、ホテルグランパシフィックの前を通り過ぎて、木製の遊歩道を通り、フジテレビの方向を目指すと、台座の上に金色の紡錘形の像が見えてくる。後で知ったのだが、何と平成10年に開催された「日本におけるフランス年」を記念して、フランスから贈られた像であるという。題名は『自由の炎』。台座と合わせて約27mと云うことで、意味も分からずこれはなんじゃいなと云うだけで通り過ぎたが、今度行く機会があればじっくりと観察してみたい。

公園の中に足を踏み入れた瞬間、左手側にガンダムの立像が見えたが、それを確認する前にパンパグラスを見ることが先だということで、奥に行くことにしたが、何せだだっ広い。誰か確認できるパンパスグラス-02パンパスグラス-04人は居ないかと探したが、見当たらない。ただテント張りのワインコーナーが見えたので近寄ってみると珈琲もあると書いてあったのでアイスコーヒーを頼む序でにこの近辺に芒のお化けみたいなのが咲いているはずだけどどこだか解りませんかと聞いたところ、知らないという返事をもらった。

仕方が無いので前に向かって闇雲に歩いていると、草を毟りながら花の根方に水をやっている方がいたので、芒のお化けみたい草が生えているところはどこでしょうとお訊ねすると、パンパグラスですね。それはその横断歩道を渡って直ぐの所、左手の小高い丘になっているところに見えますということで、横断歩道を渡って左側を見ると成る程、パンパグラスが眼に付いた。東京国際交流会館の前庭に当たる位置、空調の排出口を隠すための小山に植えたという感じで、期待していたほど壮大な群生ではなかった。ある意味写真の手品ということも出来るが、そこそこの群生ということで、写真にはなる風景であった。

写真を撮っているうちにあちらこちら痒くなってきた。当たり前の話で、藪ッ蚊の巣窟みたいな所に半袖で入っていったのだから勿怪の幸いということで、蚊の餌食になった。早々に退散して来る時パンパスグラス-05パンパスグラス-06に見たガンダムの写真を写して帰るということで、ガンダムの前まで行った。偶然、ガンダムの隣で、網で作ったガンダムの顔に花を飾る作業をやっていたので、ついでに写真に納めておいた。

同じゆりかもめの汐留駅で降りると、浜離宮恩賜庭園に近いので、昨年あまりよくなかった彼岸花はどうかと云うことで寄ることにした。毎年彼岸花の時期を狙ってきているが、昨年は何時までも暑さが厳しく、花の咲き具合はよくなかった。今年も昨年同様暑さが厳しく、果たしてどうかという危惧があった。

汐留駅を降りて浜離宮に行く道を地図で見ると、電通本社ビルの側に日本テレビタワーが有り、その壁面にジブリの監督がデザインした絡繰り時計が有り、丁度3時10分前で、3時には動くということで時計の演じるドラマを見ていくことにした。

その後、浜離宮恩賜庭園に行ったが、残念ながら彼岸花は影も形も見えなかった。暑さのため花の時期が遅れているのかとも思ったが、花芽の頭も出ていないという異常な状況に、職員の方に伺ったところ、第29回全国都市緑化フェアTOKYOの準備ため、芝を刈り揃えているので、花芽も一緒に刈ってしまったのではないかと云うことであった。平成24年9月29日(土)から平成24年10月28日(日)までの30日間にわたり開催されるということだが、緑花のお祭りのために、園内の彼岸花の花芽を全て刈り取ったとすれば、何ともまあ中途半端な話である。尤も9月20日(木)現在、彼岸花の便りはあまり耳にしないので、もう少し待たないと、刈り取ったのかどうかの判断は出来ないが、9月末辺りに再度確認に来てから悪口は云うべきかもしれない。

本日の総歩行数13,212歩。

                 (2012.9.23.)

『医師の診療拒否について』

金曜日, 3月 1st, 2013

 

KW:法律・規則・診療拒否・医師法・応招義務・正当の事由

Q:「医療機関(病院・診療所)は外来受診者を断れない」という法律はありますか?

A:医師の『応招義務』については、医師法第四章第一九条[応招義務等」として、次の規定が定められている。
『第一九条 診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない』
『2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会った医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証明書の交付の求めがあった場合には、正当の事由がなければこれを拒んではならない』
と規定されている。

この医師法第一九条が、医師の診療拒否を『不可』とする根拠である。

この規定でいう『正当な事由』とは「医師の手術中や病院のベッドが満床であることなども一応正当事由になりうるとされているが、訴訟になった場合『具体的事情を考慮して、事実上診療が不可能であったか否かの判断はかなり厳しく判断』されるとされている。また病院についても、医師の場合と同様の診療義務を負っていると解され、所属医師と同様の民事責任が認められる。

なお、受診拒否について、診療拒否によって患者に損害が生じた場合には、医師に過失があるとの一応の推定がされ、診療拒否に正当事由がある等の反証がないかぎり、医師の民事責任が認められている。

『正当な事由』については、一般的な基準となるものを設けることは難しく、厚生労働省においても基準が示されている訳ではない。医学的合理性と健全な社会通念、更に医師法第一条『医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする』とする『医師の任務』に反しないことが必要だと判断される。

尚、質問では“外来患者”のみを挙げているが、“入院患者”も同様であり、医療機関の都合のみで入院患者の退院を強制することは出来ない。

1)基本医療六法編纂委員会・編:基本医療六法 平成22年版;中央法規,2010

         [615.1.LOW:2013.1.29.古泉秀夫]

「パーキンソン病に効果が見られるとされる漢方薬」

金曜日, 3月 1st, 2013

 

KW:薬物療法・パーキンソン病・漢方薬・生薬・厚朴・白芍・半夏・甘草

Q:パーキンソン病に効果があるとされる漢方薬について

A:何等かの形でパーキンソン病に有効ではないかとされている生薬として『厚朴・白芍・甘草・半夏』等が挙げられている。

厚朴』:鎮痙作用が報告されている。煎汁は動物の遊離腸管の緊張を低下し、横紋筋の強直性収縮に対して軽度の緩解作用がある。本品の含有成分であるmagnocurarineにはクラーレ様作用、抗痙攣作用、magnolol及びhonokiolには鎮静、運動抑制、中枢性筋弛緩、抗胃潰瘍作用、抗菌作用、β-eudesmolには神経筋接合部遮断作用等が知られる。magnocurarine、β-eudesmolは各種標本で神経筋接合部での神経伝達を遮断し、クラーレ様作用が認められるという。厚朴エーテルエキス、magnolol、honokiolにはラット経口又は腹腔内投与で、アポモルヒネ、メタンフェタミン、モルヒネによる筋緊張を緩和させ、ストリキニーネ、ピクロトキシン、ペンテトラゾール、ニコチンによる振戦を抑制し、電撃やペニシリンの脳室内投与による痙攣などを抑制することが報告されている。

『白芍』:鎮痙・鎮痛作用が報告されている。家兎の遊離腸管及びラットの体内の胃・子宮平滑筋に対し、収縮力を減弱し、運動を抑制する。その他、鎮静作用が報告されており、配糖体は中枢神経系を抑制するとされている。

半夏』:鎮静作用が認められている。有効成分はalkaloidの一種である。

『甘草』:鎮痙作用。平滑筋の活動を抑制し、動物の遊離した腸管平滑筋に対して鎮痙作用がある。glycyrrhizinを殆ど含まないFM100分画は、中枢抑制的に働き、マウスの自発運動を低下させ、体温降下、呼吸抑制、鎮静作用があり、ヘキソバルビタール睡眠時間延長も認められる。また、実験的な痙攣を抑制する作用も報告されている。特にisoliquiritigeninに強い痙攣作用が検出されている。甘草煎液は、モルモット摘出回腸の低頻度経壁刺激、DMPP、acetylcholine、K+を抑制する。

方剤としては『半夏』と『厚朴』が配合された『半夏厚朴湯』や鎮痙・鎮痛の基本処方の『芍薬甘草湯』が使用されるとする報告が見られる。

『半夏厚朴湯エキス』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.5gを含有する。
日局半夏6.0g・日局茯苓5.0g・日局厚朴3.0g・日局蘇葉2.0g・日局生姜1.0g
効能・効果:気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症→不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症。

『芍薬甘草湯』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.5gを含有する。
日局甘草6.0g・日局芍薬6.0g
効能・効果:急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛。

その他、『六君子湯』、『抑肝散』、『四逆散』、『加味逍遥散』なども使用されるという。また、症状が慢性化した場合には、『柴朴湯』を使用するとされている。柴朴湯とL-DOPを併用すると、L-DOPAの効果持続時間を伸延し、不随意運動が減るなどL-DOPAの副作用を軽減すると共に、その作用を増強するとする報告が見られる。

『六君子湯』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.0gを含有する。
日局蒼朮4.0g・日局人参4.0g・日局半夏4.0g・日局茯苓4.0g・日局大棗2.0g・日局陳皮2.0g・日局甘草1.0g・日局生姜0.5g 。
効能・効果:胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐。

『抑肝散』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス3.25gを含有する。
日局蒼朮4.0g・日局茯苓4.0g・日局川芎3.0g・日局釣藤鈎3.0g・日局当帰3.0g・日局柴胡2.0g・日局甘草1.5g 。
効能・効果:虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症。

『四逆散』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.25gを含有する。
日局柴胡5.0g・日局芍薬4.0g・日局枳実2.0g・日局甘草1.5g 。
効能・効果:比較的体力のあるもので、大柴胡湯証と小柴胡湯証との中間証を表わすものの次の諸症:胆嚢炎、胆石症、胃炎、胃酸過多、胃潰瘍、鼻カタル、気管支炎、神経質、ヒステリー。

『加味逍遥散』
1日量6.00g中、下記生薬より抽出した水製乾燥エキス(加味逍遙散エキス)4.75gを含有する。
日局当帰3.00g・日局芍薬3.00g・日局白朮3.00g・日局茯苓3.00g・日局柴胡3.00g・日局 牡丹皮2.00g・日局山梔子2.00g・日局甘草2.00g・日局生姜 1.00g・日局薄荷 1.00g。
効能・効果:体質虚弱な婦人で、肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難症、更年期障害、血の道症。

『柴朴湯』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス5.0gを含有する。
日局柴胡7.0g・日局半夏5.0g・日局茯苓5.0g・日局黄岑3.0g・日局厚朴3.0g・日局大棗3.0g・日局人参3.0g・日局甘草2.0g・日局蘇葉2.0g・日局生姜1.0g
効能・効果:気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、せき、不安神経症。

『小承気湯』
本品は生大黄12g・厚朴6g・枳実9gを水煎服。
効能・効果:便秘、 発熱、腹部膨満感

尚、上記方剤の添付文書の効能・効果中にパーキンソン病の記載はされていない。
一方、パーキンソン病の病態として次の報告が見られる。パーキンソン病の基本臨床像は、

振戦(tremor):手の指が細かく震える。手を膝の上に置いている時(静止時)や、歩行時に目立ち、丸薬を丸めているような動きに見える(丸薬丸め振戦:pill rolling tremor)。
無動(症)(akinesia):躯の動きがぎごちなく緩慢になる。ベッドからの起き上がりに時間が掛かったり、ボタンの架け外しに時間が掛かる。
筋強剛あるいは固縮(rigidity):腕や足の筋の緊張が高まる。力を抜いて腕を曲げる時に、歯車が噛み合うような抵抗を示し、筋の緊張が高まる。
姿勢保持障害(postural instability):体のバランスが巧く取れない。進行すると突進様になったり転倒しやすくなる。

即ちパーキンソン病とは「動きが極端に遅くなる病気」といえるとされている。パーキンソン病はこれまで運動の症状が主体の疾患と考えられてきたが、最近では睡眠障害や抑鬱状態、認知機能障害、自律神経障害(頑固な便秘・脂ぎった顔など)、感覚障害など、運動機能以外の症状も疾患の初期から明らかになってきている。従って現在、パーキンソン病は脳の疾患と云うより、全身の疾患と捉えられるようになっているとする報告も見られる。

いずれにしろパーキンソン病に対する漢方治療は、試行段階ということが出来る。しかし、パーキンソン病が複合的な疾患であるとすれば、漢方薬の持つ作用が有効な場面も考えられる。

1)中山医学院・編:漢薬の臨床応用;医歯薬出版株式会社,1979
2)ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2011.8.改訂
3)ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2011.8.改訂
4) ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2012.11.改訂
5) ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)添付文書,2012.11.改訂
6)ツムラ四逆散エキス顆粒(医療用)添付文書,2007.5.改訂
7)ジュンコウ加味逍遙散FCエキス細粒 医療用添付文書,2005.10.改訂
8)ツムラ柴朴湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2007.05.改訂
9)伊田喜光・他監修:モノグラフ生薬の薬効・薬理;医歯薬出版株式会社,2003
10)山口徹・他総編集:今日の治療指針;医学書院,2011

             [035.1.PAR:2013.1.20.古泉秀夫]

『コケイン症候群について』

金曜日, 3月 1st, 2013

 

KW:語彙解釈・コケイン症候群・Cockayne症候群・早老症・DNA修復遺伝子

Q:コケイン症候群とはどのような疾病なのか。

A:コケイン症候群は常染色体劣勢疾患で、ERCC8遺伝子(DNAの除去修復に重要)の突然変異に起因する。またDNA修復遺伝子の異常により中枢及び末梢神経が障害されることにより、進行性に重度の神経運動発達遅滞、腎不全、難聴、視力障害、歩行障害を呈する疾患であるとされる。これらの疾患の進行により重度の身体障害を来たし、10-20歳代で死亡することが多く、早老症の一種である。本症例は発症年齢により3種類の型に分類される。

コケイン症候群(Cockayne症候群)は、日本においては100万出生あたり約2人、約70-100人の患者数が推定されている。原因はDNA修復遺伝子の異常による。本疾患の線維芽細胞において最も重要な所見は、紫外線に高感受性を示すことであり、紫外線障害によるRNA合成の回復が起こらず、転写された遺伝子の損傷修復、又は“転写と共役した修復”がみられないことだとされている。

Cockayne症候群の症状として、著名な低身長、低体重、小頭を呈し、視力障害、聴力障害、光線過敏などの皮膚症状、中枢神経および末梢神経障害の進行により重度の精神運動発達遅滞を合併する。合併症として低身長、低体重、小頭を呈し、視力障害、聴力障害、光線過敏などの皮膚症状、中枢神経および末梢神経障害の進行により重度の精神運動発達遅滞を合併する。

Cockayne症候群の根本的治療法は報告されていない。白内障に対しては手術、難聴では補聴器が奏功する場合もある。手指振戦に対してはTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)製剤が一部の患者に効果がある。日光過敏に対してはサングラス装着、紫外線防御クリームなどが効果がある。腎不全に対しては腹膜透析を行う場合もある。

Cockayne症候群は、次の3型に分類される。

Cockayne症候群I型:Cockayne症候群の8割を占める。出生時の身長、体重、頭囲は正常。新生児期、乳児期の早期には発達遅滞を認めない。
†生後半年頃より小頭に気づかれることが多く、徐々に、座位、はいはい、つたい歩き等の粗大運動の遅れや、精神遅滞を認めるようになる。一人歩きはできるようになるが、歩き方が不自然で、つっぱったり(痙性)、ふらついて転けることが多い。
†1-2歳をピークに徐々に運動能力は落ちていく。具体的には、末梢神経障害と、中枢神経障害による痙性が進行し、その結果上下肢の拘縮(こうしゅく)が出現し、やがて歩行困難となる。
†同時期より低身長、経口摂取不良に伴う痩せ(やせ)も顕著となる。
†そのほか視力や聴力の低下も出現する。また齲歯(うし)、日光過敏症、腎機能障害および高血圧もしばしば問題になる。
†その他、視力や聴力の低下も出現する。また齲歯、日光過敏症、腎機能障害及び高血圧もしばしば問題になる。
†自然歴としては、以前の報告では12歳前後で死亡する患者が多かったが、最近の全国調査では死亡例の平均年齢は18歳であった。これは栄養管理を含めた医療技術の向上に伴うと考えられる。死亡原因は腎不全、呼吸不全が多い。

Cockayne症候群II型:先天性Cockayne症候群ともいわれており、胎生期より成長障害を認めており出生児には既に低身長、小頭を呈している。また先天性の白内障をはじめとする眼科疾患や、感音性難聴を認めることもある。
†神経学的発達はほとんどみられず、粗大運動の発達はあっても一人歩きはできない。乳児期早期より側彎や関節拘縮を認めるようになる。
†5-6歳で経口摂取不良、消化不良及び痩せが一層悪化し、6-7歳頃に肺炎や腎不全、心不全で死亡することが多い。

Cockayne症候群III型:Cockayne症候群の中で最も頻度が少ないとされる。症例数が少なく、体系的なことは解っていないが、Ⅰ型に比べ発症時期が非常に遅く進行が緩徐である。実際には診断がついていない例もあると考えられる。

1)久保田雅也(国立成育医療研究センター・神経内科):コケイン症候群とは;コケイン症候群研究会,2013.1.30.
2)難病助成拡大を提言 治療法開発に期待の声;読売新聞,第49198号,2013.1.25.
3)太田さやか(国立成育医療研究センター・神経内科):コケイン症候群各論,2013.1.30.

4)福島雅典・総監修:メルクマニュアル 第18版 日本語版 ;日経BP社,2006

          [015.9.COC:2013.1.30.古泉秀夫]