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「マイスリー錠の副作用」

火曜日, 3月 26th, 2013

 

KW:副作用・マイスリー錠・zolpidem tartrate・ゾルピデム酒石酸塩・もうろう状態・睡眠随伴症状・夢遊症状警告・重要な基本的注意・重大な副作用・アムネジア・amnesia・記憶喪失・健忘

Q:マイスリー錠の副作用にアムネジアはあるか。

A:マイスリー錠(アステラス製薬)は1錠中にzolpidem tartrate(ゾルピデム酒石酸塩)5mg・10mgを含有する入眠剤である。本品は非benzodiazepine系薬剤であるが、benzodiazepine受容体に結合し、GABA receptorに影響を及ぼすことでGABA系の抑制機構を増強する。速効型で短時間型である。

本品は警告として『本剤の服用後に、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがある。また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあるので注意すること。』の記載がされている。

本品の適応上の注意として『本剤の投与は、不眠症の原疾患を確定してから行うこと。なお、統合失調症あるいは躁うつ病に伴う不眠症には本剤の有効性は期待できない。』とする指示がされている。また、適用上の注意事項として『1.本剤に対する反応には個人差があり、また、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)は用量依存的にあらわれるので、本剤を投与する場合には少量(1回5mg)から投与を開始すること。やむを得ず増量する場合は観察を十分に行いながら慎重に投与すること。ただし、10mgを超えないこととし、症状の改善に伴って減量に努めること。2.本剤を投与する場合、就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、患者が起床して活動を開始するまでに十分な睡眠時間がとれなかった場合、又は睡眠途中において一時的に起床して仕事等を行った場合などにおいて健忘があらわれたとの報告があるので、薬効が消失する前に活動を開始する可能性があるときは服用させないこと。』等の報告がされている。

その他、重要な基本的注意として『1.本剤の投与は継続投与を避け、短期間にとどめること。やむを得ず継続投与を行う場合には、定期的に患者の状態、症状などの異常の有無を十分確認のうえ慎重に行うこと。2.本剤の影響が翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。』等の注意事項が記載されている。 

本品の重大な副作用として、次の事項が報告されている。
1.依存性、離脱症状:連用により薬物依存(頻度不明)を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、反跳性不眠、いらいら感等の離脱症状(0.1-5%未満)があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
2. 精神症状、意識障害:せん妄(頻度不明)、錯乱(0.1-5%未満)、夢遊症状(頻度不明)、幻覚、興奮、脱抑制(各0.1%未満)、意識レベルの低下(頻度不明)等の精神症状及び意識障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には投与を中止すること。
3. 一過性前向性健忘、もうろう状態:一過性前向性健忘(服薬後入眠までの出来事を覚えていない、途中覚醒時の出来事を覚えていない)(0.1-5%未満)、もうろう状態(頻度不明)があらわれることがあるので、服薬後は直ぐ就寝させ、睡眠中に起こさないように注意すること。なお、十分に覚醒しないまま、車の運転、食事等を行い、その出来事を記憶していないとの報告がある。異常が認められた場合には投与を中止すること。
4. 呼吸抑制:呼吸抑制(頻度不明)があらわれることがある。また、呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合、炭酸ガスナルコーシスを起こすことがあるので、このような場合には気道を確保し、換気をはかるなど適切な処置を行うこと。
5. 肝機能障害、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

以上の各報告から本品には、アムネジア(amnesia:記憶喪失、健忘)あるいはtransient amnesia(一過性健忘)が報告されており、服用時には注意が必要である。特に短時間型作用薬は健忘・譫妄等の発現の恐れがあるとされており、服用に際しては注意が必要である。

1)高久史麿・他編:治療薬マニュアル2012;医学書院,2012
2)マイスリー錠添付文書,2012.10.

  [065.ZOL.2012.10.16.古泉秀夫]

『タンドスピロンクエン酸塩とジブラシドンの作用機序』

火曜日, 3月 26th, 2013

KW:臨床薬理・タンドスピロンクエン酸塩・ジブラシドン・セロトニン作動性抗不安薬・セロトニン-ドパミン拮抗薬・非定型抗精神病薬・非定型統合失調症治療薬・Atypical antipsychotic・SDA

Q:タンドスピロンクエン酸塩とジブラシドンの構造相似性と効果について

A:両剤の作用機作について、次の通り報告されている

一般名

tandospirone citrate

タンドスピロンクエン酸塩

ziprasidone又はziprasidone hydrochloride
ジプラシドン又はジプラシドン塩酸塩

セディール錠
(大日本住友)

ジオドン(geodon)
(ラクオリア創薬:国内第II相臨床試験中)
(ファイザー:国内未発売)

薬効分類 セロトニン作動性抗不安薬

セロトニン-ドパミン拮抗薬
非定型抗精神病薬



心身症(自律神経失調症、本態性高血圧症、消化性潰瘍)における身体症候ならびに抑うつ、不安、焦躁、睡眠障害

神経症における抑うつ、恐怖

通常、成人にはタンドスピロンクエン酸塩として1日30mgを3回に分け経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、1日60mgまでとする。

統合失調症(治療抵抗性統合失調症の長期治療薬として有効と示唆)
統合失調症での再発遅延
統合失調症に伴う急性の激越(筋肉内製剤)

双極性障害の急性躁病及び混合性エピソード
(米国での適応症)




抗不安作用:臨床における抗不安作用の指標となるコンフリクト試験で、ジアゼパムと同等の効力を示す(ラット)。

抗うつ作用:従来の三環系抗うつ薬が有する生体アミンの神経終末への再取り込み阻害作用は示さないが(ラット)、臨床における抗うつ作用の指標となる嗅覚球摘出ラットのマウス攻撃行動(ムリサイド)の抑制、オペラント試験における強化数の増加(ラット)、また、強制水泳試験での無動時間の短縮(ラット)等の作用が認められている。

心身症モデルでの検討:視床下部刺激による昇圧反応(ネコ)、電撃ショックストレス負荷による血漿中レニン活性の上昇(ラット)を抑制する。また、心理的ストレス負荷による胃潰瘍の発生(マウス)、水浸拘束ストレス負荷による摂食低下(ラット)を抑制する。

dopamine 2受容体を遮断し、精神病の陽性症状を軽減し、感情症状を安定化する。

serotonin 2A受容体を遮断することにより、特定の脳部位でのdopamine遊離を増強し、それによって運動系の副作用を軽減し、おそらく認知や感情症状を改善する。

他の多彩な神経伝達物質受容体での相互作用はziprasidoneの効果に寄与しているのであろう。

特に5HT2Cと5HT1A受容体での相互作用は、認知や感情症状への効果に寄与している患者がいるかもしれない。特に5HT1D受容体及びserotonin・norepine-

phrine・dopamineのトランスポーター(特に高用量)における相互作用は、感情症状への効果に寄与している患者がいるかもしれない。

陽性症状および陰性症状の双方に有効であるとされ、一方で、錐体外路系症状や遅発性ジスキネジア、高プロラクチン血症などの副作用が少なく、MARTA系の抗精神病薬にみられる体重増加に関する問題が少ないとされる。また、高用量では抗うつ作用も示すとされる




脳内セロトニン受容体のサブタイプの1つである5-HT1A受容体に選択的に作用することにより、抗不安作用や心身症モデルにおける改善効果を示すと考えられる。また、抗うつ作用の主な発現機序は、セロトニン神経終末のシナプス後5-HT2受容体密度の低下が関与していると推定される。 serotonin 5-HT2A受容体拮抗作用とdopamine D2受容体拮抗作用を有する非定型統合失調症治療薬。5-HT2A/D2比が最も高く、また他のdopamine、serotoninサブタイプ受容体にも強力な作用を持つことから有効性が高く、錐体外路性副作用や遅発性ジスキネジアが少ない。更に非定型統合失調症治療薬では異色のノルエピネフリン取込阻害作用も有する。米では臨床試験で心電図にQT時間の延長が見られたため、新データを添えて再申請、2001年2月20日FDAが承認、発売した。米での適応は適応症欄参照。


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非定型抗精神病薬(Atypical antipsychotic)

定型抗精神病薬に対応して用いられる用語である。第二世代抗精神病薬ともいう。
定型抗精神病薬は、その薬理学的作用機序により錐体外路症状、高プロラクチン血症などの副作用が出やすい傾向にあった。それに対して非定型抗精神病薬はそのような副作用が少なくなるように作られている。基本的な薬理学的作用機序はdopamine 2受容体とserotonin 2A受容体の遮断にある。dopamine 2受容体の遮断は、中脳辺縁系に作用し特に統合失調症の陽性症状に対して効果を示すが、中脳黒質経路、漏斗下垂体経路、前頭前野経路に働くことによりそれぞれ錐体外路症状、高プロラクチン血症、陰性症状などの副作用、有害事象が出現するとされている。serotonin 2A受容体の遮断は、中脳辺縁系以外のdopamineの遊離を促進するため非定型抗精神病薬ではこれらの有害事象が出難いと考えられている。serotoninとdopamineの遮断が非定型抗精神病薬の主たる薬理作用であるため、SDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬:serotonin・dopamine antagonist)又はDSAと呼ばれることもある。

現在日本で使用できる非定型抗精神病薬はrisperidone、quetiapine、perospirone、olanzapine、aripiprazole、blonanserinの6種類であるとする報告が見られる。

1)セディール錠添付文書,2009.6.改訂
2)仙波純一:精神科治療薬処方ガイド;MEDSi,2006
3)New Current,20(14):28(2009.6.20.)

            [015.4.ZIP:2009.9.6.古泉秀夫]

「天天素清脂交嚢について」

火曜日, 3月 26th, 2013

KW:健康食品・天天素清脂交嚢・Mysore・HCA・mazindol・マジンドール・シブトラミン・sibutramine・ヒドロキシクエン酸・hydrocitic acid・ガルシニア

Q:新聞等で健康被害報道がされている『天天素清脂こう嚢』について

A:『天天素清脂こう嚢』(コウは月偏に交)について、次の報告がされている。

中国製とみられるダイエット用健康食品「天天素」が原因と疑われる下痢や腹痛などの健康被害の報告が8都県で10人にのぼっていることが26日、厚生労働省のまとめで分かった。このうち東京都では10代の女性が死亡した。いずれも違法な向精神薬が含まれていたうえ、インターネット上で取引されていた。死亡した女性は、約2カ月半前から天天素を使用しており、13キロやせたという。都は天天素が死亡につながった恐れがあるとみている。
厚労省には、東京のほか、岡山(2人)、広島、富山、千葉、福島、群馬、愛知(2人)の各県から天天素を使用した女性の健康被害が報告されている。愛知県では10代の女性が入院中で、意識レベルが低下するなど重症という。
天天素はカプセル剤で、製造者として「野馬生物(広州)保健品有限公司」の表示がされている。これまでの検査で、国内では未承認の肥満症治療剤の「シブトラミン」と、法律で規制されている向精神薬「マジンドール」が検出されたため、厚労省は入手経路や販売業者を調べている[朝日新聞,2005.5.26.]。

『天天素』の表示成分について、直接現品確認をすることはできなかったが、HP上に公表された成分として、HCA及びインド南部が原産とされるMysoreから抽出されたフラボノイド・vitaminB1・vitaminB6・vitaminB12等各種ビタミン・鉄・亜鉛・カルシウム等とする紹介がされている。

*Mysore:インド南西部の都市、マイソール(Mysore)に由来する名称である。キツネノマゴ科ツンベルギア属の蔓性常緑多年草で、学名:Thunbergia mysorensis。和名:矢筈葛(ヤハズカズラ)。総状花序が1メートルほど伸び、元の方から順次開花する。黄色い花弁と暗赤褐色の苞が美しい花で、温暖な気候の地域では一年中見ることができるとされている。ただし、矢筈葛で検索すると学名:Thunbergia alata。英名:Black-eyed susan vine(黒い瞳のスーザン葛)、Clock vine等の結果が得られた。参照までに花の写真を引用する。

矢作葛-001

(Thunbergia mysorensis)

   

矢作葛-002

(Thunbergia alata:矢筈葛)

*HCA:ヒドロキシクエン酸(hydroxycitic acid)。本品は南アジア原産のオトギリソウ科の柑橘類ガルシニア・カンボジアの果実に含まれる有機酸で、“ガルシニア”とも呼ばれる。ヒドロキシクエン酸は、肝細胞・脂肪細胞の細胞質で行われるクエン酸からアセチルCoAを生成するATP-クエン酸リアーゼの反応を阻害することで知られている。クエン酸がアセチルCoAに変わる反応は、脂肪の材料である脂肪酸の合成に必須である。従って“ガルシニア”が血液中の脂肪を低下させたり、肥満を予防する可能性が考えられている。
“ガルシニア”によって、細胞質でのクエン酸のアセチルCoAへの転換が阻害されると、ミトコンドリアにクエン酸がたまることになる。クエン酸がミトコンドリアにたまると、ケトン体が体内に増加し、酸性体質になる可能性がある。しかし、“ガルシニア”によってケトン体が増加するという状況は実際にはあまり見られないとされている。“ガルシニア”はATP-クエン酸リアーゼを阻害する他に、膵臓リパーゼの反応を抑制して、食事中の脂肪の腸管吸収を抑制することが明らかにされている。
その他、“ガルシニア”は糖質が脂肪に変換されるのを防ぎ、エネルギーとして利用されやすくする働きがあるとされており、ウォーキングなどの有酸素運動との組み合わせにより体脂肪の燃焼効果が増大するとされている。脳下垂体を刺激し、空腹感を感じなくさせることが知られている。健康食品としてのガルシニアエキス摂取の目安量はヒドロキシクエン酸換算で、体重50kgの成人で1.5g/日を超えない量とする。ラットにおける実験で、ガルシニアの長期にわたる大量摂取で、ラット精巣に影響が見られたとする報告もされている。

*フラボノイド(flavonoid):この名称は高等植物に普通に現れるフラボンから由来しており、ベンゼン核2個が中間に炭素原子3個を挟んで直列に結合した色素化合物の総称名である。これに含まれるものはカルコン、フラバノン、フラバノノール、フラボン、フラボノール、イソフラボン、アントシアニジン類である。このうち色を持つものにはアントシアニジン(赤褐色-黒紫色)、フラボン(黄色-橙色)、フラボノール(黄色-橙色)及びカルコン(橙黄色-橙赤色)などがある。古くは黄色の色素化合物の総称名でアントキサンチンとも呼ばれていた。

その他、分析の結果、未表示の成分としてマジンドール(mazindol)・シブトラミン(sibutramine)・フェノールフタレイン(phenolphthalein)の存在が確認されたと報告されている。

*マジンドール(mazindol):食欲抑制剤。医療用医薬品。劇薬、第3種向精神薬(麻薬及び向精神薬取締法の向精神薬に該当。)、習慣性医薬品、指定医薬品、処方せん医薬品。
食欲中枢への直接作用及び神経終末におけるノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンを介した機序により摂食抑制作用を示すとともに、消化吸収を抑制することにより摂取エネルギーを減少させ、肥満を是正すると考えられている。
重大な副作用:依存性、肺高血圧症。
その他の副作用:1.精神神経系(口渇感、頭痛、睡眠障害、脱力感、眠気、倦怠感、いらいら感、眩暈、ふらつき、神経過敏、激越、抑うつ、神経障害、振戦、幻覚、知覚異常、不安、痙攣)。2.消化器(便秘、悪心、嘔吐、胃部不快感、腹部膨満感、腹痛、下痢)。3.循環器(動悸、頻脈、胸痛、血圧上昇、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、心停止、顔面紅潮)。4.過敏症(発疹、掻痒感)。5.肝臓(AST・ALTの上昇)。6.泌尿器(排尿困難、頻尿)。7.その他(口中苦味感、発汗、性欲減退、咽頭不快感、寒気、脱毛、月経異常)。

*シブトラミン(sibutramine):肥満症治療剤。本薬は、わが国では承認されていない。
副作用:頭痛、口渇、便秘、不眠、鼻炎 等。そ の 他:米国の添付文書に警告として「血圧及び心拍数の増加」が記載されている。

*フェノールフタレイン(phenolphthalein):緩下剤。本品は水には不溶であるが、アルコールには可溶。小腸内で可溶性塩となり、平滑筋に対する直接の収縮作用と粘膜に対する刺激作用により腸運動を亢進させるので下剤として用いられた。米国において動物実験により発ガン性が報告され、国内においても製造が中止された。

表示された成分を見て、肥満解消可能と判断した根拠は、ヒドロキシクエン酸が配合されているということであろうが、未公表配合成分を見ると製造業者は、表標記の成分だけで効果が得られるということについて、全く信じていなかったということのようである。
『いわゆる健康食品』摂取で、肥満解消は無理だということをそろそろ理解すべきである。

1)http://www.asahi.com/life/update/0526/006.html?t5,2005.6.3.
2)http://drugmania.exblog.jp/,2005.6.6.
3)http://www.botanic.jp/plants-ma/thumys.htm,2005.6.6.
4)奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典-機能性食品・特定保健用食品;東洋医学舎,2004-2005
5)澤 賀津子・他:サプリメント・ブック;日本文芸社,2003
6)薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
7)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2005
8)飯野靖彦・監訳:スカット・モンキーハンドブック;メディカル・サイエンス・インターナショナル,2003
9)http://wwhttp://www.r-dietetics.com/hca.htmw.r-dietetics.com/hca.htm,2005.6.6.
10)http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=93&id=8900&page=1,2005.6.6.

        [015.9.HCA:2005.6.11.古泉秀夫]

参照資料として厚生労働省の発信文書を以下に添付する。

                                                              平成17年5月27日
                                        厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課

ダイエット用食品「天天素(天天素清脂こう嚢)」(マジンドール等を含有する無承認無許可医薬品)によると疑われる健康被害について

ダイエット用食品として販売されていた「天天素(天天素清脂こう嚢:てんてんそせいしこうのう)」については、5月24日に「マジンドール」「シブトラミン」等の医薬品成分が検出され、広島県等、全国各地から健康被害の事例が公表されております。また、5月26日には東京都からこの製品との因果関係が疑われる死亡事例が公表されております。
この製品による健康被害の拡大を防止するために、国民の皆様にこの製品を服用しないことなどの注意を呼びかけるQ&Aを作成しましたので、ご留意ください。

Q1.「天天素」とはどんな製品ですか。「天天素」の安全性は確認されているのでしょうか。

A.この製品はダイエット用食品としてインターネット等を通じて販売されていましたが、国立医薬品食品衛生研究所等で分析した結果、向精神薬の「マジンドール」と、わが国で承認されていない「シブトラミン」等の医薬品成分が検出されました。
医薬品は薬事法により、わが国で安全性、有効性等が審査されて承認された製品だけが流通可能ですが、この製品については無承認無許可医薬品であり、安全性等は全く確認されていません。
また、この製品を服用したことによると疑われる健康被害が報告されていますので、絶対に服用しないでください。

Q2.どのような健康被害が報告されているのでしょうか。

A.この製品を服用した方について、眩暈(めまい)、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、頭痛、不眠、動悸、口の渇き等の健康被害が報告されています。
また、この製品との因果関係が疑われる死亡事例、入院治療を受けられた事例も報告されています。

Q3. 「天天素」を服用したことがあるのですが、どうしたらいいでしょうか。

A.この製品の安全性は確認されておらず、健康被害を起こすおそれがありますので、絶対に服用しないでください。これまでに服用したと思われる方で、身体に異常を感じられている方は、医療機関を受診されるか、最寄りの保健所に相談ください。

Q4.「マジンドール」とはどんな医薬品成分ですか。副作用はどのようなことが知られていますか。

A.食欲抑制剤(麻薬及び向精神薬取締法の向精神薬に該当。)

適 応:食事療法、運動療法の効果が不十分な高度肥満症
副 作 用:口渇感、便秘、悪心・嘔吐、睡眠障害、胃部不快感 等
重大な副作用:依存性、肺高血圧症
用 法・用 量:成人1日1回0.5mg、1日最高1.5mgまで

Q5.「シブトラミン」とはどんな医薬品成分ですか。副作用はどのようなことが知られていますか。

A.肥満症治療剤(わが国では承認されていない成分)
米国の適応:肥満症の治療(肥満における体重減少及び体重減少の維持)
副 作 用:頭痛、口渇、便秘、不眠、鼻炎 等
米国の添付文書に警告として「血圧及び心拍数の増加」が記載されている。

Q6.この製品を他人に販売したり、譲渡したりすると法律違反になるのでしょうか。

A.この製品は薬事法上、無承認無許可の医薬品であると同時に、麻薬及び向精神薬取締法の向精神薬に該当します。従って、この製品を販売または譲渡したり、広告すること、輸入することは、薬事法、麻薬及び向精神薬取締法で禁じられています。

『貧者の一灯-福島』

月曜日, 3月 4th, 2013

        鬼城竜生

残念ながら年と共に体力は衰え、口で言うほどには体力は伴わない。東日本大震災の惨状を見るに付け、手助けが出来る方法は無いかと考えて見たが、竈の火の番程度の手伝いでは、邪福島-001福島-002魔になるだけだろう。そこで少し落ち着いてきた現地の状況を見ながら、出かけていって現地で買い物をしたり旅館に泊まる。そのことで現地を支援できればいいのでは無いか。“貧者の一灯”程度の物かもしれないが、我々がこの計画を語り広げることで、他の人々にも輪を広げることが出来るのでは無いか。取り敢えず東京医労連OB会で、バス旅行を企画しようと云うことになった。

日程は2012年6月3日(日曜日)-4日(月曜日)の両日に掛けて出かけることになった。
3日は8:00に新宿を出発、11:00-14:00に“いわき”に到着し、津波の被災地の状況を確認、16:30分に東山温泉の東鳳に到着。
4日は9:00に宿舎を出発。9:10-10:40飯盛山-鶴ヶ城見学。11:40-13:00大内宿(昼食・見学)、17:00新宿着。

3日の日は途中から福島県医労連特別執行委員の馬上勇孝氏(全労災福島支部OB)に同道願って被災地の御案内を御願いすることになっていた。丸克商店の食堂で昼食後、いわきマリンタワー経由で県立小名浜水産高校の津波で全壊した体育館を塀の外から見学、続いて独立行政法人国立いわき病院を建物の外から見学、病院の直ぐ傍に住んでいて被災した全医労いわき支部の阿部書記長さんから被災当時の病院の状況を説明して戴いた。

その後、津波被害が酷かったという豊間地区を通り、塩屋崎灯台下の山六観光で、同社社長に津波の凄まじさと、現在の状況について解説して戴いた。その後一路東山を目指したが、バスの車窓から見た風景が忘れられない。家の基礎が僅かに残る庭とおぼしき辺りで、老婦が一人草を抜いている姿があった。住める当てのない土地である。普通なら放り出してしまうところであるが、何処も綺麗に草は刈り取られていた。また、若い人達が、残った基礎のコンクリートに彩色を施している姿が見られたが、頭の下がる話である。

                          被災せし庭の草取る老婦かな
                          何もかも失いし庭草毟る
                          失いしもの数えしや草毮
                          老いの手で瓦礫の庭の草毟る

ホテルに着いた総勢28名は、定番の宴会で楽しい一時を過ごし、部屋での二次会も適当に切り上げ、明日の行程に備えることにした。

福島-003福島-004次の日ホテルを出て直ぐの所に飯盛山があり、表参道からエスカレーターで白虎隊の墓の場所まで登った。イタリー碑や狛犬の写真を写している時に、突然、白虎隊の曲が流れてきて女性が踊りを始めた。何処かの団体が依頼した踊りなのかもしれない。
白虎隊は、江戸時代後期、戊辰戦争に際して、新政府軍と幕府方の会津藩の間で発生した戦(会津戦争)に際して、会津藩の少年たちで構成された部隊が結成され、その隊の名前である。そのうち士中二番隊が戸ノ口原の戦いにおいて敗走し、撤退する際に飯盛山に逃れ、鶴ヶ城周辺の武家屋敷等が燃えているのを落城と錯覚し、もはや帰るところもないと自刃したのがこの地であると説明されている。

飯盛山からの降りは、さざえ堂の前を通って本参道に出る道を取った。この帰り道で驚いたのは、広重の版画でしか見たことのない“さざえ堂”が目の前にあったことである。

栄螺堂は、江戸時代後期の特異な建築様式の仏堂である。堂内は回廊となっており、順路に沿って三十三観音や百観音などが配置され、堂内を進むだけで巡礼が叶うような構造となっている。仏教の礼法である右繞三匝(うにょうさんぞう)に基づいて、右回りに三回匝る(めぐる)ことで参拝できるようになっていることから、本来は三匝堂(さんそうどう)というが、螺旋構造や外観がサザエに似ていることから通称で「栄螺堂」、「サザエ堂」などと呼ばれる。

飯盛山のさざえ堂は、戸ノ口堰洞門の近くにあり、寛政八年(1796年)、実相寺の僧郁堂により建立されたといわれる仏堂である。六稜三層の形がさざえに似ていることからこの名で親しまれている。堂内に入ると、上り下りするためのらせん階段があり、参拝者は一度も対向する他の人に出会うことなく、また一度も同じ道を通ることなく、一方通行で堂内を参ることができるという世界的にも珍しい建物になっている。平成八年六月には、当時の庶民文化を語る貴重な歴史的資料として国の重要文化財に指定されたとする紹介がされている。これはもっと宣伝して、御参りする人を増やしたらどうだろう。

                            著莪の花会津若松さざえ堂

福島-005福島-006続いて史跡若松城跡-鶴ヶ城天守閣の見学のため城を訪れた。本城の建物群は、明治七年に取り壊されたとされているが、今の天守閣は、昭和四十年に鉄筋コンクリートで復元されたされた物のようである。この天守閣の特徴は、他の城に見られる黒色の瓦では無く、赤色の瓦が使われているところのようである。天守閣に登る部隊と、茶室“麟閣”で御茶を飲む部隊に分かれ、御茶を飲む部隊に入った。

鶴ヶ城の見学終了後再びバスで昼飯の場所である大内宿を目指した。猪苗代湖の湖畔を通る道すがら野藤が紫の花を付けていたが、中に紫の桐の花もあったと云われたが、それには気がつかなかった。

                                               野の藤や次々よぎる磐梯路

大内宿は、会津城下と下野の国(日光今市)を結ぶ三十二里の区間の中で会津から二番目の宿駅として1640年頃に整備された宿場町である。南山通り・下野街道・日光街道・会津西街道とも呼ばれ、会津藩主の十八回に及ぶ江戸参勤と江戸廻米の輸送等に利用した重要路線であった。また、以前の記録では天正十八年(1590年)伊達政宗の小田原参陣、同年の豊臣秀吉の奥羽仕置きに当宿場を通行した記録があるとされる。また山本村から大内と改められた経緯は、後白河天皇第三皇子の高倉以仁王は、平家物語では1180年源頼政の勧めで平家を倒すため令旨を発し、兵を挙げたが宇治平等院での戦いで敗れ、渡部唱等と越後国小国の頼之を頼って逃亡した。その途中、当時の山本村に逗留され「高峰の風吹き戻す山本にこころとどめし道しるべして」と詠い、この里が宮中の大内(だいり)によく似ているため大内と改めたといわれているとする解説が見られる。
る。

兎に角、ここで予約していた蕎麦を食い、冷や酒で一杯やったが、摘みに出された山菜の煮付けは旨かった。

この間の総歩行数6月3日(日曜日)4,909歩・6月4日(月曜日)7,811歩の歩行数である。

      (2012.7.16)

「浜松五社・諏訪神社」

金曜日, 3月 1st, 2013

      鬼城竜生

2012年10月7日-8日の両日、浜日本薬剤師会の学術大会が開催され、会として発表をするというので、出かけてきた。7日の昼に到着、アクトシティ浜松に開設された総合案内で受付を浜松-01浜松-02済ませ、ポスター展示会場の展示イベントホールに入った。既にあちらこちらで発表用のポスターの展示がされており、我が部隊も展示の準備を始めていた。初日は奇数番号がポスター発表の担当、我々は偶数番号なので翌日の発表と云うことになった。

今回の浜松行きの大きな目的の一つは、学会に集まる同窓生との懇親会をするため、地元の支部と共催する目的で、本部から出かけるのが習慣になっている。今回も地元静岡支部支部長の御努力によりオークラアクトシティホテル浜松で開催されることになった。取り敢えずポスターの展示が終わった段階で、宿泊するホテルにチェックインを行うと云うことで会場を後にしたが、ホテルの場所の聴き方が悪く、酷い遠回りをする羽目に陥った。驚いたのは浜松の街というのは横断歩道が少なく、殆どが地下道になっていると云うことで、車には便利かもしれないが、年寄りには過酷な状況を強いる街だという印象を持った。

浜松-03浜松-04どうにかホテルに辿り着き、手続きを終了。13時を過ぎていたので、何処かで昼飯を食いながら会場に戻ろうということにしたが、知らない街と云うこともあり、昼飯を食う場所が見当たらない。かじ町通りから電車通りに出て郵便局の裏通りを左に曲がったところパスタ・コーヒーの看板が眼に入った。あそこでいいやていうことで、入ってトマトのパスタとアイスコーヒーを注文した。何はさておき腹に物を入れたので満足して会場へ。その後意見交流会を終えて部屋に戻ったが、このホテル驚くべき合理化がされており、前払いの宿泊料は全て機械での入金だった。

次の日、午前中は会場に張り付いたが、12時30分で終了と云うことで、その後14時から17時迄の会議があるため、取り敢えずタクシーで五社神社に行くことにした。タクシーの女性運転手は五社神社の狛犬は大きいと自慢していたので、大きい狛犬は東京にもあるぜと云ったところ、五社神社にお客さんを送る度に御神籤を買うけど何時も大吉ですと威張っていた。それは凄いね。凶は滅多に出ないだろうけど、小吉や中吉は出るだろうにね。普段の行いがいいんだと申し上げているうちに神社に到着。車を降りると彼女も車を降りてき浜松-05て御神籤を買いますと云って社務所に駈けていった。お客さん、また大吉ですと叫ぶと急いで戻ってきて御神籤を見せてくれた。確かに大吉で商売の行き先良好と書かれていたので、よかったですねと申し上げ、神社の本殿に向かった。確かに狛犬はでかい。今迄見たことのない大きさであることは間違いない。

更にこの神社の珍しいところは鳥居の額束(がくづか)に「五社神社」と「諏訪神社」の名前を併記した“神社額”が掲げられていることである。社務所で戴いた四つ折りによると、五社神社の御祭神は『太玉命(ふとだまのみこと)、武雷命(たけみかづちのみこと)、斎主命(いわいぬしのみこと)、天児屋根命(あめのこやねのみこと)、姫大神(ひめのみこと) [相殿:応神天皇、舎人親王、菅原道真公、徳川家康公]』。諏訪神社の御祭神は『建御名方命(たけみなかたのみこと)、八坂刀売命(やさかとめのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)[相殿:徳川家康公]』とされている。

流石に浜松の神社である。応神天皇、舎人親王、菅原道真と共に徳川家康が合祀されている。その他、御祭神の一人、姫大神については、その出自がよく解らないとされているが、日本の神社というのは、そのお祀りしている神については、柔軟を通り越して無節操と思われるほどに自由であり、先人がお祀りした当時には、由緒正しい神だったと云うことかもしれない。

五社神社は曳馬城(後の浜松城)主・久野越中守が城内に創建した事に始まると伝えられる。後、徳川家康公、浜松城主となり天正七(西暦1579)年四月七日、秀忠公誕生に当り産土神として崇敬し、現在地に社殿を造営し天正八年遷座した。寛永十一(西暦1634)年の家光公上洛の砌、社参し朱印三百石を奉る。その節改めて社殿の造営がされ、寛永十八年竣工する。「お江戸見たくば五社諏訪ごろじ、お江戸まさりの五社や諏訪」と謡われ戦前まで国宝建造物に指定されていたという。

諏訪神社は延暦十(西暦791)年、坂上田村麻呂が東征の砌、敷智郡上中島村に奉斎と伝えられる。弘治二(西暦1556)年に曳馬城下、大手前に遷座される。秀忠公誕生に当り、五社神社と同じく産土神として崇敬され、天正七年徳川家康公、社殿を造営する。元和元年、秀忠公、社地を杉山に改め、更に寛永十一年、家光公、社参し朱印三百石を奉ると共に現在地に社地を遷し、寛永十八年竣工す。国宝建造物に指定されるも、昭和二十(西暦1945)年戦災により五社神社と共に消失すると紹介されている。

両社とも嘗ては国宝に指定されていたという。その当時の両社を見たかったと思うが無い物ねだりである。昭和三十五年両社合祀、昭和四十七年神社本庁別表神社に列格、現社殿は昭和五十七年竣工とされている。

五社・諏訪神社で御朱印を戴き、会議の会場に行くため、再度浜松駅の近くまで戻ることになったが、途中昨日昼飯を食った店が眼に付いたので、遅昼を喰うことにした。昨日注文した“完熟トマトのポモドーロ”は不味くはないのだが、火を通した丸ごとのトマトが2個乗っており、何とも酸っぱさに閉口していたので、本日は他の物にしようと“黒毛和牛のミートソース”とアイスコーヒーを御願いした。これは美味いスパゲッティだった。コーヒーもいい味をしていた。店を出てから店の名前を見たが、『トスカ』という店名で、浜松まちなかうまいもんマップに掲載されている店であった。

本日の総歩行数は8,153歩。行きにタクシーを使用した為、目的の歩数一万は達成できなかった。

                 (2012.10.25.)

『パンパスグラス』

金曜日, 3月 1st, 2013

                鬼城竜生

東京都江東区のシンボルプロムナード公園でパンパスグラスが見頃という記事が写真と共に掲載されていた。新聞に掲載される写真というのは、撮影者の技術で、実際とは異なって見える場パンパスグラス-01パンパスグラス-03合があるので、実際に見に行ってみることにした。

パンパスグラス(Pampas Grass)は、イネ科コルタデリア属の多年草の植物。学名:Cortaderia selloana。和名はシロガネヨシ。 原産地はアルゼンチン。南米大陸の草原に生育するところからパンパスグラスと名付けられているようである。ススキに似るが大形。雌雄異株。夏から秋にかけ、銀白色に輝く大きな雌穂をつけると解説されている。

新橋からゆりかもめに乗車し、6番目のお台場で下車、ホテルグランパシフィックの前を通り過ぎて、木製の遊歩道を通り、フジテレビの方向を目指すと、台座の上に金色の紡錘形の像が見えてくる。後で知ったのだが、何と平成10年に開催された「日本におけるフランス年」を記念して、フランスから贈られた像であるという。題名は『自由の炎』。台座と合わせて約27mと云うことで、意味も分からずこれはなんじゃいなと云うだけで通り過ぎたが、今度行く機会があればじっくりと観察してみたい。

公園の中に足を踏み入れた瞬間、左手側にガンダムの立像が見えたが、それを確認する前にパンパグラスを見ることが先だということで、奥に行くことにしたが、何せだだっ広い。誰か確認できるパンパスグラス-02パンパスグラス-04人は居ないかと探したが、見当たらない。ただテント張りのワインコーナーが見えたので近寄ってみると珈琲もあると書いてあったのでアイスコーヒーを頼む序でにこの近辺に芒のお化けみたいなのが咲いているはずだけどどこだか解りませんかと聞いたところ、知らないという返事をもらった。

仕方が無いので前に向かって闇雲に歩いていると、草を毟りながら花の根方に水をやっている方がいたので、芒のお化けみたい草が生えているところはどこでしょうとお訊ねすると、パンパグラスですね。それはその横断歩道を渡って直ぐの所、左手の小高い丘になっているところに見えますということで、横断歩道を渡って左側を見ると成る程、パンパグラスが眼に付いた。東京国際交流会館の前庭に当たる位置、空調の排出口を隠すための小山に植えたという感じで、期待していたほど壮大な群生ではなかった。ある意味写真の手品ということも出来るが、そこそこの群生ということで、写真にはなる風景であった。

写真を撮っているうちにあちらこちら痒くなってきた。当たり前の話で、藪ッ蚊の巣窟みたいな所に半袖で入っていったのだから勿怪の幸いということで、蚊の餌食になった。早々に退散して来る時パンパスグラス-05パンパスグラス-06に見たガンダムの写真を写して帰るということで、ガンダムの前まで行った。偶然、ガンダムの隣で、網で作ったガンダムの顔に花を飾る作業をやっていたので、ついでに写真に納めておいた。

同じゆりかもめの汐留駅で降りると、浜離宮恩賜庭園に近いので、昨年あまりよくなかった彼岸花はどうかと云うことで寄ることにした。毎年彼岸花の時期を狙ってきているが、昨年は何時までも暑さが厳しく、花の咲き具合はよくなかった。今年も昨年同様暑さが厳しく、果たしてどうかという危惧があった。

汐留駅を降りて浜離宮に行く道を地図で見ると、電通本社ビルの側に日本テレビタワーが有り、その壁面にジブリの監督がデザインした絡繰り時計が有り、丁度3時10分前で、3時には動くということで時計の演じるドラマを見ていくことにした。

その後、浜離宮恩賜庭園に行ったが、残念ながら彼岸花は影も形も見えなかった。暑さのため花の時期が遅れているのかとも思ったが、花芽の頭も出ていないという異常な状況に、職員の方に伺ったところ、第29回全国都市緑化フェアTOKYOの準備ため、芝を刈り揃えているので、花芽も一緒に刈ってしまったのではないかと云うことであった。平成24年9月29日(土)から平成24年10月28日(日)までの30日間にわたり開催されるということだが、緑花のお祭りのために、園内の彼岸花の花芽を全て刈り取ったとすれば、何ともまあ中途半端な話である。尤も9月20日(木)現在、彼岸花の便りはあまり耳にしないので、もう少し待たないと、刈り取ったのかどうかの判断は出来ないが、9月末辺りに再度確認に来てから悪口は云うべきかもしれない。

本日の総歩行数13,212歩。

                 (2012.9.23.)

『医師の診療拒否について』

金曜日, 3月 1st, 2013

 

KW:法律・規則・診療拒否・医師法・応招義務・正当の事由

Q:「医療機関(病院・診療所)は外来受診者を断れない」という法律はありますか?

A:医師の『応招義務』については、医師法第四章第一九条[応招義務等」として、次の規定が定められている。
『第一九条 診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない』
『2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会った医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証明書の交付の求めがあった場合には、正当の事由がなければこれを拒んではならない』
と規定されている。

この医師法第一九条が、医師の診療拒否を『不可』とする根拠である。

この規定でいう『正当な事由』とは「医師の手術中や病院のベッドが満床であることなども一応正当事由になりうるとされているが、訴訟になった場合『具体的事情を考慮して、事実上診療が不可能であったか否かの判断はかなり厳しく判断』されるとされている。また病院についても、医師の場合と同様の診療義務を負っていると解され、所属医師と同様の民事責任が認められる。

なお、受診拒否について、診療拒否によって患者に損害が生じた場合には、医師に過失があるとの一応の推定がされ、診療拒否に正当事由がある等の反証がないかぎり、医師の民事責任が認められている。

『正当な事由』については、一般的な基準となるものを設けることは難しく、厚生労働省においても基準が示されている訳ではない。医学的合理性と健全な社会通念、更に医師法第一条『医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする』とする『医師の任務』に反しないことが必要だと判断される。

尚、質問では“外来患者”のみを挙げているが、“入院患者”も同様であり、医療機関の都合のみで入院患者の退院を強制することは出来ない。

1)基本医療六法編纂委員会・編:基本医療六法 平成22年版;中央法規,2010

         [615.1.LOW:2013.1.29.古泉秀夫]

「パーキンソン病に効果が見られるとされる漢方薬」

金曜日, 3月 1st, 2013

 

KW:薬物療法・パーキンソン病・漢方薬・生薬・厚朴・白芍・半夏・甘草

Q:パーキンソン病に効果があるとされる漢方薬について

A:何等かの形でパーキンソン病に有効ではないかとされている生薬として『厚朴・白芍・甘草・半夏』等が挙げられている。

厚朴』:鎮痙作用が報告されている。煎汁は動物の遊離腸管の緊張を低下し、横紋筋の強直性収縮に対して軽度の緩解作用がある。本品の含有成分であるmagnocurarineにはクラーレ様作用、抗痙攣作用、magnolol及びhonokiolには鎮静、運動抑制、中枢性筋弛緩、抗胃潰瘍作用、抗菌作用、β-eudesmolには神経筋接合部遮断作用等が知られる。magnocurarine、β-eudesmolは各種標本で神経筋接合部での神経伝達を遮断し、クラーレ様作用が認められるという。厚朴エーテルエキス、magnolol、honokiolにはラット経口又は腹腔内投与で、アポモルヒネ、メタンフェタミン、モルヒネによる筋緊張を緩和させ、ストリキニーネ、ピクロトキシン、ペンテトラゾール、ニコチンによる振戦を抑制し、電撃やペニシリンの脳室内投与による痙攣などを抑制することが報告されている。

『白芍』:鎮痙・鎮痛作用が報告されている。家兎の遊離腸管及びラットの体内の胃・子宮平滑筋に対し、収縮力を減弱し、運動を抑制する。その他、鎮静作用が報告されており、配糖体は中枢神経系を抑制するとされている。

半夏』:鎮静作用が認められている。有効成分はalkaloidの一種である。

『甘草』:鎮痙作用。平滑筋の活動を抑制し、動物の遊離した腸管平滑筋に対して鎮痙作用がある。glycyrrhizinを殆ど含まないFM100分画は、中枢抑制的に働き、マウスの自発運動を低下させ、体温降下、呼吸抑制、鎮静作用があり、ヘキソバルビタール睡眠時間延長も認められる。また、実験的な痙攣を抑制する作用も報告されている。特にisoliquiritigeninに強い痙攣作用が検出されている。甘草煎液は、モルモット摘出回腸の低頻度経壁刺激、DMPP、acetylcholine、K+を抑制する。

方剤としては『半夏』と『厚朴』が配合された『半夏厚朴湯』や鎮痙・鎮痛の基本処方の『芍薬甘草湯』が使用されるとする報告が見られる。

『半夏厚朴湯エキス』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.5gを含有する。
日局半夏6.0g・日局茯苓5.0g・日局厚朴3.0g・日局蘇葉2.0g・日局生姜1.0g
効能・効果:気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症→不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症。

『芍薬甘草湯』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.5gを含有する。
日局甘草6.0g・日局芍薬6.0g
効能・効果:急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛。

その他、『六君子湯』、『抑肝散』、『四逆散』、『加味逍遥散』なども使用されるという。また、症状が慢性化した場合には、『柴朴湯』を使用するとされている。柴朴湯とL-DOPを併用すると、L-DOPAの効果持続時間を伸延し、不随意運動が減るなどL-DOPAの副作用を軽減すると共に、その作用を増強するとする報告が見られる。

『六君子湯』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス4.0gを含有する。
日局蒼朮4.0g・日局人参4.0g・日局半夏4.0g・日局茯苓4.0g・日局大棗2.0g・日局陳皮2.0g・日局甘草1.0g・日局生姜0.5g 。
効能・効果:胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐。

『抑肝散』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス3.25gを含有する。
日局蒼朮4.0g・日局茯苓4.0g・日局川芎3.0g・日局釣藤鈎3.0g・日局当帰3.0g・日局柴胡2.0g・日局甘草1.5g 。
効能・効果:虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症。

『四逆散』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.25gを含有する。
日局柴胡5.0g・日局芍薬4.0g・日局枳実2.0g・日局甘草1.5g 。
効能・効果:比較的体力のあるもので、大柴胡湯証と小柴胡湯証との中間証を表わすものの次の諸症:胆嚢炎、胆石症、胃炎、胃酸過多、胃潰瘍、鼻カタル、気管支炎、神経質、ヒステリー。

『加味逍遥散』
1日量6.00g中、下記生薬より抽出した水製乾燥エキス(加味逍遙散エキス)4.75gを含有する。
日局当帰3.00g・日局芍薬3.00g・日局白朮3.00g・日局茯苓3.00g・日局柴胡3.00g・日局 牡丹皮2.00g・日局山梔子2.00g・日局甘草2.00g・日局生姜 1.00g・日局薄荷 1.00g。
効能・効果:体質虚弱な婦人で、肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難症、更年期障害、血の道症。

『柴朴湯』
本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス5.0gを含有する。
日局柴胡7.0g・日局半夏5.0g・日局茯苓5.0g・日局黄岑3.0g・日局厚朴3.0g・日局大棗3.0g・日局人参3.0g・日局甘草2.0g・日局蘇葉2.0g・日局生姜1.0g
効能・効果:気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、せき、不安神経症。

『小承気湯』
本品は生大黄12g・厚朴6g・枳実9gを水煎服。
効能・効果:便秘、 発熱、腹部膨満感

尚、上記方剤の添付文書の効能・効果中にパーキンソン病の記載はされていない。
一方、パーキンソン病の病態として次の報告が見られる。パーキンソン病の基本臨床像は、

振戦(tremor):手の指が細かく震える。手を膝の上に置いている時(静止時)や、歩行時に目立ち、丸薬を丸めているような動きに見える(丸薬丸め振戦:pill rolling tremor)。
無動(症)(akinesia):躯の動きがぎごちなく緩慢になる。ベッドからの起き上がりに時間が掛かったり、ボタンの架け外しに時間が掛かる。
筋強剛あるいは固縮(rigidity):腕や足の筋の緊張が高まる。力を抜いて腕を曲げる時に、歯車が噛み合うような抵抗を示し、筋の緊張が高まる。
姿勢保持障害(postural instability):体のバランスが巧く取れない。進行すると突進様になったり転倒しやすくなる。

即ちパーキンソン病とは「動きが極端に遅くなる病気」といえるとされている。パーキンソン病はこれまで運動の症状が主体の疾患と考えられてきたが、最近では睡眠障害や抑鬱状態、認知機能障害、自律神経障害(頑固な便秘・脂ぎった顔など)、感覚障害など、運動機能以外の症状も疾患の初期から明らかになってきている。従って現在、パーキンソン病は脳の疾患と云うより、全身の疾患と捉えられるようになっているとする報告も見られる。

いずれにしろパーキンソン病に対する漢方治療は、試行段階ということが出来る。しかし、パーキンソン病が複合的な疾患であるとすれば、漢方薬の持つ作用が有効な場面も考えられる。

1)中山医学院・編:漢薬の臨床応用;医歯薬出版株式会社,1979
2)ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2011.8.改訂
3)ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2011.8.改訂
4) ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2012.11.改訂
5) ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)添付文書,2012.11.改訂
6)ツムラ四逆散エキス顆粒(医療用)添付文書,2007.5.改訂
7)ジュンコウ加味逍遙散FCエキス細粒 医療用添付文書,2005.10.改訂
8)ツムラ柴朴湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2007.05.改訂
9)伊田喜光・他監修:モノグラフ生薬の薬効・薬理;医歯薬出版株式会社,2003
10)山口徹・他総編集:今日の治療指針;医学書院,2011

             [035.1.PAR:2013.1.20.古泉秀夫]

『コケイン症候群について』

金曜日, 3月 1st, 2013

 

KW:語彙解釈・コケイン症候群・Cockayne症候群・早老症・DNA修復遺伝子

Q:コケイン症候群とはどのような疾病なのか。

A:コケイン症候群は常染色体劣勢疾患で、ERCC8遺伝子(DNAの除去修復に重要)の突然変異に起因する。またDNA修復遺伝子の異常により中枢及び末梢神経が障害されることにより、進行性に重度の神経運動発達遅滞、腎不全、難聴、視力障害、歩行障害を呈する疾患であるとされる。これらの疾患の進行により重度の身体障害を来たし、10-20歳代で死亡することが多く、早老症の一種である。本症例は発症年齢により3種類の型に分類される。

コケイン症候群(Cockayne症候群)は、日本においては100万出生あたり約2人、約70-100人の患者数が推定されている。原因はDNA修復遺伝子の異常による。本疾患の線維芽細胞において最も重要な所見は、紫外線に高感受性を示すことであり、紫外線障害によるRNA合成の回復が起こらず、転写された遺伝子の損傷修復、又は“転写と共役した修復”がみられないことだとされている。

Cockayne症候群の症状として、著名な低身長、低体重、小頭を呈し、視力障害、聴力障害、光線過敏などの皮膚症状、中枢神経および末梢神経障害の進行により重度の精神運動発達遅滞を合併する。合併症として低身長、低体重、小頭を呈し、視力障害、聴力障害、光線過敏などの皮膚症状、中枢神経および末梢神経障害の進行により重度の精神運動発達遅滞を合併する。

Cockayne症候群の根本的治療法は報告されていない。白内障に対しては手術、難聴では補聴器が奏功する場合もある。手指振戦に対してはTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)製剤が一部の患者に効果がある。日光過敏に対してはサングラス装着、紫外線防御クリームなどが効果がある。腎不全に対しては腹膜透析を行う場合もある。

Cockayne症候群は、次の3型に分類される。

Cockayne症候群I型:Cockayne症候群の8割を占める。出生時の身長、体重、頭囲は正常。新生児期、乳児期の早期には発達遅滞を認めない。
†生後半年頃より小頭に気づかれることが多く、徐々に、座位、はいはい、つたい歩き等の粗大運動の遅れや、精神遅滞を認めるようになる。一人歩きはできるようになるが、歩き方が不自然で、つっぱったり(痙性)、ふらついて転けることが多い。
†1-2歳をピークに徐々に運動能力は落ちていく。具体的には、末梢神経障害と、中枢神経障害による痙性が進行し、その結果上下肢の拘縮(こうしゅく)が出現し、やがて歩行困難となる。
†同時期より低身長、経口摂取不良に伴う痩せ(やせ)も顕著となる。
†そのほか視力や聴力の低下も出現する。また齲歯(うし)、日光過敏症、腎機能障害および高血圧もしばしば問題になる。
†その他、視力や聴力の低下も出現する。また齲歯、日光過敏症、腎機能障害及び高血圧もしばしば問題になる。
†自然歴としては、以前の報告では12歳前後で死亡する患者が多かったが、最近の全国調査では死亡例の平均年齢は18歳であった。これは栄養管理を含めた医療技術の向上に伴うと考えられる。死亡原因は腎不全、呼吸不全が多い。

Cockayne症候群II型:先天性Cockayne症候群ともいわれており、胎生期より成長障害を認めており出生児には既に低身長、小頭を呈している。また先天性の白内障をはじめとする眼科疾患や、感音性難聴を認めることもある。
†神経学的発達はほとんどみられず、粗大運動の発達はあっても一人歩きはできない。乳児期早期より側彎や関節拘縮を認めるようになる。
†5-6歳で経口摂取不良、消化不良及び痩せが一層悪化し、6-7歳頃に肺炎や腎不全、心不全で死亡することが多い。

Cockayne症候群III型:Cockayne症候群の中で最も頻度が少ないとされる。症例数が少なく、体系的なことは解っていないが、Ⅰ型に比べ発症時期が非常に遅く進行が緩徐である。実際には診断がついていない例もあると考えられる。

1)久保田雅也(国立成育医療研究センター・神経内科):コケイン症候群とは;コケイン症候群研究会,2013.1.30.
2)難病助成拡大を提言 治療法開発に期待の声;読売新聞,第49198号,2013.1.25.
3)太田さやか(国立成育医療研究センター・神経内科):コケイン症候群各論,2013.1.30.

4)福島雅典・総監修:メルクマニュアル 第18版 日本語版 ;日経BP社,2006

          [015.9.COC:2013.1.30.古泉秀夫]