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イムノゴールドSについて

日曜日, 1月 6th, 2008

KW:健康食品・機能性食品・担子菌類・イムノゴールドS・イムノエース・AHCC・植物性多糖類・BRM・Biological Respons Modifiers・BCG・MER・レンチナン・バヒアラン・ビラコンポリマー・ベスタチン・Active Hemi Cellulose

 

Q:癌治療中の患者が健康食品と思われる「イムノゴールドS」を服用したいと医師に相談しいるが、これは何か

 

A:イムノゴールドSについて次の資料が入手できた。

イムノゴールドS ・イムノエース [製造元:(株)アミノアップ化学]

 

AHCC(Active Hemi Cellulose)は、穀類をはじめとする植物体に、数種類の酵素を働かせて得られた「植物性多糖類」である。カプセルタイプのイムノゴールドS とAHCCの有用性を高めたマイクロ顆粒タイプのイムノエースがある。

イムノゴールドSは、担子菌を大型タンク培養法を用いて醗酵分解し、独自製法で抽出・精製した植物多糖類加工食品である。活性化されたヘミセルロース(AHCC)・リグニン・多糖蛋白質やミネラルを豊富に含む。

1粒:180mg 90粒/瓶

最近、食品による生体の調節機能が見出され、栄養組成やカロリー量の観点からだけでなく、内分泌系、神経系、免疫系などと係わり合いを持つ生体調節機能、いわゆる三次機能に注目していく動きがあり、新たなバイオサイエンスの登場も伴って、健康を増進させ、病気を予防し、また病気を治療する物質の探究が盛んになっている。このような作用を有する物質を総称してBRM(Biological Respons Modifiers)と呼称している。

この主なものとしてBCG、MER等の細菌由来物質。レンチナン、バヒアラン等の多糖類、ビラコンポリマー、ベスタチン等の合成物質などがある。しかし、BRMはその殆どが静注薬として使用されており、経口で使用されているものは皆無に等しい。

このような背景の中、食品としての免疫賦活物質の開発研究からAHCCが見出された。AHCCは、そのままあるいは食品に添加した場合、消化管を経由して吸収され、BRM的働きをするこれまでにない物質である。

 

*AHCCの概略

AHCCは、担子菌液体大量培養と独自の方法による菌糸体抽出物質で、活性ヘミセルロースをはじめとする植物繊維やβ-1・3グルカン等の多糖類を豊富に含有する。また、これらの成分の他、更に多くの有効成分が含まれていると考えられ、種々の試験の結果

  1. 免疫賦活作用
  2. 成人病予防等

の作用が確認されている。

*AHCCの性状

 

蛋白質 脂質 灰分 ビタミンB1 ビタミンB2
8.7g 0.1g 5.3g 3.7mg 0.97mg 0.40mg

残留農薬:有機塩素系残留農薬;不検出

ラット 経口(♂) 28.3g/kg
ラット 経口(♀) 30.1g/kg

AHCCは、多くのBRMと同様に、好中球の集積を促進する一方、TNF誘導活性を増強した。このことはAHCCが、食細胞が関与する生体防御機構を活性化し、抗癌作用、抗ウイルス作用に関与していることを意味している。実験結果が示すように、AHCCが細菌製剤、サイトカイン類のように生体防御機構に増強的に働くことで、AHCCが生体防御機構を調節し、健康な状態を保持する働きを有していることを意味している。

実際に生体防御系に関る疾病を持つヒトに、日常生活の中でAHCCを摂取してもらった結果、症状の改善が認められた。

[015.9.IMU:2007.2.7.古泉秀夫]


  1. 週間読売,1997.3.23.
  2. 小砂 憲一:食品における免疫賦活物質の開発;New Food Industry,35(2):46-48(1993)

販売会社:(株)リアライズ 〒101東京都千代田区内神田3-5-5大同ビル6階

医薬品の安全性評価のアルゴリズム

日曜日, 1月 6th, 2008

KW:語彙解釈・安全性評価・アルゴリズム・algorithm・算法・因 果関係判定基準・医薬品投与・副作用症状

 

Q:医薬品の安全性評価に関連して見られ るアルゴリズムとはどの様な意味か

 

A:アルゴリズム(algorithm)について、それぞれ次の解釈が記述 されている。

算法

問題を解決するための手順(手続き)。代表的なものに、二つの整数の最大公約数を求めるユークリッドのアルゴリズム(Euclideam algorithm)がある。

コンピュータのプログラムは、ある特定の問題に対するアルゴリズムをプログラミング言語(programming language)で記述したものといえる(1。

電算 一連の算法。与えられた、ある形に属する全ての問題を解く手段、手続き(2。
数理・ソフト

ある問題を解くための一連の手順をいう。算法と訳す。

コンピュータを使ってある問題を解く場合、そのための明確な方法と手順を完全な形で記述する必要がある。

一般に、アルゴリズムとプログラムはほぼ同じ意味で使われるが、実際のプログラムは特定の言語で書かれた(コンピュータで実行できる)もので、アルゴリズムはそのプログラムのもとになった問題解決の手順や考え方をいう。

アルゴリズムの良否は、計算時間や必要なメモリ容量、簡潔さ、解の安定性や誤差などで判断される。

プログラムを設計する場合、アルゴリズムはデータ構造とともに重要なポイントである。

論理学や数学基礎論、計算理論などの学問分野においてアルゴリズムという言葉は、機械的に実行でき、かつ有限時間内に必ず答えを出して終了する計算規則を指すことが多い(3。

因果関係判定基準 副作用発現には多種の要因が交絡しているため、因果関係の判定基準を明確にした場合でも、その判定は評価担当者の知識・経験などにより一致しない場合もある。このためより信頼性のある因果関係判定方法を行うために、アルゴリズム(理論的思考様式に基づいて数学的に処理する手順書)が用いられている(4。

『因果関係判定基準』は、医薬品投与と副作用症状(異常所見)の関連性の推定に使用する。因果関係の推論上最も重要なのは、医薬品投与と副作用発現に至るまでの時間的関係である。投与直後や投与期間中に発現した場合には関連性が強い。また、投与中止後急速に副作用症状が消失している場合にも関連性の強さを示す証拠になる。

I.definite:明らかに関連有り 時間的に明白な相関関係(投与中止後の経過も含む)があり、かつ下記のいずれかに該当する場合『偶然の再投与により同様の所見を認め る場合、薬剤感受性試験(リンパ球培養法、皮膚テスト他)陽性の場合、又は体液・血液内濃度測定により中毒量であることが認められる場合』
II.probable:多分関連有り 時間的に明白な相関関係(投与中止後の経過も含む)があり、かつ原疾患、合併症、併用薬、併用処置など当該医薬品以外の要因がほぼ除外されている場合。
III.possible:関連がないともいえない 時間的に明白な相関関係(投与中止後の経過も含む)があり、原疾患、合併症、併用薬、併用処置など他の要因も推定されるが、当該医薬品による可能性*も除外できない場合。
IV.remote:関連はないらしい(なし) 時間的に明白な相関関係が殆ど無い場合、原疾患、合併症、併用薬、併用措置など他の要因の可能性が大きいと考えられる場合。
V.unknown:関連不明 評価材料不足の場合(判定保留)。

*例えば、類似化合物を含めて過去に同様の報告がある、薬理作用から推定されるもの。

ただし、副作用の中には、最終投与後、数時間から数日後に発現する遅発性のものや中止になっても回復の遅い非可逆的なものもあり、判定するに際して注意が必要である。

また、偶然の再投与が行われた場合、生体内薬物濃度、免疫学的検査に関するデータも重要な証拠になる。

この他、併用薬、併用処置及び生体側の病態との交絡についても評価しなければならない。

algorithmで用いられる因果関係推定のための質問項目は、副作用の発現要因が複雑であるため、研究的には多くの項目を設定することが出来るが、日常臨床の場で発現する、市販後医薬品による副作用情報の評価に用いる algorithmの項目設定は、情報の質・量などを十分考慮し、実用的な範囲に限定して設定することが重要である。

現在、世界各国で用いられる algorithmの着眼点は

  1. 時間的関係
  2. 副作用の既知・未知
  3. 投与中止後の経過
  4. 再投与
  5. 他医薬品、併用処置の影響
  6. 原疾患、合併症、素因などの要因

にまとめられる。

設問 yes(B1) un-known(B2) no(B3)

薬剤投与と副作用発現との時間的関係はあるか(A1)

+2 ?2

薬剤中止後、副作用は軽減・消失したか(A2)

+1 ?1
説明できる病態要因があるか(A3) +1 ?1

説明できる併用薬・併用措置があるか(A4)

+1 ?1

既知所見か又は薬理作用などから推定可能か(A5)

+1
再投与、薬剤感受性試験で陽性か又は過量投与か(A6) +4 *

*未実施例を含む

設問中の6項目の着眼点について調査した結果は

  1. 肯定材料がある場合(B1=yes)
  2. 材料不足又は材料がない場合(B2= unknown)
  3. 否定材料がある場合(B3=no)
definite 7-10点
probable 5-6点
possible 2-4点
remote 1-?5点

 

A6を除く5項目のうち3項目以上の不明の場合は unknownとなる。

[615.8.ALG:2003.12.9. 古泉秀夫]


  1. 伊藤正男・他総編集:医学書院医学大辞典:医学書院,2003
  2. 三省堂編修所・編:コンサイス外来語辞典 第2版;三省堂,1978
  3. 赤堀侃司・監修:標準パソコン用語事典;株式会社秀和システム, 2001
  4. 堀岡正義・編著:医薬品情報-その考え方と実際;薬業時報社,1990

イソジン液の使用濃度について

日曜日, 1月 6th, 2008

KW:滅菌・消毒・ポビドンヨード・Povidone-Iodine・イソジン液・有効ヨウ素・遊離ヨウ素

 

Q:『ポビドンヨードの濃度には、有効ヨウ素濃度と殺菌作用に直接関与する遊離ヨウ素濃度があ る。10w/v%-ポビドンヨード原液では、有効ヨウ素濃度は10,000ppmであり、遊離ヨウ素濃度は1ppmである。100倍希釈した0.1w/v%溶液では、有効ヨウ素は100ppm (0.01w/v%)であるが、遊離ヨウ素濃度は最高濃度25ppmである』とする資料が見られるが、殺菌作用に直接関与する遊離ヨウ素濃度が最高値となる0.1w/v%-ポビドンヨード溶液が最も有効ということか

A:10w/v%-Povidone-Iodine製剤である『イソジン液(明治製菓)』の添付文書に記載されている用法・用量は次記の通りであり。原液での使用を指定している。

 

手術部位(手術野)の皮膚 の消毒、手術部位(手術野)の粘膜の消毒 皮膚・粘膜の創傷部位の消 毒、熱傷皮膚面の消毒、感染皮膚面の消毒
本剤を塗布する。 本剤を患部に塗布する。

 

なお、Povidone-Iodineの殺菌機序について、次の報告がされている。

Povidone-Iodine液はヨウ素を遊離し、その遊離ヨウ素I2が 水を酸化して生じるH2OI+ が、細菌表面の膜蛋白(-SHグループ、チロシン、ヒスチジン)と反応することにより、細菌及びウイルスを死滅させると推定されている。

理論的には、水溶液において、Povidone-Iodineの100倍希釈濃度で遊離ヨウ素濃度が高いが、この遊離ヨウ素が微生物又は有機物と接触して不活化(蛋白結合ヨウ素等)された後の遊離ヨウ素の補給を考慮すれば、原液又は原液に近い濃度での使用が望ましいと考えられるとする報告が見 られる。

希釈倍率と有効ヨウ素の関係は下記の通りである。

  Povidone-Iodine 有効ヨウ素 遊離ヨウ素濃度
原液(10w/v%) 100mg/mL(10w/v%)100,000ppm) 10mg/mL(1w/v%)(10,000ppm) 1ppm
10倍希釈 10mg/mL(1w/v%)(10,000ppm) 1mg/mL(0.1w/v%)(1000ppm)  
100倍希釈 1mg/mL(0.1w/v%)(1000ppm) 0.1mg/mL(0.01w/v%)(100ppm) 25ppm(最高濃度)
1000倍希釈 0.1mg/mL(0.01w/v%)(100ppm) 0.01mg/mL(0.001w/v%)(10ppm) 10ppm*

*:グラフから推定

以上の各報告から10w/v%-Povidone-Iodine製剤の100倍希釈溶液は、理論的には殺菌力が強いとすることができる。

ただし、臨床現場における微生物の消毒は、必ずしも瞬間的な接触により殺滅可能な菌量とは限らず、一定時間継続的に接触することによる効果が期待される場合もあるので、添付文書の規定濃度で使用すべきである。

[615.28POV:2004.4.6.古泉秀夫]


  1. イソジン液インタビューフォーム,2002.9.改訂
  2. イソジン液パンフレットNo.238(AD),2001.7.
  3. 第十四改正日本薬局方解説書;広川書店,2001
  4. 小林寛伊・編:改訂消毒と滅菌のガイドライン;へるす出版,2004
  5. イソジン液添付文書,2001.6.改訂

インポテンス治療薬バゾマックスについて

日曜日, 1月 6th, 2008

KW:薬名検索・インポテンス治療薬・勃起機能・バゾマックス・ vasomax・ゼットマックス・Z-max

 

Q: 新しいインポテンス治療薬のバゾマックスがFDAに申請されたというが、これはどの様な薬か

A:インポテンス治療薬バゾマックス(vasomax)は、Zonagen 社(ゾナジェン社)の開発した勃起機能を高める薬で、成分名はフェントラミン・メシル酸(phentolamine mesilate) である。

商品名ゼットマックス(Z-max)は、メキシコで承認販売された本品の商品名である。

phentolamine mesilateは、白色の結晶性粉末。水に易溶。交感神経抑制薬のうちα-受容体遮断薬に属する。

筋注又は静注によりカテコールアミン産生過剰となり、血圧を急激に下降させる。

細胞腫瘍摘出時の発作性高血圧の予防、細胞腫の診断に用いるとする報告が見られる。

その他、phentolamineはイミダゾリン誘導体 (imidazoline derivatives)で、競合的α受容体遮断作用の他に交感神経刺激作用(心筋興奮、冠血管拡張)を示し、その他副交感刺激作用(消化管運動亢進、唾液腺、汗腺、気道分泌促進)ヒスタミン様作用(胃液分泌促進、末梢血管拡張)、抗セロトニン作用など広範な薬理作用を有している。

本剤を静脈投与した場合、血圧は心臓興奮と血管拡張の両効果の割合に従って変動し、phentolamineは血圧降下を起こす。

臨床的には褐色細胞腫の診断、末梢循環障害の治療などに僅かに用いられている。

副作用は主に心臓作用(頻脈、不整脈)、消化管運動促進による胃腸管刺激作用(腹痛、悪心、嘔吐、下痢)である等の報告が見られる。

[011.1.PHE:2004.2.16. 古泉秀夫]


  1. 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
  2. 藤原元始・他編:医科薬理学;南山堂,1986

医薬品等の個人輸入について

日曜日, 1月 6th, 2008

KW:法律・規則・個人輸入・医薬品・化粧品・医薬部外品・医療用具・輸入禁止医薬品・血糖降下薬・要指示薬・覚せい剤・ワシントン条約・ CITES・レッドブック・自己責任

 

Q:医薬品等の個人輸入について、手続き等は定められているか

 

A:個人が自ら使用するために医薬品・化粧品等を海外から個人輸入又は持ち帰る場合は、業として行うのではないため、厚生労働大臣の許可は特に必要 とされていない。

この点に関しては、厚生労働省医薬局監視指導課・厚生労働省医薬局麻薬対策課による『医薬品や化粧品などの個人輸入について』が、平成13年4月1 日付で発出されていたが、平成16年4月1日厚生労働省医薬品食品局監視指導・麻薬対策課から新たに『医薬品や化粧品などの個人輸入について』とする文書が発出された。

  • 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器を営業のために輸入する場合は、薬事法に よって、厚生労働大臣の許可が必要です。
  • 個人が自分で使用するために輸入する場合又は海外から持ち帰る場合は、厚生大臣の許 可は必要ありませんが、輸入できる数量が以下のとおり制限されています。

この場合は、勿論、他人への販売・授与はできません。

該当品目 個人輸入許容量及び制限規定
1.医薬品又は医薬部外品

2カ月分以内

  • ただし、毒薬、劇薬及び処方せん薬は1カ月分以内
  • 外用剤(毒薬、劇薬及び処方せん薬は除く)は1品目24個以内
  • 医薬部外品:養毛剤、浴用剤など人体への作用が緩やかなもの
  • 処方せん薬:使用に当たっては処方せんの交付が必要な医薬品
  • 外用剤:軟膏、点眼剤など

2.化粧品

1品目24個以内

3.医療機器

1セット(家庭用のみ)

  • 電気マッサージ器などのうち家庭用のものに限る。

 

《安全性の保証》

 

  • 日本国内で販売される医薬品・化粧品等は、薬事法で有効性と安全性が確認されています。
  • 個人輸入の場合は、品物が外国から消費者個人に送られますので、このような保証はありません。ご注意下さい。
[事例]
  1. 医薬品に人体に有害な量の「ヒ素」や「水銀」が含まれていた事例。
  2. 糖尿病薬として海外で購入した医薬品に、日本では処方せん薬に指定されている 血糖降下剤が配合されていた事例。
  3. 化粧品に「水銀」など日本では禁止されている成分が配合されていた事例。

 

分類 一般名
スルホニール尿素系(SU剤) acetohexamide、 chlorpropamide、glibenclamide、gliclazide、glyclopyramide、tolazamide、 tolbutamide
スルホンアミド系 glybuzole
ビグアナイド系 buformin hydrochloride、metformin hydrochloride
インスリン抵抗性改善薬 pioglitazone hydrochloride

食後過血糖改善薬(α-グルコシダーゼ阻害薬)

acarbose、 voglibose、
速効型食後血糖降下剤 nateglinide

 

《輸入が禁止されている医薬品》

 

  • 覚せい剤(アンフェタミン、メタンフェタミンなど)は、覚せい剤取締法によって、輸入できません。
  • 麻薬及び向精神薬を輸入する場合は、麻薬及び向精神薬取締法によって、地方厚生局長の許可が必要です。申請窓口は麻薬取締部。
  • 『ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約;Convention on Internatonal Trade Endangerred Species Wild Fauna and Flora;CITES)”』に基づき、自由に輸入できない医薬品や医薬品原料があります。
動物名 概要
犀角(サイカク) 基原動物:附属書I。商業取 引が一切認められないものに分類-税関で所有権の放棄。
麝香(ジャコウ) 中国産麝香鹿:附属書II。 中国政府発行の輸出許可証の添付-商業取引可能。海外旅行の土産としては持ち込めない。
虎骨(ココツ)

基原動物:附属書I。商業取 引が一切認められないものに分類。虎骨酒、海馬補腎丸、活絡丹、参茸虎骨丸等も対象-税関で所有権の放棄。

熊胆(ユウタン) 基原動物:附属書I(アメリ カクロ熊除外)。中国では養殖を行い、屠殺せずに熊胆採取の方法実用化。飼育されたことを証明する原産国の輸出許可書添付-輸入可能。海外旅行の土産としては持ち込めない。

 

《医薬品や化粧品などの個人輸入について》
  • もっと詳しい内用をお知りになりたい場合は、内容に応じ、以下までご相談下さい。
  • 医薬品、医薬部外品、医療機器に関しては、通関する税関を担当する地方厚生局薬 事監視専門官にお尋ね下さい。
問い合わせ内容 問い合わせ先
医薬品・化粧品・医薬部外 品・医療機器等

厚生労働省地方厚生局薬事監 視専門官

関東信越厚生局
電話 : 048-740-0800
FAX : 048-601-1336
(函館税関、東京税関及び横浜税関)
近畿厚生局
電話 : 06-6942-4096
FAX : 06-6942-2472
(名古屋税関、大阪税関、神戸税関、門司税関及び長崎税関)
九州厚生局沖縄麻薬取締支所
電話 : 098-854-2584
FAX : 098-834-8978
(沖縄地区税関)

ワシントン条約

経済産業省貿易経済協力局貿 易管理部貿易審査課電話 : 03-3501-1659

麻薬、向精神薬、覚せい剤等

厚生労働省医薬食品局監視指 導・麻薬対策課あへん係FAX : 03-3501-0034

 

[615.1.IMP:2001.3.30.古泉秀夫・2005.8.1.改訂]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2001
  2. ワシントン条約:
    http://www.yokohama-customs.go.jp/washington.htm, 2001.3.30.
  3. 日本への持ち込みが規制されている野生生物製品ガイド:
    http: //www.twics.com/~trafficj/souvenirlist.html,2001.3.30.
  4. 日本製薬団体連合会ワシントン条約関係委員会:ワシントン条約と医薬品;日本薬剤師会雑誌,49(7):1263-1265(1997)

ウルシかぶれについて

日曜日, 1月 6th, 2008

KW:毒性・中毒・ウルシ・漆・かぶれ・過敏症・接触性皮膚炎・マンゴー・ギンナン・銀杏・カシューナッツ

 

Q:『漆皮膚炎を起こした人はマンゴー、銀杏、カシューナッツでも同様の皮膚炎を起こすとされていますが、漆かぶれを起こす人すべてに当てはまるのでしょうか。また、それはどの部分(幹・枝、葉、果実、等)への接触によるもので、どういう状態のもの(自生状態、切断もしくは剥皮等)への接触に起因するものなのでしょうか。

 

A:それぞれの植物について、調査した結果は次の通りである。

和名 分類 成分等
ウルシ(漆)

ウルシ科ウルシ属

学名:Rhus vern-iciflua Satokes

樹液・気化成分で接触性皮膚炎

中国、印度、ヒマラヤ原産。日本には奈良時代に渡来。潤液(ウルシル)、塗汁(ヌルシル)の略号。樹皮からウルシ液を取るため植栽される。

[薬用部分]樹脂(乾漆<カンシツ>:日本では未製造)。

[成分]フェノール性化合物のウルシオール、ハイドロウルシオールの他、マンニトール、ゴム質を含む。

[薬効・薬理]ウルシオールはラッカーゼによって酸素と結合し、黒色樹脂状に変わり、急性皮膚炎を起こさせる成分となる。

*ウルシの樹液には刺激性のurushiol、 hydrourushiolが含まれ、樹液が皮膚に付着すると皮膚発赤が起こり、掻痒を伴う炎症や水疱ができる。その後激痛が起こることがある。
個人差もあるが、気化した有毒成分に反応し、過敏な人は漆の木に近づいたり、燃やした煙に当たったりしただけでもかぶれることがある。

ハゼノキ
(琉球ハゼ)

黄櫨、櫨

ウルシ科ウルシ属

学名:Rhus succe-danea L.

樹液で接触性皮膚炎

沖縄から来たハゼの意。本州関東地方南部以西、四国、九州、沖縄及び韓国の済州島、台湾、中国、マレーシア、印度に分布し、採鑞低園樹等に植栽される落葉高木。

[薬用部分]核果から得られる木鑞、櫨鑞。

[成分]脂肪酸のパルミチン酸、オレイン酸、ヤパニン酸、ペラゴニン酸、ステアリン酸のグリセリドを含む。

ヤマハゼ
(ハニシ)

ウルシ科ウルシ属

学名:Rhus silves-tris Sieb.et Zucc.

樹液で接触性皮膚炎

古名ハニシは埴締の略。本州東海道地方から沖縄、朝鮮、台湾、中国。

[薬用部分]果実、葉、根。果実は絞って木蝋。

[成分]果実には脂肪油としてパルミチン酸グリセリド等。葉にはロイホリン、枝にはフィゼチン、フスチンを含む。

ヤマウルシ
(山漆)

ウルシ科ウルシ属

学名:Rhus trichocarpa Miq.

樹液で接触性皮膚炎

山地生のウルシの意。日本各地の山林中に生える落葉低木。

[薬用部分]根皮、果肉の脂肪質(木蝋)。

[成分]種子にパルミチン酸、オレイン酸、ペラゴリン酸、ステアリン酸、トリパルミチン、トリコカルビン酸等を含む。

心材にはフラボノイドのフスチン、フィゼチンの他、β-シトステロールが含まれる。

カスミノキ
(別名:ハグマノキ、煙の木)

ウルシ科コチヌス属

学名:Cotinus coggygria Scop.

ヒマラヤ・南欧原産。

[英]:Smoke Tree。

チャンチンモドキ ウルシ科チャンチンモドキ属

学名:Poupartia fordii Hemsl.

センダン科の香椿(チャンチン)に類似していることに由来。日本では熊本県、鹿児島県の山中に稀に自生

カシューナッツ

(カシュ樹実)

[英]cashew nuts

ウルシ科カシューノキ属

学名:Anacardium occidentale L.

樹液で接触性皮膚炎

西印度、中米原産で、熱帯各地。

[英] Cashew。

ウルシ科の常緑高木。

カシュ樹実の殻に含まれる油のフェノール成分とホルムアルデヒドを反応させて得られる樹脂がカシュー塗料の原料。

[薬用部分]樹皮・根皮。

[成分]樹皮-タンニン。生種子-アナカルジア酸及びカアルドールを含み、かぶれを起こす。種子は火熱を加えて有毒成分を分解する。

コショウボク
(ピンクペッパー)

ウルシ科サンショウモドキ属

学名:Schinus molle

樹液で接触性皮膚炎

[英]Peruvian peppertree、 California peppertree。

[英]pinkpepperは胡椒木の実。

胡椒木の熟した果実をピンクペッパーとして使用する場合、種子や果肉には苦味とともに胡椒類似の味がするとされているが、辛味成分は一切含まれていないとする報告も見られる。彩りに加えられる。

ピスタチオ

ウルシ科カイノキ属(トリバハゼノキ属)

学名:Anacardiaceae Pistacia。

[英]pistachio nuts。

ウルシ科カイノキ属の樹木の実。原産は地中海沿岸。

農耕文明の初期以来、この地に自生していた原種を食用に栽培してきたもので、現在の生産量はイランが世界一。

ピスタチオの脂質にはオレイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれている。また、食物繊維が特に多く、ビタミンB1、カリウム、鉄、銅も多く含まれている。

マンゴー(亡果)但し、『亡』は木偏。

ウルシ科マンゴー属

学名:Mangifera indica L.。

印度北東部から北ビルマのヒマラヤ山麓地域原産。[英]: Man-go。

[薬用部分]果実、葉、樹皮。

[成分]果実にマンギフェロン酸、アンボン酸などのトリテルペン、ガロタニン等のポリフェノール、多種のカロチノイド、ビタミンC等を含む。葉、樹皮にマンギフェリン、タンニンなどを含む。

接触性皮膚炎を惹起する成分であるレゾルシン誘導体のカアルドール(cardol-I・cardol-II)は主に Mangoの果皮の部分に含まれているが果肉にも少量含まれている。

症状は顔面、特に口の周りに発現しやすく、赤く腫れて小水疱ができ、強い掻痒を伴う。

[治療]:ステロイド剤の外用。Mangoで接触性皮膚炎を惹起する者は、ウルシ、ギンナンでも皮膚炎を起こすため注意。

イチョウ
(公孫樹、銀杏)

イチョウ科イチョウ属

学名:Ginkgo biloba L.。

外種皮の外層は粘液に富む肉質で特有の臭気を有し、粘液が皮膚につくと炎症を惹起する。

中国原産。鴨脚(ヤアチャオ)の中国宋代の音読の転訛とされる。

日本全土に広く植栽されている落葉高木。

[薬用部分]種子(銀杏<ギンキョウ>)、白果<ハクカ>

[成分]外種子にはフェノール性化合物のギンゴール酸、ビロボール、微量の青酸配糖体。種子を多食又は生食すると中毒を起こし、ときに死亡することがあるので注意が必要。澱粉、脂肪。
葉にフラボノイドのイソラムネチン、ギンゲチンが含まれる。

 

ウルシ科(Anacardiaceae)は双子葉植物に属する科で、70属980種ほどを含む。木本で温帯から熱帯に分布する。果実は核果。花は単性。樹脂を含み、これを漆などの塗料として利用するが、特にウルシに近縁の種(Rhus及びToxicodendron 属)はurushiolを多く含み、これによってアレルギー性皮膚炎を起こしやすい。また、果実の果肉に高融点の中性脂肪を含むものが多く知られ、しばしばこれを広義の蝋として利用する。種子の中の胚の子葉に蓄えられた貯蔵栄養素も、主として脂肪であるものが多く、ナッツ類として食用になるものがある。

なお、ウルシによるアレルギー性皮膚炎を惹起した者では、他のウルシ科の植物による交叉感作が起こりえる。また銀杏の含有成分は、ウルシ科の含有成分と化学構造が類似しており、銀杏ににかぶれる者はウルシ科の植物にかぶれる可能性がある。

山野でかぶれを起こす植物の代表は、山櫨の木、山漆、蔦漆等の漆の仲間である。これらの植物では有毒成分が気化しており、人によっては近くを通るだけで発赤を伴う皮膚炎を起こすことがある。樹液にはurushiolが含まれており、樹液が皮膚に付着するとアレルギー反応を惹起し皮膚炎を生じる。

樹液にかぶれるだけではなく、イラクサなどでは葉や茎の表面の刺毛が皮膚に刺さり、中に含まれるヒスタミンが体内に入って皮膚炎を起こすこともある。また、山芋の周皮を剥くときや摺り下ろしたとろろを食べたとき、手や口のまわり等かぶれるのは、山芋の芋に含まれる蓚酸カルシウムの針状結晶が皮膚に刺さり、機械的な刺激と中に含まれるヒスタミンなどの成分により、化学的な刺激やアレルギー反応が加わって皮膚炎を起こすからである。

 

植物による接触性皮膚炎の発症機序

 

刺激性接触皮膚炎
 
<機械的刺激>:肉眼的・顕微鏡的に観察できるトゲにより、皮膚に機械的刺激が加わることで起こる。:(例)針状結晶をもつシュウ酸カルシウムが含まれているサトイモ。<化学的刺激>:葉汁、茎汁、果汁に含まれる化学物質が皮膚を刺激して起こる。:(例)蛋白質分解酵素をもつパイナップル。

アレルギー性接触皮膚炎
 
原因植物に感作され、アレルギー反応を起こす。:(例)果肉部に感作を起こす成分がある銀杏。
 
光接触皮膚炎
 
皮膚に接触した物質が光にあたることによって刺激物質に変化し、炎症を起こす。:(例)ライムなどの柑橘系やイチジクなどのクワ科植物。
 
アレルギー性接触性皮膚炎(即時型反応によるもの)
 
感作が成立している人に、再度同一抗原あるいは化学構造上類似した物質が接触することにより即時的に生じるもの:レタス、タマネギ、ニンニク、ソバなど
 
遅延型反応によるもの(反応が遅いもの)
 
ウルシ、ハゼノキ、イチョウ、銀杏、プリムラ・オブコニカ、キク、シソなど

[63.099.URU:2006.5.21.古泉秀夫]


  1. 原色牧野日本植物図鑑 I(コンパクト版);株式会社北隆館,2003
  2. 原色牧野日本植物図鑑 II(コンパクト版);株式会社北隆館,2000
  3. 原色牧野日本植物図鑑 III(コンパクト版);株式会社北隆館,2002
  4. http://www.allergy- i.jp/hifu/faq/iga/index_iga07_05.html,2006.5.21.
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  6. 薬科学大事典 第2版;廣川書店,1990
  7. ハーブスパイス館;株式会社小学館,2000
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  9. 三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大圖鑑;北隆館,1988
  10. http://www.kyoto-phu.ac.jp/kpu- news/garden/ityou.html,2006,5.21.
  11. 小川賢一・他監修:危険・有毒生物;株式会社学習研究社,2003