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捏造-テレビ屋体質に由来する事件

水曜日, 8月 15th, 2007

健康娯楽番組”が放映されると、それに関連した問い合わせを受けることが多いので、時間があれば見るようにしている。従って納豆ダイエットの放送についても見ていたが、途中から何を阿呆なことをいっているんだということで、“ながら族”を決め込んでしまったので、記憶は断片的であるが、これでまた明日は店頭から納豆が無くなるぞと思ったことだけは確かである。

案の定、翌日から納豆騒ぎは拡大していったが、その拡大騒ぎが、番組の欺瞞を暴く結果になったのは皮肉である。

さて、フジテレビ系の情報番組“発掘!あるある大事典II”で放送された納豆で減量という放送が、実は実験結果を捏造した大嘘であることが明らかになった。

続いて味噌ダイエットも捏造、レタス快眠も改竄、ワサビの若返り効果、レモンダイエットも実験結果や専門家のコメントを歪曲して放送したことが明らかになり、強引な実験や取材がほぼ日常的に行われていた疑いが強まったという。

週刊誌の疑念に基づく取材から明らかになった結果が、連日マスコミを賑わせていた。しかし、“健康情報番組”等と報道しているが、それがそもそも間違いであれは単なる”健康娯楽番組”でしかない。それが証拠に番組の進行は、医療関係者ではなく、タレントであり、進行しているタレントは、書かれている台本通り何の疑念もなく進めているに過ぎない。

第一何処まで信頼できる根拠に基づいて放送されているのか、それを確認する手だては示されていない。最もらしい専門家の声も聞こえてくるが、動物実験の結果をそのまま人に外挿するような話をされたとしても信用できる訳がない。

まして、永年の努力の成果?として溜め込まれた体脂肪が、何の努力もなしに、納豆や味噌汁でどうして減らすことが出来るのか、考えただけで分かりそうなものである。太るか太らないかは、食物の摂取と消費のバランスの問題で、消費を超える摂取が行われれば間違いなく太るのである。瘠せたければ消費量を増大し、収支をマイナス側に傾けない限り期待は裏切られる。

今回の納豆問題、別に納豆に責任があるわけではない。偶然対象として選ばれただけで、納豆にすればいい迷惑だということである。第一、毎週毎週健康に関する問題を放送すること自体無理なのではないか。最も土日以外毎日最もらしい娯楽的健康問題を放送をしている番組もあるが、あれほど乱発したのでは、科学的な検証の時間をとることは出来ないのではないか。更に毎週の放送では、選択する課題に追い詰められ、針小棒大な放送をでっち上げることになってしまう。

ところで不思議なのは、毎回の放送で、尤もらしい御高説を述べていたいわゆる専門家と称する方々は、放送内容を見てどう対応されていたのか。自分の研究結果と異なった結果になっていたとすれば、当然抗議すべきで、もしテレビ局がその抗議に対応しなかったとすれば、学術雑誌等に”健康娯楽番組”の欺瞞について書くぐらいのことは出来たはずであり、それが専門家としての責任の取り方ではなかったのか。

何れにしろ番組の制作を孫請けに丸投げしているという、今のテレビ放送局のありようも、根本的に考えるべきだと思われる。

ところで納豆が番組で取り上げられる度に、気になるのが『warfarin potassium』を服用中の方々についてである。warfarin potassiumを服用中の方は、例え納豆が大好きであっても薬との相互作用の関係で、納豆の摂取を避けなければならないということになっている。

納豆を摂取して減量が可能などということをテレビが放送する度に、この方々が納豆を摂取したくなりはしないかと心配するのである。服用している薬によっては、世間一般で何気なく食べている食べ物が差し障ることもあるので、食べ物に関するお祭騒ぎだけはは止めてもらいたいものである。

(2007.2.12.)