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お粗末-情報管理の不備

火曜日, 8月 14th, 2007

鬼城竜生

民主党の永田寿康衆議院議員(比例南関東ブロック)が使った、武部自民党幹事長の次男への送金指示メールなるもの、前原誠司民社党代表と野田佳彦国会対策委員長が対応して、間違いなくライブドア前社長の堀江貴文被告のだしたものであると判断したということであるが、お粗末としかいいようがない。一体、本物と判断した根拠は何だったのか、甚だ不思議である。

電子媒体を利用したメールの内容を、単純に真性のものと判断したのであれば、国家の運営に参加する政治家としてお粗末、情報管理能力は零に等しいといわなければならない。ましてそのレベルの政治家が代表や国会対策委員長を務める民主党では、危なくて政権を担当させるとなどというわけにはいかないといわれても仕方がない。

電子メールなるもの、手書きの手紙と違って、書いた人間の筆跡鑑定にも使えず、発信人を特定したとしても、それは発信した器械を特定しただけであって、第三者がその器械を使用して文書を発信することも可能なのである。

更に始末に負えないことは、その電脳を使用した個人を特定しようとしても、特定ができないということである。また他の電脳を使用して、あたかも当事者が発信したように見せることも可能であり、今回のようなメールの印刷した文面を見ただけで、信用してしまったとすれば、初歩的な情報管理もできていないということである。

一つには日常的に多量のメールでやり取りをする会社の前社長だったということ。壮大な金の話がメールで飛び交う世界だったということ。前社長が自民党から立候補したこと。当然それに伴って金が動いたのではないかという予測がされたこと。ネタ元がマスコミ関係者だったということ。それらもろもろのものが複合して、メールの内容を真実らしく見せたのかもしれないが、より冷静な眼で、提供された情報の評価をすべきであったといえる。

喧嘩を仕掛けるなら仕掛ける態勢作りが必要なのである。まして相手の死命を制する程に重要な情報であれば、その情報の裏付けを徹底的に抑え、何処からも反論のでないように態勢を構築しなければならない。

今回の民主党の情報の処理は、稚拙としかいいようがなく、更に当事者が責任を取って議員を辞職するといっている(マスコミ情報)のに、党主導で入院させた等というのは一時代前の自民党議員が逮捕を逃れるために入院した手法を参照したのか。いずれにしろ速いところ責任を明確にし、責任者は役職を降りて襟を正さなければ、政党としての存在まで危うくなるのではないか。

高い授業料を支払うことになるが、後処理を素早く、分かり易くすることが、世間の理解を得るための早道である。

(2006.2.25.)


  1. 前原代表 永田議員を当面慰留 自民は批判「入院は前代未聞」;読売新聞,第46678号<夕刊>,2006.2.24.
  2. 民主「永田進退」先送り メール問題 休養扱い、入院 本人「思いこみ行動」;読売新聞,第46678号,2006.2.24.