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BTC(Behind The Counter)について

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:語彙解釈・OTC薬・Over -the -Counter Drugs・BTC・Behind The Counter・HMG-CoA還元酵素阻害剤

Q:業界紙にFDA関連記事として「民主党には緊急避妊薬のOTC薬化(あるいはBTC=ビハインド・ザ・カウンター)への対応で反発が残り」とする記載が見られるが、BTCとは何か

A:OTC薬とは“Over -the -Counter Drugs”の略号であり、処方箋無しで購入可能で、一般市民が簡単な説明により使用法を理解でき、自己診断で薬を使用することが安全であると見なされている一般用医薬品のことである。つまり医師の処方箋無しにカウンター越しに自分で購入できる大衆薬のことであるとされている。

その他Rx-to-OTC Switching(処方薬から一般薬への変更)とする用語も見られるが、これは処方薬として何年も使用され、薬の安全性と有効性が証明されたものについて、処方箋医薬品から一般用医薬品に切り換えられる医薬品を示している。

BTCについては、“Behind the Counter”の略号とされており、“Behind the Counter Switching”(ビハインド・ザ・カウンター・スイッチ)とする標記も見られる。

BTCについては米国FDA諮問委員会において、メルクのHMG-CoA還元酵素阻害剤のrosuvastatin calcium(メバコール)を処方薬からOTC薬とする2回目の試みを、20対3の票決で否決した。

2000年に諮問委員会は、肝と筋肉への有害作用のリスクを下げるための10mg OTC版を、有効性の十分なエビデンスがないと却下。今回1月13-14日に開催された諮問委員会では、20mg固定量のrosuvastatin calciumが、ターゲット母集団、すなわちLDLコレステロール値が130mg/dLから170mg/dLで、少なくとも1つの冠動脈性心疾患 (CHD)に対するリスク因子 (喫煙、HDLコレステロールが40mg/dL以下、CHDの家族歴あり、高血圧のような)をもつ、45歳およびそれ以上の男性、55歳以上の女性において、コレステロールを効果的に減じることを認めた。

しかしながら、諮問委員会は、メルクとその販売活動のパートナーであるジョンソン&ジョンソンが、rosuvastatin calcium OTC薬の購入者がターゲット母集団に限られることや、購入者がスタチンの有害副作用を避けるために製品ラベリングに従うことを、証明し得たとはみなさなかった。

また諮問委員会の委員たちは、rosuvastatin calciumがその母集団で禁忌である妊娠カテゴリーXの製品であり、ラベルや教育材料で服用しないよう警告されているのにかかわらず、 rosuvastatin calcium OTC薬を服用してしまう妊婦がいるのでないかということに関心を示した。

公聴会では、動物試験データに基づくものではあるが、妊娠した女性が妊娠の最初の3半期に服用した場合に致死的な異常を引き起こす可能性に関心が集まった。この時期には女性は自分が妊娠していることを知らない可能性があると、FDAのOTC製品部門のダイバ・シェティー医師は語った。

英国の安全性委員会(CSM)が昨年sinvastatinを、処方せん専用薬から薬局専用薬にswitchした決定について、注目に値する論議が行われた。英国では同じ「OTC-Switch」という言葉を通常使っていても、実際は「Behind the Counter Switching(BTC)」で、患者は製品を買うためには、薬剤師に頼まなければならず、質問票に答えなければならないと、FDAのOTC製品部門のミハエル・ケーニッグ医師が説明した。米国におけるOTC薬は、英国における自由販売薬(GSL薬)に近いものであるとケーニッグ医師は語った。

rosuvastatin calcium OTC薬に反対票を投じた20人の諮問委員会委員のほとんど全員が、FDAは「Behind the Counter (BTC)」を承認をするのが好ましいと語った。

[615.8. BTC:2006.3.27.古泉秀夫]


  1. アメリカの日用品シリーズ1-アメリカの薬:株式会社ワールドフォトプレス,1999
  2. アメリカの薬なんかこわくない;ファミリーブックス,1996
  3. 米ブッシュ大統領 FDA長官、エッシェンバッハNCI所長を指名;RISfax,第4580号,2006.3.17.
  4. http://www.d9.dion.ne.jp/~sigma72/Kusuri-Yakugaku3.htm,2006.3.18.
  5. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2006