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CPPについて

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:薬名検索・CPP・Casein Phosphopeptide・カゼインホスホペプチド・カルシウム吸収促進作用

Q:健康食品中に配合されているCPPについて

A:CPPはCasein Phosphopeptide(カゼインホスホペプチド)の略号である。

Casein Phosphopeptideは、牛乳の蛋白質の主成分であるカゼインが腸内で分解されてできる成分で、calciumや鉄分の吸収を促進する作用があるとされていることから特定保健用食品の機能成分として使用されている。

calciumの吸収促進作用を有する物質としてvitamin D、乳糖、アミノ酸(リジン、アルギニン)等が挙げられているが、Casein Phosphopeptideについても同様の効果が報告されている。

Casein Phosphopeptideは牛乳蛋白のカゼインに酵素を作用させて得られるmacro-Phosphopeptideで、ミネラルの不溶化を防止し、 calciumの吸収を促進する。腸管で吸収されるcalciumは、溶解量が多いほど吸収は高まるが、ミネラルは小腸の下部に行くに従って沈澱が起こり易く、不溶化し吸収され難くなる。

Casein Phosphopeptideにはcalciumと燐等が結合してできる不溶性塩の生成を阻害する働きがあるため、calciumを吸収しやすい状態(可溶性)にして、小腸下部での溶解性calcium量を増加させる。calciumと同時にCasein Phosphopeptideを摂取することで、calciumの吸収が高まり、乳児から高齢者までの健康維持に役立つとされる。

Casein Phosphopeptideは骨端軟骨部成長板の石灰化を促進することにより、軟骨を強固にする作用も見られるとされる。

Casein Phosphopeptideは酸性条件下での安定性は高いが、アルカリ条件ではCasein Phosphopeptide中のホスホセリン(Ser-P)の燐が脱燐反応により外れ失活するとされる。また、Casein Phosphopeptideは単独使用では意味がなく、calcium等と配合することにより効果が発揮すると報告されている。

Casein Phosphopeptideのcalcium可溶化力は、ラットを用いた実験で1.6g-Ca/1g-CPPと報告されており、また食餌中のCPP/Ca≧0.2で、効果が発揮されることが、同じく動物実験により確められている。 Casein Phosphopeptideは、現在αS1-カゼインまたはβ-カゼインから人工的に製造されており、少量で大量のcalciumを可溶化できることから多様な食品への応用が可能であると期待されている。

[011.1.CPP:2005.2.15.古泉秀夫]


  1. 奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典 2002-2003改訂新版;東洋医学舎,2002
  2. 根岸千恵子:カルシウム吸収促進を有するペプチド-カゼイン・ホスホペプチドについて-;http://www.kgef.ac.jp/ksjc/ronbun/990790s.htm,2005.2.15.
  3. 橋詰直孝・監修:薬剤師と栄養士連携のためのサプリメントの基礎知識;薬事日報社,2002