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gemfibrozilの副作用について

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:副作用・gemfibrozil ・ゲムフィブロジル・CI-719・ジェムフィブロジル・横紋筋融解症・高脂血症用剤

Q:中性脂肪が高いということで、米国においてgemfibrozil  300mgを処方されているが、 服用4ヵ月で、両手薬指、小指の関節が赤く腫れてきた。その他に全身倦怠感、疲れ易さが見られるが、これは薬の副作用か

A:現在、国内で市販されていないが、gemfibrozilについて、次の報告がされている。

本品はフィブラート系の高脂血症用剤である。血清総コレステロール、トリグリセリド(TG)、低比重リポ蛋白(VLDL)、 IDL、LDLの低下作用及び高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールの上昇作用の他、アポリポ蛋白異常値の改善作用が認められている。特にトリグリセリド低下作用は著明である。

海外では高脂血症・高トリグリセリド血症治療薬として上市されている。国内では、1997年3月に申請され、一時取り下げられたが、1998年12月に再申請された。その後海外でセリバスタチンナトリウム製剤との併用で重篤な副作用(横紋筋融解症)が報告され、安全性が問題視されたため、2002年12月に申請が取り下げられた。

報告されている副作用

gemfibrozilの冠動脈疾患の初発、再発防止に対する有用性並びに長期にわたる投与の安全性は、これまでの大規模臨床試験から支持されている。

しかしながら、その投与に際しては、これまでのフィブラート系薬剤の副作用として報告されている横紋筋融解症、肝機能障害、胆石、黄疸、胃腸障害、ミオパチー、頭痛、眩暈、発疹、白血球減少、線溶系亢進、不整脈、脱毛、関節痛、性欲低下などの発現に注意する必要がある。

我が国における治験成績では、胃部不快感、胃痛、腹部膨満感などの胃腸障害が副作用の大部分を占め、その他、体のほてり、背部掻痒、歯肉出血、脱毛、口内炎などが見られているが、副作用の発現率は4.5%以下であった。投与に伴う検査値異常は10%程度に見られ、大半がGOT、GPTなどの肝機能検査値異常であったが、CPK上昇が約1%に見られている。

以上の副作用のうち横紋筋融解症は重篤な副作用であり、急性腎不全に至ることもある。横紋筋融解症の続発を防ぐため、腎機能低下例への投与には特段の注意が必要であり、投与に際しては患者の腎機能を検査した上で投与の可否や薬剤の減量又は投与間隔の延長を決定する。

他のフィブラート系薬剤ではスタチン系薬剤との併用において横紋筋融解症の発症が多いため、本薬剤もスタチン系薬剤投与中の患者、あるいは高齢者への投与は慎重にすべきである。また、本剤使用中は、脱力感、筋痛などの自覚症状に注意し、CPK値を定期的に測定する必要がある。

また、投与開始後3-4ヵ月は少なくとも月1回は肝機能、腎機能、CPK測定の検査を行うべきである。

  • 同義語:ゲムフィブロジル・CI-719・ジェムフィブロジル・dimefibrozil。[商]Gevilon、Lopid(Pfizer)、Lipur、ロピッド(三共)。

質問の症状については、他の疾患、他に服用中の薬剤等の情報が不足しているため、直ちにgemfibrozilの副作用と断定することはできないが、『疑わしきは服用せず』が、副作用回避のための基本である。直ちに薬物の服用を中止し、主治医に相談するとともに、検査により正確な判断を求めるべきである。

[065.GEM:2004.7.31.古泉秀夫]


  1. 明日の新薬:Technomics Inc,2004
  2. 多田紀夫:高脂血症治療の進歩-ゲムフィブロジル;日本臨床,59<増刊3号>:625-630(2001)
  3. http://www.sankyo.co.jp/company/release/2002/1211.html,2004.7.22.

[参照]

 

2002年12月11日

CI-719(一般名;ゲムフィブロジル)の承認申請取り下げ

ファイザー製薬株式会社(本社:東京都新宿区)と、三共株式会社(本社:東京都中央区)は、CI-719*(一般名:ゲムフィブロジル)の承認申請を取り下げることに合意いたしましたのでお知らせします。

CI-719は、フィブラート系の高脂血症治療剤で、1982年米国で発売以来、世界各国で発売され、同系統の標準的な薬剤となっております。

日本においては、1985年に開発を開始し、1998年に承認申請を提出、審査段階にありましたが、昨年米国及び欧州にてセリバスタチンナトリウム製剤との併用例において重篤な副作用報告が確認されました。

その後、セリバスタチンナトリウム製剤は承認を取り下げましたが、上市前に同薬剤との併用による安全性が問題視されたことにより、CI-719を販売しても臨床での使用が敬遠されることが予想されること、複数のフィブラート系の薬剤が既に現場に供されていることなどから、ファイザー製薬、三共両社にて検討を重ね、日本では本剤の上市を断念するとの結論に至りました。

以上

*備考

開発コード番号:CI-719。一般名:ゲムフィブロジル(Gemfibrozil)

製品名(予定):ロピッド錠150mg・225mg(Lopid)