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2-CT-2について

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:薬名検索・幻覚剤・2-CT-2・ホワイトラブ・2-CB・パフォーマックス・脱法ドラッグ・ケミカルドラッグ・麻薬・薬事法違反・未承認医薬品販売

Q:脱法ドラッグの一種であるとされる2-CT-2とはどの様な薬物か

A:脱法ドラッグについて、一般的な定義はないが、『多幸感・快感等を高める、幻覚作用、睡眠作用があるなどと称して販売されている製品の呼称であり、「合法ドラッグ」とも呼ばれる。』とする報告が見られる。なお、「合法」といわれるのは、麻薬や覚せい剤のように法律で所持・使用を禁止していないためであるとされるが、薬事法には抵触するため、東京都では「合法ドラッグ」の呼称は不適切であるとして、『脱法ドラッグ』としている。

脱法ドラッグ『2-CT-2』とは、2,5-ジメトキシ-4-チオエチルフェネチルアミン(2,5-dimethyoxy-4- ethylthiophenethylamine)の略称である。別名:『ホワイトラブ』。 2-CT-2は、幻覚サボテンに含まれるメスカリン(麻薬)と化学構造的に基本骨格が同一の物質である。phenethylamine系の化合物で、天然には存在しない物質である。

日本や欧米等では、医療用医薬品としての使用はされていないが、経口摂取される2-CT-2の製品は、医薬品に該当する。経口摂取すると『強烈な吐き気、頭痛、排尿困難等』を発現する。 2-CT-2の販売目的で、インターネット上に広告を掲載し、注文してきた客に代金引換郵便等を利用して販売していた事例で、薬事法違反(未承認医薬品の販売)で逮捕された事犯が見られる。

類似物質である『2-CB(4-bromo-2,5-dimethoxyphenethylamine)』は、米国で合成されたケミカルドラッグであるが、イギリス、アメリカ、オランダ、ドイツ等では麻薬に指定されている。また日本でも平成10年7月12月付で麻薬に指定された。

平成10年6月9日

麻薬、向精神薬及び麻薬向精神薬原料等を指定する政令の一部を改正する政令について

1. 今般の改正の概要

(1)麻薬及び向精神薬取締法に基づき、4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェネチルアミン及びその塩類を麻薬に指定。

(2)公布の日(平成10年6月12日)から起算して30日を経過した日(平成10年7月12日)から施行。

2. 麻薬に新たに指定される物質の概要

(1)名称など

  • 化学名:4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェネチルアミン
  • 通 称:2C-B(読み方は「に・シー・ビー」または「トゥー・シー・ビー」)
  • 性 状:白色針状結晶で、融点は237?239℃
  • 流通形態:米国では、粉末、カプセル剤及び錠剤に加えて、2C-B入りの角砂糖などが不法に流通しており、1製剤あたり約10mg程度の2C-Bが含まれている。日本でインターネットで販売されてい2C-Bは、直径4mm前後の白色の錠剤である。通常、経口摂取により乱用されている。(品名「パフォーマックス」等)

(2)精神毒性等

(本年4月に中央薬事審議会依存性薬物調査会(座長:風祭元・東京都立松沢病院長)で審議)

  1. 通常、8?10mgの微量で幻覚作用を発現させる。摂取して1時間以内に興奮が起こり、2時間後に強烈な幻覚、妄想を引き起こし、その持続は6?8時間である。
  2. 幻覚作用は「DOB」と同程度、「MDMA」の5倍程度、「メスカリン」の35倍程度であるとされている。(DOB、MDMA、メスカリンはいずれも麻薬として規制。)
  3. 依存性(薬物の摂取が自らの意思では止められなくなる作用)が認められる。
  4. 医療上の用途はない。
  5. 現在、我が国で販売されているものは、他国で密造等されたものであり、混入している不純物や不完全合成物の摂取による危険性も危惧される。

(3)世界各国における規制状況等

  1. 規制している国:イギリス(1977)、アメリカ(1994)、オランダ(1997)、ドイツ等
  2. 国際条約上の扱い:現時点では向精神薬条約における指定は行われていない。

3. 麻薬に指定された場合の規制等

  1. 所持、使用、販売、譲渡、譲受、製造、輸入、輸出などが禁止され、違反すると刑罰の適用対象となる。
  2. 2C-Bについて研究を行うには、麻薬研究者の免許が必要となる。
  3. 研究の目的等で輸入、輸出を行うためには、厚生大臣の特別の許可が必要となる。
  4. 新規指定の施行日以降は、2C-Bの所持等が法違反となることから、施行までの間に、現在、2C-Bを所持している者に対して、所有権放棄による国庫帰属の手続きなどの適切な措置をとるよう周知、指導を行う。

[011.1.2CT:2004.2.3.古泉秀夫]


  1. 乱用が懸念される薬物(いわゆる「脱法ドラッグ」)の発見・回収について;東京都衛生局薬務部薬事指導課,2001.8.16.
  2. 「合法ドラッグ」の現状と薬物の乱用防止;都薬雑誌,21(7):15-21(1999)
  3. http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/anzen/news/2003/,2004.1.22.
  4. http://www.mhlw.go.jp/index.html,2004.1.22.
  5. http://www.pref.aichi.jp/police/taisaku/high-tech/jikenbo.html,2004.2.3.