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MDMAについて

火曜日, 8月 14th, 2007

KW:薬名検索・MDMA・エクスタシー・ecstasy・合成麻薬・3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン・クラブドラッグ・club drug

Q:テレビ放映されていたMDMAとはどの様な物質か

A:MDMA→N,α-dimethyl-3,4- (methylenedioxy)phenethylamine。N,α-ジメチル-3,4-(メチレンジオキシン)フェネチルアミン。→メチレンジオキシ・メタンフェタミン(methylenedioxy-methamfetamine:MDMA)、エクスタシー(ecstasy)、『麻薬』

ecstasyは、混合興奮薬で、幻覚作用がある。本品の幻覚作用は、5HT放出で起こるものと考えられている。本品は気分転換薬として、広い範囲で乱用されているが、時に致命的な急性高体温反応を起こす。本品の長期使用は、5HT神経終末を破壊し、精神障害の危険性を増加することが証明されつつあるとする報告が見られる。

ecstasyは、比較的新規物質であるが、乱用薬物として大変よく知られており、“Rave文化”(レイブ:音楽の1ジャンル)に関連して登場してきた。長時間の活発なダンスに関連して高頻度に使用され、脱水を惹起し、高体温の引き金となる。

その他、通称ecstasy(MDMA)は、合成麻薬の一種である。本品は白色結晶性の粉末で、錠剤又はカプセル剤として密売されている。本品はは現在、“クラブドラッグ(club drug)”として流行している。

“Ecstasy”(3,4-methylenedioxymethamphetamine; MDMA;(+-)3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)、および類似薬物は、大量に摂取すると、知覚および行動への作用に加え、高血圧、高熱、横紋筋融解症、低ナトリウム血症、脳梗塞、播種性血管内凝固障害、心不整脈、および肝・腎不全のような、アンフェタミン様作用を生じることがある(JV Pham and T Puzantian, Pharmacotherapy 2001; 21:1561; H Kalant, CMAJ 2001; 165:917)。

ecstasyの最大濃度到達時間は、経口摂取後約2-3時間であるが、作用は約20分で発現し、約4-5時間持続する(M Shannon, Pediatr Emerg Care 2000; 16:377)。ecstasy摂取者が救急医療サービスを受ける理由としては、発作が最も多い。ecstasyはセロトニン作動性神経の損傷を引き起こすことがあるため、典型的な娯楽目的の用量で、長時間持続性の認知障害および神経精神医学的障害を生じることがある(L Reneman et al, Lancet 2001; 358:1864; GA Ricaurte and UD McCann, Lancet 2001; 358:1831)。

ecstasyは、動物に対してはセロトニン選択性の神経毒であり、おそらくヒトにとっても同様であるというのが通説である。ヒトが用いる使用法に合わせて、ヒト以外の霊長類に数回連続して本品を投与したところ、比較的軽度のセロトニン作動性神経毒性に加えて、重度のドーパミン作動性神経毒性が誘発された。また、本品の神経毒性は、ドーパミンの枯渇により二次的に運動神経機能不全がおこる危険性が増大することと関連した。

以上の結果は、ecstasyの神経毒性発現機構に関して、種々の示唆を与えている。ecstasyの使用者は、知らず知らずのうちに、青年期若しくは後年になって、脳内のドーパミンやセロトニンの欠乏が関与する神経・精神疾患に罹患するという危険な状態に自らを追い込んでいる等の報告がされている。

本品は所持するだけで麻薬取締法違反』の事犯である。

[011.1.MDM:2003.8.4.古泉秀夫]


  1. 文部省学術用語集-薬学編;丸善株式会社,2000
  2. 麻生芳郎・訳:一目でわかる薬理学 第4版;メディカル・サイエンス・インターナショナル,2003
  3. 高久史麿・他監訳:ワシントンマニュアル 第9版;メディカル・サイエンス・インターナショナル,2002
  4. The Medical Letter<日本語版>,18(5),2002.3.4.
  5. http://www.police.pref.chiba.jp/ranyoboshi/mdma.html,2003.7.30.
  6. http://medical.tanabe.co.jp/public/science/2002_9_27/sci_jsumm.shtml,2003.7.30.