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ラロニダーゼについて

月曜日, 8月 13th, 2007

KW:薬名検索・ラロニダーゼlaronidase・I型ムコ多糖症・MSP-I・Hurler症候群・ハーラー症候群・α-L-iduronidase・α-L-イズロニダーゼ

Q:ラロニダーゼについて

A:ラロニダーゼ(laronidase)は遺伝子組換えα-L-iduronidaseで、最も重症例の場合Hurler症候群(ハーラー症候群)と呼ばれるI型ムコ多糖症(MSP-I)に対する補酵素補充目的に使用される医薬品として開発された。剤型:静注。

同意語:BM-101、α-L-iduronidase(recombinant)、rh α-L-iduronidase、α-L-イズロニダーゼ(遺伝子組換え)。[商]Aldurazyme(BioMarin Pharmaceutical)。

本症は常染色体劣性遺伝による稀な疾患で、α-L-iduronidase欠損によりリソソームへの蓄積障害が起こる。本症は小児にみられ、症状としては成長及び発育遅延、脾臓及び肝臓の肥大、骨格形成異常、視力障害、脱毛及び水頭症などが認められる。

本剤はI型ムコ多糖症の適応で、米国においてfist track(早期承認)指定を受けた。米国及びEUでオーファンドラッグの指定を受けている。米国では2002年4月に申請が出され、優先審査の対象に指定されたが、2003年1月追加情報の提出を求められたと報告されている。2003年4月30日FDAで承認され、EUでは2003年6月に承認されたとされる。日本ではムコ多糖症-I型患者の諸症状の緩和の適応について、1999年8月25日オーファンドラッグの指定を受けたの報告がされている。

米国のバイオ医薬企業Genzyme General 社は、本剤について日本国内の臨床試験データなしに承認申請する方針を固めた。国内の患者数が20人程度と極めて少なく、厚生労働省も申請を後押しする。これまで国内の臨床試験なしに承認申請するケースは抗エイズウイルス(HIV)薬以外ではなかった。

Genzyme General 社では、日本国内における臨床治験について検討していたが、極端に患者数が少ないことから作業は進まなかった。しかし、厚生労働省が患者や医療現場での要望が強い薬の早期承認を検討する中で、アルドラザイム(Aldurazyme)が対象薬に浮上。厚労省が近くGenzyme General 社に申請作業を要請する見通しとする新聞報道がみられる。

2005年4月27日に開かれた厚生労働省の第4回「未承認薬使用問題検討会議」で、ボルテゾミブ(対象疾患:多発性骨髄腫)、ラロニダーゼ(対象疾患:I型-ムコ多糖症)、ジアゾキサイド(対象疾患:高インスリン血症による低血糖症)の3剤について、ワーキンググループでの検討結果を基に議論がされた。その結果を受け、3剤とも、患者が早期に薬を使用できるよう、厚生労働省から企業に対応を求めていくことになった。今回検討された3剤はいずれも、過去5年間に学会や患者団体などから早期承認・早期保険適用の要望があり、かつ2005年3月までに欧米4カ国(米、英、独、仏)のいずれかで承認済みの薬物である。

ムコ多糖症は、酵素α-L-iduronidase先天的に欠損する病態である。α-L-iduronidaseの欠損により糖質が細胞内に蓄積し、この糖質の蓄積が心臓・肺機能不全や発育遅延・骨・関節変形、持久力減少等の症状を惹起する。ムコ多糖症患者の大部分は、成人までの成長が困難であるとされている。 laronidaseは、ムコ多糖症患者に不足しているα-L-iduronidaseのヒト組替蛋白質で、laronidaseは、α-L- iduronidaseと同じ作用により細胞内の糖を処理すると報告されている。

なお、副作用として5例で一過性の蕁麻疹、4例で血清中にα-L-iduronidaseに対する抗体が検出された。

[011.1.LAR:2005.5.9.古泉秀夫]


  1. 明日の新薬CD-ROM版:Technomics社,2005.5.9.
  2. 日本経済新聞,2005.5.3
  3. http://dextromethorphan.blog6.fc2.com/,2005.5.9.
  4. http://www.biotoday.com/view.php?n=7200,2005.5.9