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メチルスルフォニルメタンについて

月曜日, 8月 13th, 2007

KW:健康食品・メチルスルフォニルメタン・ methylsulfonylmethane・MSM・DMSO ・ジメチルスルホキシド・dimethl sulfoxide・イオウ・硫黄

Q:健康食品中に加えられているメチルス ルフォニルメタンとは何か

A:非金属性ミネラルである硫黄は、全ての体細胞に含まれており、多くの体 機能に不可欠であるとされている。硫黄の中でも吸収率が極めて高いといわれる有機イオウのメチルスルフォニルメタン (methylsulfonylmethane:MSM)は、その有用性が最近見直されているとする報告がある。

MSMは植物、肉類、卵、乳製品などに含まれており、人間の体内で酵素や抗 体、グルタチオン、その他軟骨やコラーゲン、毛髪、爪、皮膚を作るのに必要な物質である。またアミノ酸の生成に不可欠で、MSMや他の硫黄化合物がなければ、蛋白質は分子構造を持つことができないとされている。

MSMの形状は白色、無臭でわずかに苦味がある結晶状の物質であり、硫黄元 素の含有量は34%で水溶性である。構造は簡単で、硫黄の原子1個に酸素が2個、メチル基(炭素1個と水素3個)が2個付いたもので化学式はCH3SO2CH3(C2H6O2S)である。

MSMはあらゆる生物体に存在する硫黄の85%を供給していることが示唆されてい る。自然界にあるMSMは海から始まり、微小なプランクトンが、ジメチルスルフォニウム塩(dimethylsulfoniumsalts)と呼ばれる硫黄化合物を放出する。これらの塩類は海洋中で揮発性の高い化合物DMS (dimethylsulfide)に変化し、気体となって大気圏の上層に達する。DMS と異なり、DMSO (ジメチルスルホキシド:dimethl sulfoxide)と MSM は、水溶性で雨により地面へと吸収される。植物は根からそれらを吸収し、最高 100倍まで濃縮する。MSMは、鎮静作用や抗炎症作用などの機能が科学的に立証されている。

MSMについて、我が国では、2001年3月付けで「医薬品の範囲に関する 基準改正について」および、同年6月の「厚生労働省医薬局食品保健部基準課長名の食基発第20号」の通達で「医薬品的効能効果を標榜しない限り、食品と認められる成分リスト」に硫黄が収載されたことで、健康食品への使用が可能になった。

MSMの代表的な機能として、鎮痛作用(神経線維を伝わる痛みのインパルス を抑制)、抗炎症作用があり、副次機能として血管拡張、血流を促進、筋肉の痙攣が減少することから、関節炎の緩和、筋肉痛の緩和、外傷性晩期の痛みや炎症の緩和、ケラチン形成促進作用(髪及び爪の成長促進)などがあるといわれている。

また、MSMがヒスタミン受容体と結合するのを阻止する働きから、アレルギー抑制効果があるのではないかとする報告がされている。

なお、Lignisul MSM(リグニサル エムエスエム)について、北米原産のテーダ松のリグニンより造られたMSM99.9%の高純度を持つ植物性製品である。特に石油系の無機物質を原料とする MSMとは異なるため、安全性は高いと報告されている。

MSMをサプリメント目的に生産を始めたのは最近のことで、1989年頃か らである。もともとMSMは、製紙工場の副産物として生まれた。製紙は木のチップを硫酸処理し、圧縮して行われるが、廃棄物として生まれる液体は、木の細胞間に存在するリグニン(Lignin)が混入し、DMSO(ジメチルスルホキシド)を形成している。

[015.9.MET:2004.6.22. 古泉秀夫]


  1. 丸元康生・監修:サプリメントバイブル;株式会社ネコ・パブリッシン グ,2003
  2. 株式会社東洋発酵・資料(愛知県大府市追分町3丁目89番地 TEL0562-46-7677・FAX0562-46-8122),2004.5.15.
  3. http://www.toyohakko.com/MSM.pdf, 2004.5.15.