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マリンコラーゲン分解物について

月曜日, 8月 13th, 2007

KW:健康食品・コラーゲン・collagen・膠原・マリンコラーゲン・マリンコラーゲン分解物・海洋性コラーゲン・marine collagen

Q:マリンコラーゲン分解物とはどのような物か

A:コラーゲン(collagen)は膠原ともいう。高蛋白の一つ。皮膚、腱、骨、軟骨及び結合組織の主成分を占め、動物体の構造を保つ蛋白で、腔腸動物から脊椎動物まで広く分布する。ただし、節足動物ではキチンがコラーゲンの働きをしている。分子量約30万、水や酸と加熱するとゼラチンになる。

繊維状の個体。ケラチンと異なり伸縮性に乏しい。アミノ酸組成ではシスチン、システイン、トリプトファンを含まず、プロリン、ヒドロキシプロリンの合計が、全アミノ酸組成の1/3を占め、またグリシンが1/3を占める。イミノ酸の含有量が多いこと及びヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシンを含有することが特徴である。

魚類の I 型コラーゲンは、主要な細胞外マトリックス成分として皮膚、骨、鱗、筋肉などに広く分布する。最近,ニジマス I 型プロコラーゲンは全一次構造が解明され、高等脊椎動物のそれと良く類似したアミノ酸配列を保持しており、α3( I )はα1( I )から分岐したことが判明した。さらに、最下等の魚類である円口類の体幹部に広く分布する繊維性コラーゲンは、真皮の I 型コラーゲンと遺伝的に異なり、無脊椎動物コラーゲンの特徴を示すとする報告も見られる。

マリンコラーゲン(marine collagen、和名:海洋性コラーゲン)。魚類の皮から抽出されるコラーゲンは、ヒトの皮膚と同タイプのコラーゲンである。その他、健康食品中の配合成分として『マリンコラーゲン分解物(魚類抽出)、フィッシュコラーゲン(fishcollagen)』と称する物質が報告されているが、酵素処理により加水分解された魚由来のコラーゲンのことである。

従来、コラーゲンの原料として牛由来のものが主流とされてきたが、BSE(狂牛病)問題の発生で、牛以外を原料とするコラーゲンの製造が求められている。

その他、植物コラーゲン、魚類コラーゲン(マリンコラーゲン)などが開発、研究されているとする報告とともに、ウロココラーゲン(scale collagen)とする名称も見られる。

海洋性原料由来のコラーゲンは、アレルギー性が少なく、新しい機能性を持つとして期待されていたが、魚皮は大変もろく、哺乳類で行っている予備的な化学処理では分解されやすい、また、抽出時に色素、不純物の混入が多いため、純度の低いコラーゲンしか製造できず、収率も悪い等の問題点があった。

しかし、寒流系の魚類(鮭)を原料に、変性温度の低いコラーゲンが開発されたことにより、低温での安定性、保水性、生体へのなじみやすさなどの機能性を有する海洋性コラーゲンが開発された。

[015.9.COL:2004.6.7.古泉秀夫]


  1. 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
  2. 志田正二・代表編:化学辞典;1999
  3. 木村 茂:魚類 I 型コラーゲンの構造と起源(総説);日水誌,68 (5), 637-645 (2002)
  4. 水産学会HP;http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsfs/ ,2004.5.15.
  5. 井原水産株式会社 札幌支社 商品部 新技術開発課HP,2004.5.15.

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