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ホスピタルダイエットについて

月曜日, 8月 13th, 2007

KW:薬名検索・ホスピタルダイエット・ダイエット薬・タイ製・向精神薬・肝機能障害・個人輸入

Q:新聞等で報道された「ホスピタルダイエット」について

A:新聞報道された記事の内容は、次の通りである。

神奈川県は1日、タイ製のダイエット薬「ホスピタルダイエット」と見られる錠剤などを服用した同県茅ヶ崎市内の20歳代の女性会社員が6月中旬、急性心不全で死亡していたと発表した。厚生労働省によると、この薬での死者はこれまで確認されていないという。神奈川県薬務課によると、女性は6月16日、自宅で死亡しているのが発見された。室内には8種類の錠剤やカプセル剤があり、このうち3種類がホスピタルダイエットと見られている。

ホスピタルダイエットは、錠剤やカプセル剤が数個ずつ袋詰めされ、インターネットで個人輸入されるケースが多いという。これまでに香川、兵庫、広島の3県で肝機能障害や体の震え、頭痛などの健康被害が報告されている [読売新聞,第46504号,2005.9.2.]。

「ホスピタルダイエット」等の名称でダイエット薬として販売されている錠剤などを服用した人が相次いで健康被害を訴えている問題で、東京都内の女性が体調不良を訴えて入院していたことが、21日厚生労働省などの調べでわかった。この薬をめぐっては今年6月に神奈川県で女性が一人死亡していたことが明らかになったばかり。一部からは向精神薬の成分も検出されており、厚生労働省は健康被害の拡大を警戒している。

新たに健康被害が判明したのは、東京都目黒区の10歳代の女性。携帯電話のサイトで購入し、今月上旬に服用、動悸や胸の痛みを訴えて入院した。

インターネット上で「ホスピ」、「ドクターダイエット」等の名称で販売されており、一度に5-6種類の錠剤やカプセルを組み合わせて服用。タイ・バンコックにある病院名の一部「ヤンヒー」が使われているものもあり、タイ製と見られる。抗精神薬の成分には肝機能障害やめまい、頭痛などの副作用があり、検出された成分には、ほかに吐き気などを引き起こすものもあったという。

一昨年以降、香川、兵庫、広島、神奈川で健康被害が報告されており、このうち神奈川の20歳代の女性が死亡したほか、肝障害など重い症状が出たケースもあった [読売新聞,第46524号,2005.9.22.]。

その他、厚生労働省のHP中に次の情報が掲載されていた。

「ホスピタルダイエット」などと称されるタイ製の向精神薬等を含有する無承認無許可医薬品による健康被害事例について

ダイエット目的の処方薬として、個人輸入されていることが疑われる「ホスピタルダイエット」などと称される製品については、下記のとおり医薬品成分が検出されており、複数の都道府県から健康被害の事例が公表されております。

健康被害が発生するおそれがあるため、このような製品を入手して服用しないで下さい。また、服用により体調異常が現れた場合には、直ちに服用を中止し、医療機関へ受診するとともに、最寄りの保健所にお申し出下さい。

当該品は、購入希望者がインターネットのホームページ等を利用して、身長、体重等を知らせ、海外の病院が処方したものを購入するダイエット薬とされており、主に個人輸入により入手されてます。なお、これらの製品を海外から輸入することは、向精神薬が検出されている製品であるため、インターネット等により注文する個人輸入であっても、麻薬及び向精神薬取締法で禁じられております。

(平成14年12月27日、平成15年1月27日及び5月 27日香川県発表)

製品名: ホスピタルダイエット 3a5

形状: 各種錠剤・カプセルが1週間分としてセットされている

  1. 黄色小粒の錠剤7個入り(ビサコジルが検出されたもの)
  2. 白色小粒の錠剤14個入り(フェノバルビタールが検出されたもの)
  3. 紺白色のカプセル7個入り(シブトラミンが検出されたもの)
  4. 水色中粒の錠剤7個入り(ヒドロクロロチアジドが検出されたもの)
  5. 青色中粒の錠剤7個入り

健康被害(疑い):中毒性表皮壊死剥離症及び肝機能障害。重篤な状態で入院。1例

(平成15年8月21日及び11月12日兵庫県発表)

製品名: 「ホスピタルダイエット」及び「ニューホスピ」と称して販売されたもの

形状:各種錠剤・カプセルが数個ずつポリ袋に入れられている

  1. 茶色と灰色のカプセル(フェンテルミンが検出されたもの)
  2. 黄色と灰色のカプセル(マジンドールが検出されたもの)
  3. 黄色の錠剤(ジアゼパム、マレイン酸クロルフェニラミンが検出されたもの)
  4. 水色の錠剤(ジアゼパムが検出されたもの)
  5. ショッキングピンクの錠剤(甲状腺ホルモンが検出されたもの)
  6. オレンジ色の錠剤(ビサコジルが検出されたもの)
  7. 肌色の錠剤(ビサコジルが検出されたもの)
  8. 水色の菱形錠剤(ヒドロクロロチアジドが検出されたもの)
  9. 青色の錠剤(甲状腺ホルモンが検出されたもの)
  10. ショッキングピンクの錠剤(ビサコジルが検出されたもの)

健康被害:振戦、甲状腺機能亢進等 1例

(平成15年9月1日広島県発表)

製品名:「ホスピタルダイエット」又は「ドクターダイエット」と称して販売されたもの

形状:各種錠剤・カプセルが数個ずつポリ袋に入れられている

  1. 肌色の錠剤 (ヒドロクロロチアジドが検出されたもの)
  2. 白色のカプセル (シブトラミンが検出されたもの)
  3. 黄色の錠剤 (アセトアミノフェン、マレイン酸クロルフェニラミンが検出されたもの)
  4. 紺色の錠剤 (アスコルビン酸が検出されたもの)
  5. 橙色の錠剤 (ビサコジルが検出されたもの)

健康被害(疑い):頭痛、嘔吐、動悸、発汗等。医療機関へ緊急搬送された。1例

(平成17年9月1日神奈川県発表)

製品名: 不明

形状:錠剤及びカプセル

  1. 桃色の錠剤(ビサコジルが検出されたもの)
  2. 黄緑色の錠剤(ビサコジルが検出されたもの)
  3. 黄褐色の錠剤(乾燥甲状腺が検出されたもの)
  4. 水色の錠剤(ヒドロクロロチアジドが検出されたもの)
  5. 薄茶色の錠剤(乾燥甲状腺が検出されたもの)
  6. 黄色と茶色のカプセル(フルオキセチンが検出されたもの)
  7. 青色の錠剤(ジアゼパムが検出されたもの)
  8. 茶色と灰色のカプセル(フェンテルミンが検出されたもの)

健康被害:急性心不全(死亡) 1例

品名 分類 概要
ジアゼパム 第3種向精神薬 ・国内承認医薬品。

適応:神経症における不安・緊張・抑うつ、うつ病における不安・緊張等。

作用:馴化、鎮静作用、抗痙攣作用等。

副作用:薬物依存、刺激興奮、錯乱等。

フェノバルビタール

(連用により薬物依存を生じることがある。)

第3種向精神薬 ・国内承認医薬品。

適応:不眠症、不安緊張状態の鎮静、てんかんの痙攣発作等。

作用:催眠・鎮静作用、抗痙攣作用等。

副作用:皮膚障害、肝機能障害、腎障害、眠気、眩暈、頭痛、食欲不振 等。

フェンテルミン 第3種向精神薬 海外承認医薬品(国内未承認)。

適応:肥満症の治療。

作用: 食欲抑制作用。

副作用:薬物依存等。

マジンドール 第3種向精神薬 国内承認医薬品。

適応:食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症における食事療法及び運動療法の補助。

作用:食欲抑制作用等。

副作用:薬物依存、口渇、便秘等。

アスコルビン酸   国内承認医薬品。

適応:ビタミンC欠乏症の予防及び治療等。

作用:抗酸化作用等。

副作用:悪心・嘔吐、下痢等。

アセトアミノフェン   国内承認医薬品。

適応:頭痛、耳痛、症候性神経痛等。

作用: 解熱鎮痛作用。

副作用:ショック、チアノーゼ等。

シブトラミン   海外承認医薬品(国内未承認)。

適応:肥満症の治療。

作用:中枢性食欲抑制作用。

副作用:血圧上昇、心拍数増加、頭痛、口渇、便秘、鼻炎等。

ビサコジル   国内承認医薬品。

適応:便秘症等。

作用:大腸のぜん動運動促進作用等。

副作用:過敏症状、腹部不快感等。

ヒドロクロロチアジド   国内承認医薬品。

適応:高血圧、心性浮腫等。

作用:降圧作用、利尿作用。

副作用:食欲不振、悪心・嘔吐、腹部不快感、脱力感、低カリウム血症等。

マレイン酸クロルフェニラミン   国内承認医薬品。

適応:じん麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒等。

作用:抗ヒスタミン作用。

副作用:過敏症、眠気等。

甲状腺ホルモン   乾燥甲状腺として国内承認医薬品。

適応:甲状腺機能低下症、クレチン病、甲状腺腫等。

作用:甲状腺ホルモン作用。

副作用:狭心症、ショック、うっ血性心不全等

フルオキセチン   海外承認医薬品(国内未承認)。

適応:うつ病、うつ症状。

作用:抗うつ作用等。

副作用:倦怠感、頭痛、めまい、腹痛、口渇、食欲不振、睡眠障害等。

その他、TV報道を見ると、タイの病院における処方薬を類推させる報道がされているが、その詳細は不明である。

[011.1.HSP:2005.12.12.]


  1. 医薬食品局監視指導・麻薬対策課:http: //www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/030902-1.html,2005.9.22