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ポリオワクチン接種後の抗生物質の使用

月曜日, 8月 13th, 2007

KW:薬物療法・ポリオワクチン・ワクチン接種・抗生物質・相互作用・併用禁忌・併用注意

Q:ポリオワクチン接種後に抗生物質の使用をする必要が生じたが、何等かの影響が考えられるか文

A: 経口生ポリオワクチン(セービン)I・II・III型混合(日本ポリオ研究所)の添付文書に、ワクチン接種後の抗生物質の使用に関する注意は何等記載されていない。

本剤の『併用注意』については、『他の生ワクチン(麻しんワクチン、風しんワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、BCGワクチン、黄熱ワクチン等)の接種を受けた者は、通常、4週間以上経過した後に本剤を接種すること。』の記載がされており、『併用禁忌』については、次の記載がみられる。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
副腎皮質ステロイド剤

プレドニゾロン等

免疫抑制剤

シクロスポリン

タクロリムス

アザチオプリン等

本生ワクチンの接種により、右記機序でポリオ様症状があらわれるおそれがあるので、接種しないこと。 免疫機能抑制下で本剤を接種すると、ワクチンウイルスの感染を増強あるいは持続させる可能性がある。

免疫抑制的な作用を持つ薬剤の投与を受けている者、特に長期あるいは大量投与を受けている者、又は投与中止後6ヵ月以内の者。

なお、その他の注意として『本剤の接種後およそ1ヵ月間は、頻回の筋肉注射(抗生物質等)を行うと、ワクチン関連麻痺例の出現頻度が高くなるという報告があるので、筋肉注射は控えるのが望ましい。

この報告によると、原因は筋肉注射を行う薬剤にあるのではなく、筋肉注射という強い刺激とワクチンウイルスの中枢神経への侵入の関連を推測している。』とする報告がされている。

また、本製剤の添加物としてアミノグリコシド系抗生物質である日局硫酸ストレプトマイシン及びマクロライド系抗生物質である日局ラクトビオン酸エリスロマイシンが添加されており、本剤の使用後に抗生物質を投与する事態が生じたとしても特に問題はないのではないかと考えられる。

また、抗生物質はポリオウイルスに感受性を示さないとされている。

[035.1.POL:2005.5.24.古泉秀夫]


  1. 経口生ポリオワクチン(セービン)I・II・III型混合添付文書,2003.6.改訂
  2. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2005
  3. 岡部信彦・他監修:予防接種に関するQ&A;社団法人細菌製剤協会,2004