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排卵誘発剤・ドパミン受容体作用薬・ホルモン剤併用の理由

月曜日, 8月 13th, 2007

KW:薬物療法・ホルモン剤・パーロデル錠・ドオルトン錠・クロミッド錠・norgestrel・ethinylestradio・ clomifene citrate・bromocriptine mesilate・不妊症・造精機能障害・排卵誘発剤・性ホルモン剤・ドパミン受容体作用薬

Q:次記処方せんに関連する下記の質問について調査されたい。

  • ドオルトン錠 1錠 分1朝食後 5日間
  • クロミッド錠(50) 2錠 分2朝・夕食後 5日間
  • パーロデル錠(0.25) 0.5錠 分1朝食直後 28日間
  1. クロミッド錠服用開始後何日目当たりが最も妊娠しやすいのか
  2. クロミッド錠の男子適応について
  3. パーロデル錠併用投与の意味及び食直後の理由

A:調査の結果は下記の通りである。

分類 性ホルモン製剤(卵胞・黄体ホルモン配合剤) 排卵誘発薬(ホルモン様作用関連物質) ドパミン受容体作用薬
品名 ドオルトン錠

(シエーリング)

クロミッド錠

(塩野義)

パーロデル錠

(ノバルティス)

適応症 1)機能性子宮出血

2)月経困難症

3)月経周期異常(稀発月経、頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全

排卵障害に基づく不妊症の排卵誘発

適応外使用:造精機能障害

1)産褥性乳汁分泌抑制、乳汁漏出症

2)高プロラクチン血性排卵障害

3)高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)

4)末端肥大症、下垂体性巨人症

5)パーキンソン症候群

用法

用量

[機能性子宮出血]1日1錠7-10日間連続

[その他]1日1錠 月経周期第5日から約3週間連続

第1クール:1日50mg 5日間

第1クール無効の場合:1日100mg(5日間)これを限度とする。

3クールで効果が見られない場合中止。

適応外使用:造精機能障害:(50mg) 0.5-1錠

[適応1-3]1日1回2.5mg 夕食直後

効果を見ながら1日5-7.5mgまで漸増し分2-3(食直後)。

[適応4]1日2.5-7.5mg 分2-3(食直後)

[適応5]1日1回1.25-2.5mg朝食直後から開始

1-2週毎に1日2.5mgずつ増量し維持量を決定(標準:1日15.0-22.5mg)

投与上注意   *無排卵症の患者に対して試みる場合には、まずgestagen、estrogen testを必ず行って、消退性出血の出現を確認し、子宮性無月経を除外してから投与を開始する。

*無月経症患者においては投与前にgestagen testを行い、消退性出血開始日を第1日として5日目に、また投与前に自然出血(無排卵周期症)があった場合はその5日目に投与を開始する。

*投与後基礎体温が高温相に移行した場合は、投与を中止し、必ず妊娠性率の有無を確認する。

*産婦人科・内分泌専門医の管理の基に投与すること。

*1日5mgの場合は朝食及び夕食直後に、7.5mg以上の場合は毎食直後に分服。

*投与開始時に悪心・嘔吐、血圧の急激な下降があらわれやすいので、初回は夕食時に半錠から始めることが望ましい。

*本剤の『食直後』での服用に関して、「食事中に服用する(食直後、又は箸を置く前に服用する)」とする記載が見られる。また、「本剤による嘔気・嘔吐は多くの場合、食中あるいは食直後の投与により軽減される」とする報告も見られる。

本処方中の各薬剤の併用目的は、各薬剤の承認適応症から『不妊症』の治療と予測することは可能であるが、あくまでも予測であり、医師に確認しない限り確定情報とはならない。従って本質問が患者からの質問であるとすれば、患者自身が主治医に確認するよう助言する。

clomifene citrate服用後開始後何日目が最も妊娠の可能性が高いかという質問に対しては、確定した回答は困難である。

clomifene citrate による無排卵周期症及び第1度無月経症の排卵誘発率は、それぞれ約83%、60%と良好であるが、妊娠率は全体として24%である。一方、第2度無月経例は、排卵率は低く、妊娠は成立していない(月経又は出血5日目から本剤を1日50-100mg投与)。つまり排卵率の高さに比較して妊娠率は低いとする上記の報告はみられるが、服用開始後何日目に妊娠する可能性が高いかについては報告されていない(通常排卵は本剤投与終了後5-10日以内に起こるの報告)。

clomifene citrateの男子適応は、未承認適応として『造精機能障害』に使用されているとする報告が見られる。

bromocriptine mesilateの併用の理由及び食直後の意味は、上表を参照されたい。

[035.1.INF:2005.10.11.古泉秀夫]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2005
  2. 日本薬局方クエン酸クロミフェン錠:IF,2002.7.
  3. パーロデル2.5mg:IF,2001.8.
  4. 泉谷知明・他:女性診療科における薬物療法のタイミング-6.不妊症と排卵誘発-1)クロミフェン療法;産婦人科の実際,51(11):1719-1725(2002)