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天南星について

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:薬名検索・天南星・てんなんしょう・arisaematis rhizoma・蝮蛇草・マムシグサ・鬼蒟蒻・日本天南星・コニイン

Q:天南星とはどの様な物か。また使用方法等について。

A:『天南星』(Arisaema consanguineum Schott)は、サトイモ科(Araceae)テンナンショウ属の多年生草本で、高さ40-90cm。東北天南星(和名:ヒロハテンナンショウ)、異葉天南星(マイズルテンナンショウ:Arisaema heterophyllum Blume)等の塊茎を用いる。

中国の河北、河南、広西、陜西、湖北、四川、貴州、雲南、山西各省に分布、山地の樹林下に生える。含有成分は不詳であるが、去痰、鎮痙の目的で用い、民間伝承としては肩こり、リウマチなどに外用するの報告が見られる。

生薬名:天南星(てんなんしょう)

  • ラテン名:arisaematis rhizoma。
  • 漢名:蝮蛇草。
  • 和名:マムシグサ。
  • 中国名:鬼蒟蒻・日本天南星。
  • 同意語:虎掌、半夏精、蛇頭天南星、南星、虎掌南星、虎膏、蛇芋(ジャウ)、蛇包穀(ジャホウコク)、三苞米(サンホウベイ)、三棒子(サンボウシ)、薬狗丹(ヤククタン)、大扁老鴉芋頭(ダイヘンロウアウトウ)、斑杖(ハンジョウ)、蛇六穀、野芋頭、蛇木芋。

ヒロハテンナンショウ(Arisaema amurense Maxim.)

  • 同意語::羹匙菜(コウシサイ)、大頭参(ダイトウジン)。

マイズルテンナンショウ(Arisaema heterophyllum Blume)

  • 同意語:独角蓮(ドクカクレン)、狗爪南星(クソウナンセイ)、母子半夏、虎掌半夏、狗爪半夏(クソウハンゲ)、独葉一枝槍(ドクヨウイツシソウ)。

その他、

朝鮮天南星(和名:コウライテンナンショウ:Arisaema peninsulae Nakai)。

鬼蒟蒻(和名:マムシグサ:Arisaema japonicum Bl.)又は日本天南星。

多疣天南星(タユウテンナンショウ:Arisaema verrucosum Schott)。

偏葉天南星(ヘンヨウテンナンショウ:Arisaema lobatum Engl.var.rosthornianum Engl.)又は花南星(カナンショウ)。

象天南星(ゾウテンナンショウ:Arisaema elephas S.Buchet)等も使用される。

  • 薬用部分:塊茎(天南星)。秋-冬にかけ塊茎を掘り取り、余分の根を除き日干しにしたものを硫黄で漂白する。乾燥した薬材は扁球状で表面は白色ないし褐色で光沢がある。また、明礬を入れた水に浸し、白色になった後日干しにしたものは、外皮が脱落しやすい。
  • 成分:天南星の塊茎にはトリテルペノイド系のサポニン(saponin)、安息香酸( benzoic acid)、アミノ酸(amino acid)、d-mannitol、澱粉を含有する。また鬼蒟蒻にはサポニンが含まれ、果実にはコニイン類似の毒成分を含む。塊茎を摂食すると強烈な刺激作用があって口腔粘膜を糜爛させる。
  • 薬効薬理:天南星には鎮静、止痛作用、去痰作用、抗腫瘍作用があり、催眠剤、鎮痛剤、鎮静剤、止痛剤、去痰剤、抗がん剤などに用いる。
  • その他:現在中国で使用されている天南星の種類は本種の他、東北天南星(A.amuense Maxim.)、昇葉天南星(A.heterophyllum B1.)があり、その他薬用になる同属植物として、擬天南星(A.ambignum Eng1.)、朝鮮天南星(A.peninsulae Nakai)、虎掌(A.thunbergii B1.)、鬼蒟蒻(A.japonicum B1.;オオマムシグサ、日本天南星)等がある。
  • 基原:神農本草経の下品に収載。天南星(Arisaema consanguineum Schott)の塊茎を乾燥したもの。生姜を加えて炮製したものを製南星、牛の胆汁で炮製したものを胆南星、薬品による炮製を加えていないものを生南星と呼ぶ。
  • 性味:製南星は、味は微辛、性は温。胆南星は、味は辛・苦、性は微温(涼ともいわれる)。生南星は、味は辛・苦、性は温。

臨床応用

  1. 去風痰に用いる。風寒痰湿が経絡を阻害し、眩暈・顔面神経麻痺・半身不随・手足痙攣・牙関緊急などがあらわれたとき(脳卒中・破傷風などにみられる)に用いる。
  2. 鎮痙に用いる。破傷風・小児の熱性痙攣には胆南星を常用する。
  3. 最近、腫瘍に対し補助薬として試験的に使用している。一般に生南星を用い、去痺・鎮痛作用を利用するが、治療効果に関しては今後の経過観察に待たねばならない。最近の報告によると、鮮天南星の内服(15gから次第に増量して45gまで用い、煎じて茶代わりに飲む)と局所治療(坐薬)で子宮頸ガンを治療した。
  4. .生南星を、化膿症(寒冷膿瘍に適す)の疼痛や打撲傷に外用する。また、よだれが多いときには、生南星末を酢で練って足底の涌き泉穴部に塗布する。
  • 用量:胆南星・製南星の内服は、毎回3-6g。生南星の外用は適量。ガンの治療に内服するときは、状況によって3-15gまで増量。ただし肝疾患のある者には禁忌。
  • 毒性:天南星の根茎を生で摂食すると強烈な刺激作用があり、口腔粘膜が軽度に糜爛し、酷い場合には部分的に壊死して脱落する。喉が渇き、灼熱感があり、舌体が腫れ、唇に浮腫ができ、大量の流涎、口舌の痺れ、味覚喪失、嗄声、口を開けるのが困難となる。

使用上の注意

  1. 3種の天南星の比較:■生南星は、毒性が強いので内服には用いない方がよく、一般に外用する。生南星を内服する必要があるときは、煎剤としてだけ使用し、生姜を配合して十分に煎じる(生南星に対して一定の炮製を行ったことになる)。服用して舌がしびれたときには砂糖で解毒できる。

    ■製南星は、毒性が弱く散風寒・通経絡の効能が強いので、脳卒中に適している。

    ■胆南星は苦寒の牛胆汁で製したもので、はげしい燥性は大幅に減少して性味が苦涼に転じている。化痰熄風の力が強く、しかも燥熱による傷陰のおそれがないので、熱痰による痙攣に適している。

  2. 陰虚による燥咳には天南星を用いてはならない。妊婦には禁忌である。 3. 中毒に対する処置は、半夏と同じである。

[011.1.ARI:2004.10.20.古泉秀夫]


  1. 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
  2. 三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
  3. http://home.e06.itscom.net/life/web/syouyaku/syou-ta/tennansyou.htm,2004.10.20.
  4. http://www.sun-inet.or.jp/~yakusou/tennansyou.htm,2004.10.20.
  5. 上海科学技術出版・編:中薬大辞典;小学館,1998