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調剤時の剤形の選択

日曜日, 8月 12th, 2007

KW:物理化学的性状・剤形・錠剤粉砕・脱カプセル・剤形選択

Q:錠剤・カプセル剤の他に、散剤・顆粒剤・口腔内崩壊錠等が市販されている製剤の場合であっても、錠剤の粉末化あるいは脱カプセル化する方法で調剤してよいか

A:各薬剤の剤形は原薬の安定性、服用の利便性等を較量し、使用目的によって、その医薬品が最も効力を発揮すると考えられる剤形で製造されている。

従って、散剤・顆粒剤等が市販されている製剤では、錠剤・カプセル剤を粉末化して市販の散剤に変える等の便宜的な調剤を行ってはならない。

また、医師が処方せん上に薬品名とともに剤形の記載をした場合には、当該製剤が市販されている際には、『保険医療機関等では厚生労働大臣の承認する医薬品を使用するの原則』からいって、市販されている剤形の製品を調剤すべきであり、薬剤師の勝手な判断で錠剤・カプセル剤を粉末化する等の便宜的な調剤をすることは認められていない。

ただし、市販製剤として散剤・顆粒剤がなく、患者の病態から経管投与等の特殊な投与方法を取らざるを得ない場合には、剤形変更による安定性、安全性等を検討し、錠剤・カプセル剤を粉末化することがあるが、この場合にも処方医の了解を得た上で行うか、処方せん上に粉末化の指示が記載されている場合にのみ行うのが本来である。

一方、病院薬局等において散剤・顆粒剤の使用頻度が甚だ低く、デッドストックになる可能性のある場合、処方医と協議して錠剤・カプセル剤の粉末化を行うことがあるが、この際にも医師の了解を得た上でのことであり、医師が定期的に処方する意図があるとした場合、デッドストックとならない範囲の量を購入する。

調剤薬局の場合であっても、市販の製剤がなく、やむを得ず剤形変更をせざるを得ない事例では、処方医の了解を得た後に調剤することが必要である。また、市販の製剤はあるがその剤形の製剤の使用が甚だ少ない場合、処方医の了解が得られれば、粉末化等の剤形変更は可能であるが、了解が得られない場合には、市販製剤を購入せざるを得ない。

[014.4.TAB:2004.9.28.古泉秀夫]


  1. 基本医療六法;中央法規,2001