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ストナリニSの妊婦・授乳婦への使用について

土曜日, 8月 11th, 2007

KW:副作用・OTC薬・ストナリニS・マレイン酸クロルフェニラミン・塩酸フェニレフリン・ダツラエキス・催奇形性・乳汁中移行・母乳中移行

Q:OTC薬ストナリニSの妊婦・授乳婦への使用について

A:ストナリニS(佐藤製薬)は時間差作用の二重構造の錠剤であり、鼻炎用内服薬である。成分は下記の通り。

成分 内核 外層 作用機序
マレイン酸
クロルフェニラミン
6mg 6mg アレルギーによる鼻づまり・鼻水を抑制
塩酸フェニレフリン 6mg 6mg 鼻粘膜の鬱血(血が滞ること)や腫れを抑え、鼻づまりを緩和する。
ダツラエキス 12mg 12mg 副交感神経に働いて、鼻炎による症状を改善する。

添付文書に記載されている『妊婦又は妊娠していると思われる人』に対する注意は具体的な記載はなく、『相談事項』である。各成分の催奇形性及び授乳婦への投与に関する注意事項は、以下の通りである。

  1. dl-chlorpheniramine maleate:催奇形性-有益性[未確立]。文献(3-[A]。
  2. d -chlorpheniramine maleate:催奇形性-有益性[未確立]。文献(3-[A]。
  3. phenylephrine hydrochloride:催奇形性-有益性[動物-胎仔毒性(低酸素血症)]。文献(3-[B2]。
  4. datura extract:催奇形性-回避[胎児、新生児に頻脈等惹起事例]。文献(3-[B2]。授乳婦-回避[乳汁分泌抑制]。

[註]ダツラ(Datura):マンダラ葉は、ナス科植物である洋種チョウセンアサガオ(Datura stramonium L.var.chalybea Koch)又は白花洋種チョウセンアサガオの花期の葉を乾燥したものである。全草が有毒部分で、共通する成分としてヒオスチアミン、アトロピン、スコポラミンなどのアルカロイドを主要成分とし、いずれも有毒成分は強力である。

喘息煙草(燻煙剤) :ダツラ100・硝酸カリウム30を混和茶剤とする。1茶匙にマッチで点火しその煙を吸入。datura extractは、ダツラアルカロイド(ヒヨスチアミンとして 0.95?1.15%を含む)。である。本品はロートエキスに代用したものである。

[A]:多数の妊婦及び妊娠可能年齢の女性に使用されてきた薬だが、それによって奇形の頻度や胎児に対する直接・間接の有害作用の頻度が増大するといういかなる証拠も観察されていない。

[B2]:妊婦及び妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られている薬だが、奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察されていない。動物を用いた研究は不十分又は欠如しているが、入手しうるデータは、胎仔への障害の発生が増加したという証拠は示されていない。

以上の報告から『chlorpheniramine maleate・phenylephrine hydrochloride』の両剤は、妊婦の服用によって直ちに催奇形性の問題があるとはいえない。また授乳婦への投与については『chlorpheniramine maleate・phenylephrine hydrochloride』では、添付文書中に授乳婦への投与に関する注意事項の記載はされていない。

『datura extract』は、datura-alkaloid[ヒヨスチアミン(hyoscyamine)C17H23O3N=289.36として)を0.95-1.15%を含む。

応用としてはベラドンナエキスと同様で、鎮痙鎮痛薬として特に喘息の治療に用いる。

hyoscyamineを含む植物アルカロイド製剤としてscopolia extract(ロートエキス)製剤があるが、同剤の添付文書に記載されている妊婦・授乳婦への投与に関する注意事項は『胎児又は新生児に頻脈等を起こすことがあるので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には投与しないことが望ましい。また,乳汁分泌が抑制されることがある。』とするものである。

なお、その他の資料で、hyoscyamine、belladonnaの妊婦への投与に関する評価は[B2]で、atropine sulfateは[A]である。

  [065.CHL:2006.6.26.古泉秀夫]


  1. ストナリニS添付文書,04111
  2. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2005
  3. 雨森良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク(第4次改訂版);医薬品・治療研究会,2001
  4. 薬科学大事典 第2版;廣川書店,1990
  5. ポララミン錠添付文書,2005.6.
  6. ネオシネジンコーワ注1mg添付文書,2005.6.
  7. 伊澤一男:薬草カラー大事典;株式会社主婦の友社,1998
  8. (10%)ロートエキス散添付文書,1999.5.
  9. 雨森良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク(第4次改定版)-オーストラリア医薬品評価委員会先天性異常部会による評価基準;医薬品・治療研究会,2001