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スルフィニルについて

土曜日, 8月 11th, 2007

KW:薬名検索・スルフィニル・sulfinyl・ワサビ・山葵・わさびスルフィニル・活性酸素・解毒物質

Q:解毒効果があるワサビ成分のスルフィニルとはどの様なものか

A:ワサビ(和佐比)は、葉が葵に似ていることから生薬名『山葵』とされるアブラナ科の植物で北海道、本州、四国、九州の深山渓流に自生するが、古くから各地で栽培されている。

学名:Wasabia japonica Matsumura(Wasabi)。

薬用部分は根茎とされているが、葉等も食品として摂取される。

成分として辛み成分である芥子油配糖体のシニグリンが知られている。これが酵素ミロシン(myrosin)によって加水分解され、強い刺激性のアリルイソチオチアナート(allyl isothiothyanate)(アリルカラシ油)、セコブチルイソチオシアネート(sec-butyl isothiocyanate)等を生ずるが、これらは眼や鼻の粘膜を刺激し、辛味を感じさせるが、揮発性なので持続時間は短い。

山葵中に含まれるとされるスルフィニル(sulfinyl)は、最近の研究で山葵の根茎に含まれることが確認された成分『6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-methysulfinylhexy isothiocyanate)の慣用名である。

体内に摂取された有害物質を体外に排出するための肝臓の解毒酵素として、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(glutathione-S- transferase:GST)があるが、このGSTを活性化する作用がsulfinylに存在し、野菜の中では山葵中に最も含まれていると報告されている。

同じアブラナ科の植物であるブロッコリー中にはスルフォラファン(Sulforafan)という非常に強力な成分が含まれているが、山葵中のsulfinylは、Sulforafanよりは強力で、発癌抑制作用があるとされている。

体内では喫煙や紫外線、ストレスなどによって活性酸素が発生し、それが遺伝子を傷付けているが山葵中のsulfinylは活性酸素に対しても強力に作用するの報告がみられる。

なお、山葵の1日必要量として5g程度の量とする報告がみられる。

sulfinylは、山葵の根茎には特に多く含まれる成分であるとされるが、その含有量は約0.04%と甚だ貴重な成分で、山葵の品種ごとに含有量が異なるとされている。

但し、これらの報告は、未だヒトにおいて確定した報告とはなっていない。

 [011.1.SUL:2006.5.1.古泉秀夫]


  1. 伊澤一男:薬草カラー大事典;株式会社主婦の友社,1998
  2. 奥田拓男・他:天然薬物・生薬学;廣川書店,1993
  3. 野菜の中で一番の毒消し効果-解毒効果を活性化-肝臓が元気に;Health;日経ヘルス,2006.2.