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処方に記載されるDNSの略号について

土曜日, 8月 11th, 2007

KW:語彙解釈・DNS・do not substitute・代替調剤・処方せんの記載・薬発第120号

Q:米国で処方せん中に医師が記載するとされる略号『DNS』の意味について

A:米国で医師が処方せん中に記載するDNSの略号は『do not substitute』の略記である。この略号は、医師が商品名を処方せんに記載した際、『DNS』の略号を附記していない場合には、代替調剤可ということで、同一組成の他社製品に変更して薬局で調剤してよいということを意味しているとされる。

我が国においても、厚生省医務・薬務両局長通知(昭和31.3.30.薬発第120号、各都道府県知事宛)として、次の文書が発出されている。

 

「処方せんの記載並びに調剤について」

新医薬制度の実施上留意を要すると認められる点については、すでに3月13日薬発第94号をもって通知したところであるが、更に左記の点についても関係者に周知徹底方何分の御配意を煩わしたい。

処方せんに記載する医薬品の名称は、公定書名、一般名又は商品名の何れを用いても差し支えないが、このうち商品名については、特に医師、歯科医師又は獣医師がその商品を指定する意思を表明する場合には、その商品名に(特)と附記する等の方法によって、その旨を明らかにするよう指導されたいこと。

薬剤師が調剤する場合、商品名で記載された医薬品については、原則としてその商品名のものを使用することを要し、(特)と附記する等の方法により特にその商品を使用することを指定する旨の表明がされている医薬品については、その商品名の医薬品を使用しなければならないこと。

ただ、処方せんに記載された商品名の医薬品が手許にない場合において、特にその商品を使用すべき旨の表明がなされていないときには、当該医薬品が公定書収載医薬品であれば、これと同一の成分分量を有する他の医薬品を使用して調剤しても差し支えないものとも考えられるが、この場合でもでき得る限り処方せんを交付した医師等と連絡することとするよう指導されたいこと。

以上の通知について、その主旨を考えた場合、次の3項に区分できる。

  1. 『商品名で記載された医薬品は原則として商品名のものを使用すること』
  2. 『特にその商品を使用することを指定する旨の表明がされている医薬品はその商品名の医薬品を使用』
  3. 『処方せんに記載された商品名の医薬品が手許にない場合において、特にその商品を使用すべき旨の表明がなされていないときには、当該医薬品が公定書収載医薬品であれば、これと同一の成分分量を有する他の医薬品を使用して調剤しても差し支えないものとも考えられる』

[1]は『原則として』とされてはいるが、『商品名のものを使用』とされており、代替調剤を容認しているものとは考えられない。

[2]は『医師が商品名を指定』しており、代替調剤の対象外である。

[3]は『処方せんに記載された商品名の医薬品が手許にない場合において、特にその商品名の使用が特定されておらず、当該医薬品が局方品であれば、同一成分分量を有する他の医薬品の使用』としているが、『できえる限り医師に連絡』としており、あくまで医師の意志確認が求められており、使用薬剤の範囲も狭く限定しており、米国でいう代替調剤には該当しない。

[615.8.DNS:2004.7.26.古泉秀夫]


  1. 武藤正樹・他:座談会 後発医薬品を育てる-不安を信頼に変えるために;週刊医学界新聞,第2591号,2004.7.5.
  2. http://www.ncc.go.jp/nk-cc/ingai-syohou/saiyoulist.html,2004.7.10.