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シクロスポリンと飲食物の相互作用

土曜日, 8月 11th, 2007

Q:「標準的な病院の朝食により、シクロスポリンの吸収の増加がみられる」とする資料をみたが、具体的な食事内容としては、どのようなものが考えられるのか。

A:シクロスポリン(ciclosporin)の製剤であるサンディミュンカプセル(ノバルティスファーマ株式会社)の添付文書中に飲食物との相互作用として、次の記載がされている。

4. 本剤の血中濃度に影響を及ぼす飲食物

「グレープフルーツジュース[同時に服用したとき、本剤の血中濃度が上昇することがある。]」

相互作用発現の機序としては、薬物動態的相互作用(pharmacokinetic interaction)ではないかと推定されており、グレープフルーツジュースにより肝P450IIIA4の活性阻害が起こり、シクロスポリンの血中濃度が増加するとされている。

なお、指摘された資料の原著は、国外文献であり、具体的な飲食物名は報告されていない。

シクロスポリンの体内動態及び代謝について、「経口投与では投与後3-4時間で最高血漿中濃度に達するが、バイオアベイラビリティは20?50%の範囲でばらつきがみられる。脂溶性が高いため、全血中では60?70%が赤血球中に存在し、白血球中にも10?20%が分布する。一方、血漿中では93%がリポ蛋白質などに結合している。血液中からの消失半減期は約6時間で、肝臓で代謝を受けた後、胆汁中に排泄される。尿中には代謝物を含めてほとんど排泄されない。」の報告がされている。

本剤の経口投与については、「吸収が一定していない」とする報告もみられ、「患者により個人差がある」とする報告もされている。従って、血中濃度の上昇が必ずしも食事による影響とは断定できないが、本剤の「脂溶性が高い」とする報告から考えると、本剤服用時に脂肪分の多い食物を摂取した場合、何らかの影響を受けるであろう可能性は否定できない。

[1998.5.14.古泉秀夫]


  1. サンディミュンカプセル添付文書,1998.2.改訂
  2. 厚生省薬務局研究開発振興課・監修:JPDI;薬業時報社,1996
  3. 「飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用」研究班・編:改訂第2版 飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用;薬業時報社,1995
  4. 日野原 重明・他編:今日の治療指針;医学書院,1998.p.1163
  5. 第十三改正日本薬局方解説書;廣川書店,1996