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後発品の薬価について

金曜日, 8月 10th, 2007

KW:語彙解釈・後発品・薬価・薬価基準・薬価基準制度・generic name・generic・generic医薬品・ジェネリック規定・GEルール・低薬価品・2.5倍原則

Q:後発品の薬価はなぜ何種類もあるのか

A:保険医療で使用される医薬品の購入価格は、国が定める公定価格=『薬価基準』であり、昭和25年(1950)に薬価基準制度として定められた。

薬価基準制度は、使用薬剤の算定基準(価格表としての性格)と保険医療で使用可能な薬剤の範囲(品目表としての性格)を定めたものである。

医薬品の価格は、市場原理によって変動するのが常態である。市場実勢価格を適正に薬価基準に反映させるためには、薬価調査(市場価格調査)を行い、算出された取引価格を基に薬価基準を改定していく必要がある。

  • 平成10年(1998)4月の薬価改定までは、「加重平均値一定価格幅方式(リーズナブルゾーン方式)」とする、薬価調査で得られた銘柄別の全包装取引価格の加重平均に、現行薬価の一定割合(一定価格幅)を加えた値を新薬価とする(但し現行薬価を限度)方式であった。
  • 平成12年(2000)4月の改定においては、中央社会保険医療協議会などにおける薬価制度改革に係る論議を経て、それまでのR幅(一定割合)に代わる新しい方式を定める暫定措置として、薬剤流通安定のための調整幅を設けることとした(「市場実勢価格加重平均値調整幅方式」)。平成12年度では、改定前の薬価に調整幅2%を乗じた額とされたが、薬価改定前の薬価を超えることはない等の報告が見られる。
  • 平成14年(2002)4月の改定は、三方一両損のスローガンのもと、財政的対応の性格が強く、長期収載医薬品(後発品のある先発品)の価格引き下げに追い込まれたが、一方で画期的新薬の算定ルールの見直しが行われた。画期性加算は 40%→最高100%、有用性加算は(1)10%→最高30%、(2)3%→最高10%に再編。GEルール(2.5倍原則)は削除。
  • 平成16年(2004)4月の改定においては、長期収載医薬品(後発品のある先発品)の薬価引き下げルールの適用対象の拡大、新規後発品の薬価算定計数の引き下げ(0.8→0.7)、医療上の有用性が高い医薬品の評価方式の導入等が実施された。
  • 平成18年(2006)4月の改定では、市場実勢価格加重平均値調整幅方式による改定、いわゆる長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)の薬価改定、再算定ルールによる改定、低薬価品に関する改定が行われている。

尚、ジェネリック(generic)医薬品は、新薬の長年にわたる臨床使用経験を踏まえて、有効性・安全性等が一定評価されたとして製造される。generic医薬品は、新薬に比べ実施する試験項目が少ないため、開発経費が少なく、低価格での提供が可能となっている。

generic医薬品(新規後発医薬品)の薬価収載は、現在では毎年1回7月に行われている。

  1. 初めて収載される場合には、新薬の薬価に0.7を乗じた額とされる。
  2. 既に他企業のgeneric医薬品が収載されている場合には最も低い薬価のものと同薬価に設定される。
  3. generic医薬品の合計した銘柄数が20を超える場合には、薬価が最も低い額のものを比較薬とし、0.9を乗じた額とされる。

等の算定方法が報告されている。

その他、薬価改定の際、既収載のgeneric医薬品も薬価改定ルールにより算定されるが、特例として、既収載品の組成、剤型区分及び規格が同一である全ての類似薬内の最も高い額に0.2を乗じた額を下回る算定額となる「低薬価品」については、低薬価品の市場実勢価格加重平均調整幅方式で算定した額とする。

既収載品の薬価改定ルールにより算定される額が、別途定める「最低薬価」を下回る場合には、当該「低薬価品目」については、「最低薬価」を改定後薬価とするの報告も見られる。

先発医薬品を基準として新規後発医薬品の薬価が決定され、更にgenericが市販されている場合、後発のgenericは「低薬価品」の特例ルール等により薬価が決定されているため、結果的にgeneric間に薬価の相違が見られる。

-注意事項-

注1.ジェネリック規定収載品目(一般名収載):1990年4月1日の薬価基準改正で、格差が著しい医薬品については、一般名収載方式が導入されることになった。一般名収載とは、同一成分・同一規格でありながら銘柄間の上下格差が 2.5倍を超える医薬品については、最低価格の銘柄を一般名(Generic Name)でまとめて収載する方式である。

その薬価は最高価格の2.5分の1の価格に止め、価格格差が2.5倍以内に収まれば銘柄別収載に戻される。つまり同一成分・同一規格の医薬品に、銘柄別に収載されている医薬品と一般名で収載されている医薬品があることになる。

一般名収載方式では、一般名の後に「含量」、「剤形」、「-GE」が付されている。

注2.GEルール:GE(一般名)収載品は、先発品の2.5分の1(40%)の薬価に補正されること。平成2年の薬価全面改定時に定められた(前出2.5倍の原則)。但し、GEルールは平成14年(2002)4月の改定で廃止。

注3.「低薬価品」:組成、剤形区分、及び規格が同一である類似薬のうち最も高い薬価の2割を下回るもの(低薬価品)については一般名により収載した。また、これまで一般名で収載されていたものであって、薬価調査における銘柄毎の市場実勢価格の把握により、低薬価品に該当しないことが確認できたアスピリン等159成分に係る1,140品目について、銘柄毎の収載とした。

[615.8.GEN:2006.4.17.古泉秀夫]


  1. 日本医薬品卸勤務薬剤師会・編:医薬品卸販売担当者研修教本I;社団法人日本医薬品卸業連合会,平成17年度改定版
  2. ジェネリック医薬品について;http://www.epma.gr.jp/something.htm,2006.4.10.
  3. 薬事ハンドブック;じほう,2002
  4. 薬事ハンドブック;じほう,2004
  5. 保険薬事典;じほう,平成12年4月版
  6. 使用薬剤の薬価(薬価基準)を定める件について[厚生労働省保険医療課長発出 各地方社会保険事務局長等宛],保医発第0306004号,平成18年3月6日