トップページ»

昆虫忌避剤について

金曜日, 8月 10th, 2007

KW:薬名検索・殺虫剤・防虫剤・虫除け剤・昆虫忌避剤・蚊・刺咬症・ディート・DEET・AUTAN・DEET・DETAMIDE・ Dieltamid・Diethyltoluamide・シトロネラ・Citronella・ユーカリオイル・eucalyptus-oil・ペルメトリン・permethrin・ピカリジン・picaridin・六塩化ベンゼン・BHC・リンデン・HCH

Q:寄生虫による刺咬を防止するための虫忌避剤について

A:種々の防虫剤(昆虫忌避剤)について、次の報告がされている。なお、昆虫忌避剤ではないが、適応外使用で疥癬虫感染症への投与がいわれている薬剤について、参照迄に収載した。

化合物名 概要 性状
六塩化ベンゼン

(benzene hexachloride;benzol chloride)

別名:BHC・リンデン・HCH・六塩化ベンゼン

1,2,3,4,5,6-hexachlorocyclohexane

*接触性殺虫剤であるが、農薬としての使用は全面的に禁止されている(1949年2月24日登録・ 1971年12月30日失効)。接触毒で、角皮より吸収されて神経系を侵す。また揮発性であるため、呼吸毒としての作用もある。殺虫剤。家庭用殺虫剤。防疫用剤。シロアリ駆除剤。

*有機塩素系の薬剤で、幾つかの異性体の混合物だが、γ-BHCのみに速効性の 接触毒作用があり、その精製品はリンデンと称される。

*疥癬の治療に際しpermethrintの方がBHCよりも(臨床的及び寄生 虫的、主観的治療の面で)効果的なように思えた。臨床的治療の面で評価すると、クロタミトンとBHCとの間に違いはないように思えた。

*純品は白色の結晶で、幾分 揮発性があり、通常のものは僅かに黄色を帯びた白色で、特異な刺激臭がある。水には不溶、各種の有機溶媒に溶ける。

*LD50(マウス経口)74mg/kg(γ体 95%)。

シトロネラ (Citronella) *citronella-oil。セイロンシトロネラソウ(Cymbopogon nardus Rendle)又はジャワシトロネラソウ(C.winterianus Jowitt)の葉の水蒸気蒸留で得られる精油。

*本剤を用いた虫除け剤は、蚊に対して短時間の防虫効果(1時間未満)があるが、おそらくダニには無効である。

*室内試験において、本品を活性成分とするものは約20分の持続効果を示した

*虫除け、蚊遣り、洋服の虫除等。また室内のダニ対策に。「レモングラス」を強力にした柑橘系の芳香をであるが、イネ科植物である。皮膚刺 激があるので、直接皮膚に塗布しない。

*Citronellaはイ ネ科植物。インドに産し、熱帯各地で栽培される多年生草本。全草を水蒸気蒸留し、シトロネラ油を得る。

geraniolとcitronellalを主成分とし、食品、香粧品香料などにされる。

ディート(DEET)

別名:AUTAN;DEET;DETAMIDE;Dieltamid;Diethyltoluamide。化学名:N,N- diethylmetatoluamide。

[商]Ultrathon(米国・3M)・虫除けキンチョールパウダーイン(大日本除蟲菊)・サラテクト(アース)・ウナコーワ虫除けスプレーS(興和)

*現在、最も効果が持続するのは本品であるが、合成繊維やプラスチックを腐蝕する。種々の蚊、ツツガム シ、ダニ、ノミ及びサシバエを寄せ付けないが、ミツバチやスズメバチのように針で刺す昆虫に有効な虫除け剤はない。

*DEETは兵士用に米軍が開発した。蚊やダニから、及び蚊やダニが媒介する病 気(ツツガムシ病や日本紅斑熱など)から個人を防護するためには非常に優れた薬剤である。

また、風土病が蔓延するような地域では特に重要な薬剤である。

*米国で販売されているDEETは5-40%及び100%製剤である。

含有量20%未満のDEET製品が完全に昆虫を予防できるのは1-3 時間である。防虫効果の持続時間は濃度が高くなるほど長くなる(最大12時間)が、濃度が50%を超えるとプラトーに達する。

元々は米軍のために開発された長時間作用型昆虫忌避剤。本剤は皮膚表面からの吸収や蒸発による損失を防ぐ長時間作用型ポリマー製剤に25%又は33%のDEETが含まれる。

周囲の状況や蚊の種類によって異なるが、この製品は6-12時間にわたり蚊による刺咬を95%以上防止し、この効果はアルコールを基剤とする75%DEETだったとする報告。

*DEETに対する毒性反応やアレルギー反応は殆ど無く、重篤な副作用は稀であ る。

指示通り使用した場合、最大50%の濃度までは幼児でも安全だと思われる。

中毒性脳障害は、一般に幼児及び小児に長期使用又は過量を使用した場合に認められているほか、ときに製品の経口摂取によって認められている。

発疹は軽度の炎症から蕁麻疹及び疱疹までの範囲で報告されており、一部のDEET製品は、患者の皮膚に不快な油っぽさや、べたつき感を与える。

DEETは妊娠の中期及び後期にも安全に使用されている。

*長期連用により脳障害を起 こすの報告。

*DEETは合成繊維で作られた衣類、メガネのフレームに用いられているプラスチック及び腕時計のガラスに損傷を与えることがある。

*湾岸戦争症候群の原因物質の一つとしてDEETは疑われており、DEETは他の農薬などと同時に使用すると、単独の化学物質が起こすより、重度の神経障害を招くことが知られている。DEETを使用する場合、他の薬物に被曝しない注意が必要である。カナダでは厳しく規制することになった。

ユーカリオイル

(eucalyptus-oil)

*最近発売されたeucalyptus-oilを用いた虫除け剤は、野外試験で蚊に対して最大4時間の 防虫効果を示した。室内試験では短時間のみの防虫効果を示した。

*主成分はcineole(eucalyptol)(約70%以上)である。

*eucalyptus-oilは拡散浸透性が強いため、ヒョウダニ駆除に有効 性を示す。スプレーされたeucalyptus-oilの微粒子が、布地の織目-顕微鏡的な繊維の間隙にまで浸透し、ヒョウダニの体を直撃する。

油とよく混和すること、これと拡散浸透力が強い性質によって、洗濯のとき、普通の洗剤だけでは到達しない織目の間隙に水や洗剤を浸達させ、間隙にひそむヒョウダニを溺死させるとする報告がみられる。

*ユーカリ油は、ユーカリの 木(Eucalyptus globulus Labillardi