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キャッツクロウについて

木曜日, 8月 9th, 2007

KW:健康食品・キャッツクロー・猫の爪・Cat’s-claw・ウンカリアトメントサ ・抗酸化作用

Q:最近、健康食品としてキャッツクロウという言葉を耳にするが、これはどの様なものか

A:キャッツクロウ(猫の爪・Cat’s-claw)は、南米ペルーのジャングルで樹木に絡みながら伸びるアカネ科の蔓性の1年草で、学名:Uncaria Tomentosa(Willd.)DC.(ウンカリア・トメントサ)の樹皮を薬用として用いる。

名称の由来は小枝から出る葉柄の基部に、猫の爪のような形の鈎が突出していることによる。別名:Una de gate、Garbato amarillo。使用部位は樹皮、葉。

ペルーの先住民であるインディオは、蔓を切ったときに溢れ出てくる樹液を服むことで消化器系や免疫系の疾患に用いたとされるの報告が見られる。

1974年に抗腫瘍性物質の存在を発見、同年代に抗炎症作用があることも確認された。1990年キャッツクロウの根から6種類のoxyindolalkaloidを抽出、mitraphyllia、rhyncophylline及び次の4種類(キャッツクロウに特有で活性の高いisoputeropodine(イソプテロポジン)、pteropodine(プテロポジン)、isomitraphydine(イソミトラフィジン)、isorhyncophylline(イソリンコフィリン)が、白血球の貪食作用を著しく活性化することを明らかにした。

その他、抗酸化性、抗微生物性、抗炎症性、抗腫瘍性等を持つ成分の存在が明らかにされている。

その他、トリテルペノイドのguinovic acid glycoside(消炎活性・抗ウイルス作用)、ステロールのβ-sitosterol、stigmasterol、campesterol等が含まれている。

現在、ペルーの農業省が公表しているキャッツクロウに関する資料(1996年3月)によれば、キャッツクロウの樹皮の熱水煎出・アルコール抽出成分は、気管支喘息、気管支炎、関節炎、リウマチ、肺・頸部癌、ヘルペス(疱疹)、胃腸障害(潰瘍性胃炎・腸炎)、膵臓炎、肝炎、痔疾等に対する効能があるとしている。

『樹皮に含まれるアルカロイドは、免疫組織を刺激して抵抗力を増進させ、自然治癒力を活性化させる。また、 polyphenol類のcatechinやanthocyanidinは潰瘍抑制効果を発揮する。その他、アレルギー抑制効果、胃・肝臓の保護作用、膵臓・子宮の調整効果も種々の実験で証明されている』とする報告が見られる。

1994年WHOで、副作用のない抗炎症薬として承認されたの報告も見られる。

同じくUna de gateと呼ばれている同属のUncaria guianensisがあるが、これもキャッツクロウと同様の効果を示すことが報告されている。

具体的作用としては、リウマチ改善、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫力改善・増強が報告されている。

いずれにしろ上記報告を見る限り、キャッツクロウは、単なる健康食品とするよりは、生薬の範疇に含めるべきものではないかと考える。従って、薬物療法中の患者では、その喫食について、主治医の判断を求めることが無難であるといえる。

[015.9CAT:2000.8.1.古泉秀夫]


  1. 奥田拓道:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2000-2001
  2. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典;小学館,1998
  3. キャッツクロウ資料,有限会社ワーカービーWK [東京都江戸川区松島1-41-22]
  4. 薬用ハーブの機能研究;健康産業新聞社,1999