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眼科用キシロカイン液の使用期限

木曜日, 8月 9th, 2007

KW:物理・化学的性状・安定性・眼科用キシロカイン液・使用期限・lidocaine hydrochloride・細菌汚染

Q:眼科処置室における4%-キシロカイン眼科用の使用期限をどの様に考えるか。保存条件は下記の通りである。

保存条件:診療時間中は点眼液セット(フタ付プラスチック性気密容器)中に入り、他の点眼液等と一緒に常温で点眼液セット内に保存。診療終了後は、保冷庫に保存。

A:眼科用キシロカイン液(アストラゼネカ-ニプロファーマ)の組成・性状は下記の通りである。

販売名 眼科用キシロカイン液
成分・含量(1mL中) lidocaine hydrochloride 40mg
添加物 クロロブタノール、pH調整剤
剤型 点眼剤
色調・形状 無色澄明な無菌の液
pH 5.0-7.0
使用期限 製造後3年
貯法 遮光し、凍結を避けて15℃以下に保存。
性状 リドカインは白色-微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)に極めて溶け易く、酢酸(100)又はジエチルエーテルに溶け易く、水に殆ど溶けない。希塩酸に溶ける。
取扱い上の注意
  1. 1.クロロブタノール(保存剤)は冷時安定であるが、加熱滅菌により分解して塩酸を放出し、液に刺激性を与える懸念があるので、本剤は無菌操作法により調製されている。したがって、本剤を加熱再滅菌して使用したり、また、稀釈して加熱滅菌の上用いることは絶対にしないこと。
  2. 塩酸リドカインは金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい。なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること。
20mL,100mL。

点眼液は本来無菌的に調製された製剤であり、製剤の使用期限を検討する場合、『製剤的安定性』、『使用環境』、『保管環境』の他、『微生物汚染』に関する注意が必要である。特に“フタ付プラスチック性気密容器”に充填し、スポイトを利用した点眼方法を行っている場合、患者の眼瞼に接触したスポイトが点眼容器内に戻されることにより、点眼液が細菌に汚染され、他の患者に感染が蔓延するという事例が見られた。

眼科用キシロカイン液の製剤の安定性については

  1. 室内散光下:無色透明、ガラス瓶、密栓3ヵ月保存→pHやや低下、他の項目に殆ど変化を認めない。
  2. 室温:無色透明、ガラス瓶、密栓24ヵ月保存→pH規格以下(規格pH:5.0-7.0)となる。他の項目は殆ど変化を認めない。
  3. 15℃ 保存:無色透明、ガラス瓶、密栓48ヵ月保存→各項目殆ど変化を認めない。

通常、処置室で使用される製剤は、1)あるいは2)の条件で使用されると考えられるが、製剤上の安定性については特に問題になるとはいえない。従って細菌汚染の問題を検討課題として判断することが必要ではないかと考えられる。

以前、眼科外来の看護師から処置瓶に白色の架絮物が浮遊しているという申し出があり、処置室における取扱いについて検討した結果、本剤は処置用薬であることから保存期間は1ヵ月以内とし、交換は毎月第1月曜日とする。

なお、払い出しの規格については、市販品をそのまま払い出すのではなく、無菌調製法により1本5mLの点眼容器に分割して交付することとした事例がある。

[014.4.LID:2005.3.22.古泉秀夫]


  1. 眼科用キシロカイン液添付文書,2003.11.
  2. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:医薬品情報,26(7):698-699(1999)