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カイロイノシトールについて

木曜日, 8月 9th, 2007

KW:健康食品・機能性成分・カイロイノシトール・chiro-inositol・イノシトール・inositol・イノシット・inosit・血糖降下作用

Q:カイロイノシトールについて

A:イノシトール(inositol)について、次の報告がされている。

別名:イノシット(inosit)

概要:inositolは分子式C6H12O6 =180.16。Hexahydroxy cyclohexaneあるいはcyclohexitolで、9種類の立体異性体が存在し、そのうち8種が見出されている。

本品はその中のmeso- inositol又はmyo-inositolと呼ばれるもので、この二つのみが生物活性を持っていると報告されている。

その生合成は酵母の場合、グルコース6-リン酸が酵素シラーゼによってイノシトール1-リン酸になり、更に特異的なphosphatase作用でinositolになる。

動物体内での inositolはmeso-inositoloxycgenaseによってC-1とC-6の間が酸化的に開裂しグルクロン酸となる。この酵素は高等動物では腎臓に局在する。

inositolはビタミンB群の一種として脂肪肝・動脈硬化予防、カルシウム吸収促進、コレステロール血症改善等の作用がある。また乳児の必須ビタミンとして粉ミルクにも使用されている。

  • [薬効]inositol欠乏によりマウス、ラットは成長遅延、脱毛などの欠損症状を示すが、原因としてinositol摂取の不足と inositolの体内合成抑制の二つがあげられている。
    ヒトにおけるinositol欠乏症は未確認である。従ってinositolが必須栄養素であるか否かはにわかに断定できないとされている。
    inositolは脂肪、コレステロールの代謝に重要な役割を努め、抗脂肝作用を現し、脂肪肝、肝硬変、過コレステロール血症などに有効とされ、またコレステロールとリン脂質の比を調節して、動脈硬化症に奏効するとする報告が見られる。しかし、inositol の生理作用、作用機序、代謝などについては未詳の部分も多い。
  • [適用]脂肪肝、肝硬変、過コレステロール血症、動脈硬化症等

1日0.5-2g、時に1日3g以上内服。

なお、inositolの異性体の慣用名について、次の報告がされている。

cis-イノシトール cis-Inositol epi-イノシトール epi-Inositol
allo-イノシトール allo-Inositol myo-イノシトール myo-Inositol
muco-イノシトール muco-Inositol neo-イノシトール neo-Inositol
chiro-イノシトール chiro-Inositol scyllo-イノシトール scyllo-Inositol

chiro-inositolについては、蕎麦中の含有量が高いとする報告及び血糖値を低下させるとする報告がされている。

蕎麦(Fagopyrum esculentum Moench(Buckwheat)。浄腸草(ジョウチョウソウ)、鹿蹄草(ロクテイソウ)、流注草(ルチュウソウ)。

  • 基原]:蕎麦はタデ科の1年生本草である。蕎麦(和名:ソバ)、中国雲南省が原産地とするのが定説である。
  • 漢名:キョウバク(蕎麦)。
  • 異名]:曽波(ソバ)、烏麦(ウバク)、?麦(キョウバク)、花蕎(カキョウ)、甜蕎(テンキョウ)、蕎子(キョウシ)。
  • 薬用部分]:種子・茎葉。
  • 成分]:痩果にサリチルアミン、4-ヒドロキシベンジルアミン、N-サリチリデン-サリチルアミン含有。蕎麦?(キョウバッカク):蕎麦の茎と葉。
  • 成分]全草にはルチン、クエルセチン、カフェー酸を含む。また光に敏感な物質も含む。種子と苗はオリエンチン、ホモオリエンチン、ビテキシン、サポナレチン、ルチン、クエルセチン、シアニジン、ロイコアントシアニンなどのフラボノイドを含む。
  • [薬効]:はれもの、洗濯・洗髪(茎葉を焼き、灰を水につけて灰汁を作って使用)

蕎麦中に含まれるchiro-inositolの機能について、動物実験の結果として血糖降下作用が報告されているが、動物実験の結果を直ちにヒトに外挿することはできない。また、漢方薬としての使用では、蕎麦の血糖降下作用を期待するものは見られていない。

[015.9.CHI:2005.9.6.古泉秀夫]


  1. 14303の化学商品;化学工業日報社,2003
  2. 第8改正日本薬局方解説書;廣川書店,1971
  3. http://homepage1.nifty.com/nomenclator/text/cyclitol.htm,2005.8.22.
  4. http://www.supplenews.com/MT/,2005.8.22.
  5. http://www.supplenews.com/MT/archives/2005/04/post_301.html,2005.8.22.
  6. 伊澤一男:薬草カラー大事典;主婦の友社,1998
  7. 上海科学技術出版・編:中薬大辞典 第1巻;小学館,1998