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カシスについて

木曜日, 8月 9th, 2007

KW:健康食品・カシス・Cassis・クロフサスグリ・黒房スグリ・blaack currant・ブラックカーラント・黒スグリ・黒カリン

Q:健康食品として紹介されているカシスとはどの様なものか

A:カシスは、ユキノシタ科スグリ属フサスグリ亜種に属する耐寒性落葉小低木である。原産地はヨーロッパ-アジア。

学名:Ribes nigrum cv.

英名:blaack currant(ブラックカーラント)

和名:クロフサスグリ、黒房スグリ、黒カリン。

属名のRibes(リビス)はアラビア語あるいはペルシャ語の「酸味のある」に因むとされる。和名のスグリについても「酸塊」に由来するとされる。

なお、一般にいわれているカシス(Cassis)はフランス語の呼称であるとされる。その他和名別名として「黒スグリ」とする報告も見られる。英名別名:クインシーベリー。また、本品はRibes nigrumを基に改良された品種群であるとされる。

Cassisは高さ2m程度の落葉の低木で、寒冷地に生育し6-8月に黒熟した果実を付ける。果実は房毎摘み取り食用に利用する。果実は直径は 1cm弱の球形の液果で、果肉は紫紺色で、酸味が強く、芳香がある。葉は飲用する。

果実は生食には不適であるが、カリウム、vitamin Cが豊富で、ジュース、ジャム、果実酒として利用され、タンニンを含有する葉は収斂消炎作用がいわれており、下痢、風邪などの時に茶剤として飲用するの報告が見られる。

日本では、カシスは青森県青森市の特産品になっているの報告も見られる。

  • 成分:葉は揮発油、タンニンとvitamin Cを含有。漿果はアントシアニン配糖体(約 0.3%)、フラボノイド、ペクチン、タンニン、vitamin C、カリウムを含んでいる。
  • 効力:ヨーロッパでは利尿効果が利用される。体液の排出によって血液の体積を減少させ、血圧の降下を図る。喉頭炎と口腔潰瘍の含嗽剤としても使用される。
  • 葉:止瀉作用、抗炎症作用。
  • 果実:眼精疲労改善作用、視覚機能改善作用、血流改善作用、抗ウイルス作用。

Cassispolyphenol(カシスポリフェノール)として4種類のanthocyanin(アントシアニン)の存在がいわれている。

Delphinidin-3-rutinoside(デルフィニジン-3-ルチノシド)、Delphinidin-3-glucoside(デルフィニジン-3-グルコシド)、Cyanidin-3-rutinoside(シアニジン-3-ルチノシド)、Cyanidin-3- glucoside(シアニジン-3-グルコシド)の4種類である。

anthocyaninは水溶性の色素であり、アルコールとの組み合わせで吸収率が上昇する。anthocyaninの生体内での作用として

  • 眼の機能向上:cyanidin rutinosideは他の植物に含まれることの少ないblaack currant特有のanthocyaninである。in vitroの試験においてcyanidin rutinosideには眼球内網膜に存在する視覚物質の一つロドプシンの再合成を促進させる機能があることが認められており、暗順応の改善、夜間視力の改善等の効果が期待できるとされている。その他、眼の網膜にある色素ロドプシンが分解と再合成を繰り返して光の刺激を脳に伝達することによりものが見えるが、anthocyaninはロドプシンの再合成を活性化する働きを示す。これにより暗順応など、anthocyaninは眼の機能向上に効果があるといわれている。また糖尿病性の眼底網膜病変の改善、眼精疲労の回復にも、臨床試験で効果が認められているとする報告も見られる。
  • 肝臓の機能向上:anthocyaninは肝臓の機能の回復、機能の向上に働くと考えられている。
  • 血圧降下作用:anthocyaninは血圧を上昇させる酵素の働きを阻害することが、最近の研究で明らかになってきている。その他、血中の血小板の凝固抑制作用、靱帯の腱の強化作用が確認されている。
  • その他、anthocyaninには抗酸化作用もあることから生活習慣病への効果も期待されている。

[015.9.CAS:2005.6.17.古泉秀夫]


  1. 阿部 誠・他監修:ハーブスパイス館;小学館,2000
  2. http: //www.meiji.co.jp/etc/dictionary/sp/cassis/about_cassis/guidance1_1.html,2005.6.17.
  3. 難波恒雄・監訳:世界薬用植物百科事典;誠文堂新光社,2000
  4. 大庭理一郎・他編著:アントシアニン-食品の色と健康-;建帛社,2000
  5. http://www.meijifm.co.jp/foodmat/c_cassis_use.html,2005.6.17.
  6. 中村丁次・監修:最新版からだに効く-栄養成分バイブル;主婦と生活社,2001
  7. 薬用ハーブの機能研究 増補改訂版;CMPジャパン株式会社,2004