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カルシウム拮抗剤という名称について

木曜日, 8月 9th, 2007

KW:語彙解釈・カルシウム拮抗剤・calcium antagonist・カルシウムチャネルブロッカー・calcium channel bloker・カルシウム流入阻害剤・calcium entry inhibitor・分類名・高血圧・狭心症治療剤

Q:カルシウム拮抗剤とする薬効分類名が使用されている。これだとカルシウムの作用を直接抑制する意味に聞こえるがどうしてその様な命名になったのか

A:カルシウム拮抗剤は、日本標準商品分類では『872171』に分類されている。

『217』は血管拡張剤であり『1』は冠血管拡張剤である。また、添付文書上の分類標記は『高血圧・狭心症治療剤(Ca拮抗剤)』とされている。

カルシウム拮抗薬として[英]calcium antagonist及び[独]Calcium antagonistとする標記も見られるが、カルシウムチャネルブロッカー(calcium channel bloker)、カルシウム流入阻害剤(calcium entry inhibitor)とする標記も見られる。

本剤は『カルシウム拮抗薬』といわれているが、Caと直接拮抗するという意味ではなく、Ca2+ の細胞内への流入を阻害する薬物を指しており、その意味で『カルシウムイオン流入阻害剤』等の分類名が適当ではないかと考えられるが、実際には『カルシウム拮抗剤』と略記されている。

略記された経緯については、該当する資料が検索できなかったため不明であるが、標記を短縮するということで記載され始めたものが、定着したのではないかと考えられる。

[615.8.CAL:2005.1.24.古泉秀夫]


  1. アダラート添付文書,2002.9.
  2. 保険薬事典-薬効別薬価基準;じほう,2003.
  3. PDR 57Ed.,2003
  4. 医学大辞典;南山堂,1992