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アスタキサンチンについて

火曜日, 8月 7th, 2007

KW:薬名検索・アスタキサンチン・astaxanthin・アスタシン・astacin・カロテノイド・carotenoid・赤色色素・抗酸化作用

Q:健康食品中の成分として記載されているアスタキサンチンとはどの様なものか

A:アスタキサンチン(astaxanthin),C40H52O4= 596.85、融点:215-216℃。

カニ、エビなどの甲殻類に最も普通に見いだされるカロテノイド(carotenoid:黄色-赤色-紫色の水不溶性のポリエン色素)の一つ。

遊離の状態あるいはエステルとして存在するほか、蛋白質と結合して種々の色素蛋白質として存在する。

これらの色素蛋白質はかなり不安定で、加熱、有機溶媒の作用によって容易に分解して赤色に変化する。ある種の鳥の赤い羽根にも見いだされており、殆どの動物に見られるカロテノイドであるが、福寿草属のある植物の花弁にも存在する。なおアスタシン(astacin)はastaxanthinの二つのヒドロキシル基がそれぞれケトン基となった構造である。

またastaxanthinは、金魚、緋鯉、鯛等の表皮の赤色色素で、主に動物界に脂肪酸エステルの形で存在する。多くの甲殻類において遊離の形で蛋白質と結合して青色や紫色を呈するカロテノプロテイン(例:crustacyanin)と呼ばれる色素を形成している。

アルカリ溶液中では酸化を伴いアスタセン(astacene)になる。また、carotenoidといえば通例、植物性色素が多く知られているが、 astaxanthinは魚介類に豊富に含まれる赤色色素で、鮭、イクラ、鯛、キンキなどの呈する赤色はastaxanthinによるものである。

astaxanthinはこれまで着色用の食品添加物として使用されることが多かったが、1980年代の後半にastaxanthinの抗酸化作用が vitamin Eやβ-カロテンの100-1000倍あるという研究報告がされ、にわかに注目を集める機能性素材となった。その他、免疫賦活、動脈硬化改善、抗癌、抗糖尿病、美白効果などが報告されている。また、ヘマトコッカス藻を原料とする大量生産技術が開発されたとする報告も見られる。

[011.1.AST:2005.4.26.古泉秀夫]


  1. 今堀和友・他監修:生化学辞典第3版;東京化学同人,1998
  2. 田中 治・他編:天然物化学 改訂第6版;南江堂,2002
  3. 奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2004-2005