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新たに麻薬指定される脱法ドラッグ

火曜日, 8月 7th, 2007

KW:法律・規則・麻薬・麻薬指定・5-Meo-DIPT・AMT・フォクシー・Foxy・Foxy Methoxy・Dipt・5meo

Q:最近の新聞報道で、新たに麻薬に指定されると報道されていた脱法ドラッグについて

A:報道記事の内容は、

『厚生労働省は2日、インターネット上などで売買が横行している「脱法ドラッグ」のうち、「5-Meo-DIPT」と「AMT」と呼ばれる物質を新たに麻薬に指定することを決めた。ともに幻覚作用があり、特に「フォクシー」の通称で知られる「5-Meo-DIPT」は若者の間で広く売買されているという [読売新聞,第46232号,2004.12.3.]』

とするもので、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課が配布した次の文書に基づくものである。

 

平成16年12月2日

厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課

麻薬の新規指定について

1. 概要

今般、5-Meo-DIPT及びAMTの2物質を麻薬及び向精神薬取締法に基づく麻薬に指定することとし、パブリックコメントの募集を12月3 日から実施する。これらの2物質は、最近、いわゆる「脱法ドラッグ」として厚生労働省の買上げ調査、インターネット監視等でも国内での流通が確認されており、乱用による保健衛生上の危害が懸念されることから麻薬に指定し規制を行うこととするものである。

2. 新たに麻薬指定される2物質

(1)5-Meo-DIPT
化学名:3-[2-(ジイソプロピルアミノ)エチル]-5-メトキシインドール薬理作用:幻覚作用

(2)AMT
化学名: 3-(2-アミノプロピル)インドール薬理作用:幻覚作用

3. 今後の予定

これらの2物質を麻薬指定するため、以下のとおり「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」の改正を行う予定。

パブリック・コメントの募集 12月3日から1ヶ月。政令の改正 平成16年度中。

4. 今後の対策

来年度概算要求において、麻薬指定の根拠となる科学的データが乏しい脱法ドラッグについて依存性、精神毒性に関する試験を実施し、速やかに麻薬 指定するための経費を要求しているところである。

以上の経緯を受けて、平成17年3月18日各都道府県知事・地方厚生(支)局長あて厚生労働省医薬食品局長発出の薬食発第0318001号『麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令の施行について(通知)』により公布の日(平成17年3月18日)から起算して 30日を経過した日(平成17年4月17日)から施行されるものであることとされたため、4月17日以降は所持するだけで処分の対象とされる。

 

麻薬指定物質の概要

1. 名称、構造式

(1)5-Meo-DIPT
俗称:フォクシー、フォクシーメトキシ
(2)AMT
俗称:デイトリッパー

2. 作用等

トリプタミン骨格を有する幻覚剤。浮揚感、視覚・聴覚変容作用、瞳孔散大、情緒障害等の作用を示す。5-Meo-DIPTは6-10mgで3-6時間作用が持続し、AMTは20mgで12-24時間作用が持続するといわれている。

類似の化学構造をもつ物質では、エトリプタミン、DMT、DET等が麻薬に指定されている。

■5-Meo-DIPT:N,N-ジイソプロピル-5-メトキシトリプタミン (N,N-diisopropyl-5-methoxitryptamine)
化学名:5-methoxy-N,N- diisopropyltryptamine。
通称:フォクシー、Foxy、Foxy Methoxy、Dipt、5meo、キツネのメトキシ。
白色、特異な臭気を有し、嫌な味がするといわれている。本品の1回の使用量は1gで、それより僅かに多い量でも過剰状態となり危険である。本品は急激に耐性が発現する。
■AMT:α-methyltriptamine。3-(2- aminopropyl)indole
通称:IT-290、3-IT
経口によって摂取される幻覚剤で、かなり長時間に亘って幻覚作用をもたらす物質である。本品は15mg摂取で、12時間に及ぶ強力な幻覚体験を生ずる。
1.薬理作用:脳内のセロトニンと化学構造が類似しており、投与により強力な幻覚作用が発現する。
2.用途:日本では医薬品として承認されていない。ロシアにおいてうつ病の治療薬として使用されていたことがある。
3.危ぐされる健康被害:悪心、嘔吐、呼吸障害、運動失調、昏睡等が起こる。乱用を続けると、長期にわたって精神分裂等の重篤な精神障害を来すことがある
4.乱用・規制状況:幻覚発現剤として乱用者がいる。麻薬に指定されているDMTとその化学構造が酷似している。

[615.1.MEO:2005.1.11.古泉秀夫2005.4.5.改訂]


  1. http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1202-2.html,2004.12.15.
  2. 奥田 潤・他訳:合成ドラッグ;白水社文庫クセジュ,2004
  3. http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/yakuji/kansi/datudora/top.html, 2004.12.15.
  4. 薬師寺美津秀:乱用薬物密造の化学;(株)データハウス,2002