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エトポシド注の安定性

金曜日, 1月 4th, 2008

KW:物理化学的性状・安定性・エトポシド注・etoposide・VP- 16・結晶析出・ラステット注

 

Q:エトポシド注投与中の点滴ライン中に結晶を認めた。以前同様の組み合わせの化学療法メニューを行った時には、結晶の析出は認めなかった。結晶析出の理由は

 

A:etoposide(VP-16)の性状について、次の通り報告されている。

*etoposideは、白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールにやや溶け難く、エタノール(99.5)に溶け難く、水に極めて溶け難い。融点:約260℃ (分解)。

なお、etoposideの製品であるラステット注(日本化薬)の性状について、微黄色-淡黄色澄明のわずかに粘性の液であるとされている。pH: 3.5-4.5 (本剤5mLを生理食塩液500mLで希釈時)・ 3.3-4.3 (本剤5mLを生理食塩液250mLで希釈時)、浸透圧比: 約1 (本剤5mLを生理食塩液500mLで希釈時)・約2 (本剤5mLを生理食塩液250mLで希釈時)。

また、本剤投与時の注意として『100mgあたり250mL以上の生理食塩液等の輸液に混和し、30分以上かけて点滴静注する』。適用上の注意として『1.調製方法:本剤は溶解時の濃度により、結晶が析出することがあるので0.4mg/mL濃度以下になるよう生理食塩液等の輸液に溶解して投与すること。溶解後はできるだけ速やかに使用すること』とする記載がされている。

*etoposideは水に極めて溶け難く、高濃度水溶液の場合、結晶を析出する。結晶析出までの時間は、高濃度の方が早く、溶解液の種類によっても異なる。

ラステット注では、実使用例として、次の注意事項を配布している。

*稀釈後永く放置しておくと結晶が出てきますので、適切な時間で点滴静注して下さい。

希釈倍率

濃度(生理食塩水稀釈時)

結晶析出迄の最小時間 希釈液使用制限時間
100 約0.2mg/mL:1瓶を500mLに加えて稀釈 9時間 6時間以内
50 約0.4mg/mL:2瓶を500mLに加えて稀釈 4.5時間 3時間以内
40 約0.5mg/mL:2.5瓶を500mLに加えて稀釈 4.5時間 3時間以内
33 約0.6mg/mL:3瓶を500mLに加えて稀釈 3時間 2.5時間以内
25 約0.8mg/mL:4瓶を500mLに加えて稀釈 45分 30分以内
20 約1.0mg/mL:5瓶を500mLに加えて稀釈 30分 20分以内

 

その他の報告として *輸液配合後の結晶析出までの時間は、次の通り報告されている。

  0.4mg/mL 0.6mg/mL 0.8mg/mL
生理食塩液 24時間 6時間 2時間
5%-ブドウ糖 36時間 8時間 2.5時間

また、いずれの輸液で稀釈したとしても、0.6mg/mL以上の濃度で投与する際には、濃度が増すにつれて結晶析出時間が早まることが認められるので、点滴時間の設定には十分な注意が必要であるとする報告が見られる。

[014.4.ETO:2005.3.8.古泉秀夫]


  1. ラステット注添付文書,2005.2.改訂
  2. 柳沢孝次・他:エトポシド注の各種輸液稀釈後の結晶析出に関する検討;新薬と臨床,45(5):999-1002(1996)
  3. 幸道秀樹・他:エトポシド注(ベプシド、ラステット)輸液配合後の結晶析出の検討;化学療法の領域,11(6):165-168(1995)
  4. 国立国際医療センター医薬品情報管理室・編:医薬品情報,27(4): 322-323(2000)