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「パーキンソン病の治療薬と副作用」

火曜日, 5月 21st, 2013

 

KW:副作用・横紋筋融解症・パーキンソン病・パーキンソン病治療薬・悪性症候群・neuroleptic malignant syndrom・神経遮断薬悪性症候群・syndrome malin・supplements・サプリメント

Q:現在パーキンソン病の治療を受けている90歳代の女性。現在かなりの病状の進行がある。
発症当初マドパー配合錠、デプロメール錠、デパス錠、バイアスピリン腸溶錠を服用していたが、閉塞偶角緑内障の発作が発現したため、マドパー配合錠投与中止。その後代替薬としてビ・シフロール錠(0.125) 3錠/分3の処方に変更された。しかし、その後副作用としての横紋筋融解症が発現し、被疑薬として、就寝前のデパス錠0.5とデプロメール錠25の処方中止。入院による電解質の点滴により回復。
その後、12月中旬時点でビ・シフロール錠による横紋筋融解症もあるとの報告が製薬企業からされたため、主治医から経過によってはビ・シフロール錠を中止せざるを得ない。その場合、パーキンソン病に対する薬の選択の余地が無くなってしまうため、シンメトレル位しかないという見解です。国内未発売薬、サプリメント等を含めて、対応可能なものは何か無いか

現在まで服用していた薬剤の効能・効果、関連する副作用は次の通りである。

薬品名・会社名 副作用 適応
マドパー配合錠(中外)
l-dopa 100mg・benserazide HCl 25mg/錠
閉塞偶角緑内障(禁忌)。悪性症候群。 [適応]パーキンソン病、パーキンソン症候群。[作用]benserazideは脳内に移行せず、肝、腎、心臓、小腸等末梢に於いてdopamine脱炭酸酵素を阻害し、血中l-dopa濃度を高め、その脳内への移行量を増加させる。l-dopa投与量の調節を可能とし、消化器系及び循環器系副作用を軽減する。

デプロメール錠
(Meiji Seika)
fluvoxamine maleate 25mg/錠

セロトニン症候群(錯乱、発熱、ミオクローヌス、振戦)。悪性症候群。 [適応]うつ病及びうつ状態。強迫性障害。社感不安障害。[作用]serotoninの再取り込みを選択的かつ強力に阻害し、シナプス間隙のserotonin量を増加させることにより抗うつ作用及び抗不安・パニック障害作用を発揮する。尚、各種神経伝達物質受容体には殆ど親和性を示さずMAO阻害作用も示さない。

デパス錠

(田辺三菱)
etizolam 0.5mg/錠

急性狭隅角緑内障(禁忌)。悪性症候群。 [適応]①神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害。②うつ病における不安・緊張・睡眠障害。~⑤頸椎症・腰痛症・筋収縮性頭痛における不安・緊張・抑うつ及び筋緊張。[作用]視床下部及び大脳辺縁系、特に扁桃核のbenzodiazepine受容体に作用し、不安・緊張等の情動異常を改善する。

バイアスピリン腸溶錠

(バイエル)
aspirin 100mg/錠

アスピリン喘息(禁忌)。皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症。 [適応]狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害における血栓・塞栓形成の抑制。川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)。

ビ・シフロール錠
(ベーリンガー)
pramipexole hydrochloride hydrate  0.125mg/錠

パーキンソン病患者に於いて悪性症候群。

[適応]①パーキンソン病、②中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)。[作用]非麦角系の抗パーキンソン薬であり、同受容体に対する親和性とdopamine D2受容体刺激作用を示す。

シンメトレル錠
(ノバルティス)
amantadine HCl 

50mg/錠

悪性症候群。皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症。 [適応]①脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善。②パーキンソン症候群。③A型インフルエンザ感染症。[作用]黒質線条体路のドパミン作働性ニューロンにおいて、dopamineの放出促進作用、再取り込み抑制作用、合成促進作用によりパーキンソン病を軽減させると考えられる。

以上、調査の範囲では、添付文書中に副作用として横紋筋融解症の記載は無く、バイアスピリン腸溶錠以外では、『悪性症候群』の副作用が共通項として記載されていた。但し、『悪性症候群』については、次の報告がされている。

1.『悪性症候群』とは

英名・同義語:『neuroleptic malignant syndrom:NMS。神経遮断薬悪性症候群。syndrome malin。』

主に抗精神病薬服用下で起こる、高熱、意識障害、錐体外路症状(手足の震えや躯の強張り、言葉の話づらさや涎、食べ物や水分の飲み込み難さなど)、自律神経症状(頻脈や頻呼吸、血圧の上昇等)、を主徴とした副作用である。横紋筋融解症(筋肉組織の障害:筋肉の痛みなど)等の症状も見られる。

近年の発症頻度は0.2%以下と低下していとされるが、抗精神病薬は、身体疾患に附随する精神症状や救急医療など、精神科以外でも処方されることがあり、NMSに遭遇することは稀では無いとする報告が見られる。

NMSは、多くは急激な症状の変化を示す。抗精神病薬などを服用後、急な高熱や発汗、神経系の症状などが認められる場合は、NMS発症の可能性を考慮する必要がある。NMSは、放置すると重篤な転機を辿ることがあるので、迅速な対応が必要である。

あらゆる向精神病用薬は、NMSを惹起する可能性があり、他にも抗うつ薬、抗不安薬、パーキンソン病治療薬、制吐剤などの消化機能調整薬による発症も知られている。また医薬品の新規の投与や増量だけで無く、パーキンソン病治療薬の減薬による発症も報告されている。尚、抗精神病薬や抗パーキンソン病薬による横紋筋融解症はNMSとして、麻酔薬によるものは悪性高熱症として取り扱われる。

2.早期発見・早期対応のポイント

精神神経用薬(主に抗精神病薬)を服用中(特に増量、変更、中止時)、
「他に原因が無く37.5℃以上の高熱が出る」
「汗をかく」
「ぼやっとする」
「手足の震え」
「躯の強張り」
「話しづらい」
「涎が出る」
「飲み込みにくい」
「脈が速くなる」
「呼吸数が増える」
「血圧が上がる」
等が特に複数見られた場合には、直ちに医師に連絡する。

NMSが疑われる場合の治療法として、医師の判断の下、まず原因となった医薬品を同定し、医師の指示の下、これを漸減ないし中止する。NMSの診断がされることなく服薬を急激に中止することは危険な場合もある。また、一気に服薬を中断することでかえって状態の悪化を招くこともあるので、医薬品の中止や減量は症状や状態に応じて行われなければならない。

症状が強い場合には入院治療を行うが、その場合には点滴等を行い薬物の排泄を促すと共に、全身管理を行う。症状の緩和を行うために筋弛緩薬のダントロレンナトリウムを用いることもある。

1.発症頻度:最近の報告では発症頻度は0.07-2.2%とされている。但し、報告によって発症頻度にばらつきが見られる。
2.発症時期:薬剤投与後4週間以内に発症し、そのうち2/3は1週間以内に発症する。しかし、稀に数ヵ月にわたり同量の抗精神病薬を服用した後にNMSを発症することもある。また投与直後だけでなく、それまで服用していた薬剤を減量あるいは中止した直後に発症することもある
3.発症機序:脳内には、様々に種類の神経伝達経路があるが、NMSを惹起する可能性のある薬剤は、共通してdopamine神経系に作用したり影響を与えるところから、この神経系に加わる急激な変化が発症に関連していると考えられているが、未だ詳しい発症機序は解明されていない。また、精神神経用薬を服用する多くの患者のうちNMSを発症する患者はその極く一部であり、これまでに発症を促進する危険因子については種々な報告がされている。
4.発症の危険因子:下記の各因子が発症の危険因子と報告されている。
脱水
身体の著しい疲弊状態
脳神経疾患を合併している患者
過去に悪性症候群を発症した患者
遺伝的に規定される何等かの体質要因

尚、supplements関係ではパーキンソン病の予防効果があるとして、vitamin Eが挙げられている。その他、効果があると断言は出来ないが、効能の可能性が科学的に示唆されているとしてCoQ-10(coenzyme Q-10)が挙げられている。本品は特に心臓、肝臓、腎臓、膵臓に見られるビタミン様物質で、肉や魚に少量含まれている。化学的に合成することも可能で医薬品としても使用されている。また本品はスタチンの誘発による筋疾患に対し、効果があるとする報告も見られるが、評価するには科学的なdataが不足とされている。
その他、漢方薬では、パーキンソン病の中核症状では無く、周辺の諸症状の治療として『抑肝散』を支持する資料も見られる。
『抑肝散』の作用機序は、次の通り報告されている。

本剤は、以下の作用により薬理効果を示すことが示唆されている。
攻撃性抑制作用
(1)グルタミン酸放出抑制作用:亜鉛欠乏ラットに経口投与したところ、海馬細胞外液グルタミン酸濃度の上昇並びに海馬スライス標本におけるグルタミン酸神経終末開口放出が抑制された。
(2)グルタミン酸取込是正作用:チアミン欠乏下のラット培養アストロサイトにおいて、グルタミン酸取込能の低下、グルタミン酸トランスポーターのmRNA並びに蛋白の発現低下を改善した(in vitro )。
(3)セロトニン2A受容体ダウンレギュレーション作用:正常マウスに経口投与したところ、前頭前野セロトニン2A受容体発現量が低下し、セロトニン2A受容体作動薬(ジメトキシヨードアンフェタミン)誘発首振り運動が抑制された。
(4) セロトニン1A受容体刺激作用:パラクロロアンフェタミン処置ラット及び隔離ストレスマウスに経口投与したところ、攻撃性が抑制され、その作用はセロトニン1A受容体拮抗薬(WAY-100635)で消失した。また、in vitro 受容体結合試験において、セロトニン1A受容体部分刺激作用を示した。

1)高久史麿・他編:治療薬マニュアル2012;医学書院,2012
2)重篤副作用疾患別対応マニュアル第2集;(財)日本医薬品情報センター,2008
3)寺本民生・他:医薬品副作用学(第2版)-薬剤の安全使用アップデート-;日本臨床,増刊号>,2012
4)田中平三・他監訳:健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース-;同文書院,2006
5)花輪壽彦:漢方よろず相談;株式会社医学研究社,2001
6)ツムラ抑肝散エキス顆粒添付文書,2012.11.

               [065.NMS:2013.1.18.古泉秀夫]

『アナカルジン酸について』

火曜日, 5月 21st, 2013

KW:薬名検索・TDP-43・ALS患者・アナカルジン酸・アナカルディック酸・アナカルド酸・anacardic acid・カシューナッツ・勾玉・マガタマの木

Q:アナカルジン酸について

A:脳からの指令を筋肉に伝える運動神経の細胞内で、遺伝子の働きの強弱を調節する蛋白質「TDP-43」が変性し、蓄積することがALS患者の約9割で確認されているとする報告が見られる。このALS患者の細胞にTDP-43の正常な働きを補うことで知られる4種類の化合物を加えたところ、そのうちカシューナッツの殻から抽出した「アナカルジン酸」によって、変性したTDP-43が減少、TDP-43の影響で健康人より短くなった運動神経の突起の長さも2倍になり、健康な人の細胞と同じになったとする報告が見られる。

名称:アナカルド酸
英名:anacardic acid
別名:アナカルディック酸、アナカルジン酸
分子式:C22H32O3
概要:脂溶性のサリチル酸誘導体。ウルシや、ウルシ科の植物であるカシューナッツなどに多く含まれる。アナカルド酸には強い抗菌作用をはじめ複数の有益な作用のあることが知られている。カシューナッツを収穫した際の副産物となるカシューナッツ殻などから、アナカルド酸を含む「殻液」の抽出などが行われている。

『カシュー(カシューナッツ)』。 [英]Cashew、East indian almond。 [学名]Anacardium occidentale。和名:匂玉。勾玉の木。

概要:熱帯アメリカ原産の常緑樹。インドや東アフリカなどの熱帯地域で広く栽培されている。花の柄の部分が大きく肥大し、長さ5-6cmの洋ナシ形となって黄色に熟す。この部分は「カシューアップル」と呼ばれ、生食又はジャムやジュースにする。肥大した柄の先端に本来の果実がつき、長さ2-3cmのまが玉状になる。中の堅果をカシューナッツと呼ぶ。カシューナッツを通常の食品として摂取する場合はおそらく安全と思われる。妊娠中・授乳中に多量に摂取した場合の安全性は、信頼できるデータが見当たらないため避ける。また、カシューナッツの摂取によるアレルギーが多数報告されている。

§.法規・制度:日本では「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」にも「医薬品的効能効果を標榜しない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」にも該当しない。・堅果は米国では「一般的に安全と認識される物質 (GRAS) 」に分類されている。

§.成分の性質:堅果は約45%の脂質、約20%の蛋白質を含む。・果皮にはアルキルフェノール、アナカルジン酸が含まれる。

§.有効性:・メタボリックシンドロームと診断された62名 (試験群21名、平均45.7歳、南アフリカ) を対象とした無作為化比較試験において、試験食とともに63-108g/日の無塩カシューナッツを8週間摂取させたところ、血圧反射機能 (Baroreflex sensitivity) の改善が見られたが、血液凝固因子 (フィブリノーゲン、PAI-1等) には変化が見られなかったとする報告がある。

§.肥 満:・メタボリックシンドロームと診断された64名 (平均45±10歳、試験群21名、南アフリカ) を対象とした無作為化比較試験において、試験食とともに63-108g/日の無塩カシューナッツを8週間摂取させたところ、体重、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、炎症性マーカー (C反応性蛋白) 、フルクトサミン、尿酸値、血圧に変化は見られなかったとの報告がある 。

§.禁忌対象者:調査文献中に見当たらない。

§.危険情報:

1)通常の食品として摂取する場合はおそらく安全と思われる。
2)妊娠中・授乳中に多量に摂取した場合の安全性は、信頼できるデータが見当たらないため避ける。カシューナッツの摂取によるアレルギーが多数報告されており、アメリカやカナダ、オーストラリア等では、カシューナッツを含むナッツ類はアレルギー表示対象品目と定められている。
3)ナッツアレルギー患者を対象とした調査によると、ピーナッツアレルギーよりカシューナッツアレルギーで重篤なアナフィラキシーを発症する場合が多いとの報告がある。
4)カシューナッツアレルギーでは、ウルシ科食物 (マンゴー、ピスタチオ)及びペクチン、アーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、クルミなどによる交差反応性が報告されている。
5)果皮に含まれるアルキルフェノールによる接触皮膚炎が報告されている。

1)iPS使いALS新薬京大グループ有効な物質特定;読売新聞,第49023号,2012.8.2.
2)独立行政法人国立健康・栄養研究所[「健康食品」の安全性・有効性情報],2013.4.4.
3)田中平三・他監訳:健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース-;同文書院,2006

            [011.1.ANA:2013.4.4.古泉秀夫]

「嗜銀顆粒について」

火曜日, 5月 21st, 2013

KW:語彙解釈・嗜銀顆粒・しぎんかりゅう・銀親和細胞・argentaffin cell・タウ蛋白質・銀親和反応・argentaffin  reaction・カルチノイド・嗜銀反応・銀親和性

Q:嗜銀顆粒について

A:嗜銀顆粒(しぎんかりゅう)とする直接的な標記は検索できなかったが、嗜銀(細胞)腫=カルチノイド、嗜銀反応=銀親和性とする用語は確認できた。

銀親和細胞(argentaffin cell)については、「アンモニア性硝酸銀液やヘキサミン銀液などで処理した時に、銀塩を還元して、褐~黒色に染まる顆粒を持った細胞。この反応はセロトニンの存在と関係が深いと考えられている。胃腸の内分泌細胞(基底顆粒細胞)の多くは銀親和細胞である。

銀親和反応(argentaffin  reaction)<銀還元反応、嗜銀反応>。アンモニア銀などの銀塩を還元して、銀粒子を析出させる反応を云う。Fontana-Masson染色がよく用いられる。小腸クロム親和細胞、セロトニンを含むカロチノイド、メラノサイトが陽性反応を示す。→好銀反応。

好銀(性)細胞(argyrophil cell):好銀反応陽性を示す細胞。主として各種アミン、ポリペプチド産生の内分泌細胞を指す。消化管好銀細胞、膵島A細胞、下垂体好銀細胞、甲状腺C細胞、副腎髄質細胞、カルチノイドなどが含まれる。乳癌などで、カルチノイドの形態を示さずに、好銀反応を示すものがあり、好銀性細胞癌と呼ばれる。

カルチノイド(carcinoid)

<好銀性細胞腫:argyrophil cell tumor>、<嗜銀[細胞]腫:argentaffinoma>、<銀親和性細胞腫>、<腸クロム親和性細胞腫:enterochromaffin tumor>、<類癌腫:carcinoid tumor>。腸クロム親和細胞より発生する腫瘍で、原始腸管である前腸(分化して肺・胃・近位十二指腸・肝・胆・膵となる)、中腸(遠位十二指腸・空腸・回腸・右結腸)、及び後腸(左結腸・直腸)、更にその他の臓器(胸腺・子宮膣部・乳腺・腎・皮膚など)に生じ、それぞれ発生部位により分類されている。それらの病床像・予後等には多少の違いはあるが、いずれも腫瘍組織は特有な増殖像(索状・島嶼状・ロゼット状など)を示し、腫瘍細胞は均一で、原形質内に銀親和性又は好銀性反応陽性の顆粒を有し、電顕により分泌顆粒であることが証明できる。しばしば肝・肺に移転する。

その他、嗜銀顆粒について、次の説明が見られた。

嗜銀顆粒とはタウ蛋白質の異常蓄積の一種で、アルツハイマー病や神経原線維変化型認知症にもしばしば出現する。しかし、それらの疾患がないにも拘わらず、嗜銀顆粒が大量に出現し、認知症を惹起する場合が知られている。

認知症の一つのタイプにグレイン病(Grain disease)と呼ばれるものがある。Grainは小さな粒子のことで、1980年代の終わりに銀を用いた脳組織の新染色法であるGallyas-Braak(ガリアス・ブラーク染色)が考案され、脳内に銀によって染色されるGrainが出現するタイプの認知症があることが確認された。
§高齢者の認知症の中でアルツハイマー型に次いで多いとする報告が見られる。
§Grainはリン酸化されたタウ蛋白質が主成分であることが知られている。
§物忘れ、見当識障害が見られる。精神的には頑固さ、怒りっぽさが目立ってくるとする報告が見られる。

また、嗜銀顆粒性認知症(grain disease:DG)

とは、中枢神経系に嗜銀顆粒(argentaffin granules:AG)と呼ばれる構造物が出現する認知症である。高齢者では頻度の高い疾患であるが、臨床診断の指標がなく病理学的検索からの発信が急務であるとする報告が見られる。

1)最新医学大辞典 第3版:医歯薬出版,2005
2)東京都健康長寿医療センター病理解剖コラボレーション(共同研究事業),2024.8.16.

          [615.8.GRA:2013.3.27.古泉秀夫]