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『どの位取れるのか?』

木曜日, 5月 2nd, 2013

  魍魎亭主人

『消費税の増税実施の阻止』、『原発の再稼働反対・原発ゼロ』、『TPP参加反対』を主張することで何処まで票が取れるか見物だと思っていたが、衆院鹿児島3区の補選では、重要な選択基準になったとは思えない選挙結果が出ていた。更に昨年の衆議院選挙では、『TPP参加反対』で当選した諸君はいたようであるが、『原発の再稼働反対・原発ゼロ』では、これ一本で運動した総理経験者が落選しており、大衆に与えた不甲斐なさの印象を拭い去り、当選させるほどの票にはならなかったと思われる。

ところで直ちに『原発の再稼働反対・原発ゼロ』という方策を取ることが出来るのかどうか。水力発電は、新たに作るとなると膨大な経費と、住民の反対運動という阻害要件が派生する。火力発電では、使用する燃料はその多くは海外からの輸入に頼っており、足下を見られれば、価格の高騰を招き、もしイランによるホルムズ海峡封鎖が実行されれば、我が国に輸入される原油は枯渇する。輸入依存のエネルギー源に頼る限り、価格の高騰はついて回り、結局は電気料金の値上げに繋がり、庶民の財布を直撃する。風力発電も直ぐには対応できない。更には低周波によるヒトへの影響も報告されており、また渡り鳥の通路等に設置した場合、鳥の飛び込み事故等も考えなければならず、何処にでも設置すると云う訳には行かないようである。太陽光発電も、安定した電力の供給を保証するところまで行かないのではないか。

原発が全て停止している現在、特に停電も起こっていない。従って原発は要らないという論議がある。しかし、この論議は、電力の需要が現状維持、これ以上は増えないという前提条件があってのことである。新たな工場を作り、生産活動を行う。雇用の増大を図る上で、必要なことだが、電力の価格の高騰、自給率の低下が続けば、生産拠点は国外に移転すると云うことが起こりかねない。更に国内のあらゆる部署でcomputer(CP)が使用されている。電源が落ちれば、作業中のdataは消滅する。交通機関は停止し、銀行の機能は停止する。現在の我々の生活は、眼に見えないあらゆる場所でCPの恩恵を受けているのである。

夏にネクタイをしない等という程度の節電で間に合う話ではない。兎に角安全に配慮し、他の電源が確保できるまでの間は、原発の再稼働もやむを得ない。更に国内の原発だけを問題にしているが、国外にある原発も事故が起こった場合、放射性物質が飛んでくる可能性が全くないという保証もない。その意味では、より安全性の高い原発の開発を追求することも重要なことであり、使用済核燃料の廃棄方法の検討も喫緊の課題だろう。原発の廃止・解体を考えた場合でも、高濃度の放射性物質の付着した大量の廃棄物が発生する。それらをどう処理するのか、落ち着いた論議が必要なときではないのか。それを考えると、反原発で当選するほどの票を集めるのは無理なのかもしれない。

   (2013.3.24.)