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「ミグルスタットについて」

火曜日, 2月 28th, 2012

 

KW:薬名検索・ミグルスタット・miglustat・ザベスカ・Zavesca・Niemann-Pick病C型・ニーマン・ピック病C型・Gaucher病?型・ゴーシェI型

Q:ミグルスタットについて

A:ミグルスタット(miglustat)は、軽症のゴーシェ病I型の治療に使われる経口、基質抑制療法治療薬。商品名はザベスカ(Zavesca)で[アクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社]、国内未発売薬である。最近ニーマン・ピック病C型の治療にも有効という研究が発表され、欧州ではニーマン・ピック病C型の治療薬としても認可されている。
miglustat(1回100mg、1日3回 経口投与)は、グルコシルセラミド合成酵素阻害薬である。グルコセレブロシド(グルコセレブロシダーゼの基質)濃度を減少させる作用があるため、酵素補充が不可能な患者への代替療法になると報告されている。

miglustatは、Gaucher病の治療薬として使用されているが、ニーマン・ピック病C型にも有効として国内でも治験が開始された。

*効能・効果:小児例から成人例のNiemann-Pick病C型(ニーマン・ピック病C型)及び酵素補充療法が有効ではない又は継続できない成人のGaucher病?型(ゴーシェI型)。
用法・用量:Niemann-Pick病C型:1回200mg、1日3回経口投与(12歳以下の小児例へは体表面積で換算した量を投与)。Gaucher病?型:1回100mg、1日3回経口投与。

1.適応疾病の重篤性:Niemann-Pick病C型は進行性の神経症状を示し、乳児後期発症例は、発症からまもなく言葉がしゃべれなくなり2-3年で寝たきりとなる。発病から5-10年前後で死亡することが多い。若年発症では、知的退行と運動障害で発病し、5-6年で寝たきりになる。発病から10-20年前後で死亡することが多い。現在、乳児後期発症例は日本で約10名が生存し、若年型も日本で約10名が生存している。症状の進行を防ぐ有効な治療法はなく、嚥下障害や呼吸不全に対する経管栄養や胃ろう造設、気管切開と喉頭分離などの対症的な医療ケアが治療の中心となる。
Gaucher病?型は肝臓、脾臓、骨の進行性の症状を示すが、神経症状は示さない。II型とIII型は、それぞれ乳児期と小児期に進行性の神経症状で発症する。II型は急激に進行し、発病後数年で死亡する。III型は発病後5-10年で死亡する。日本では、I型が約50名、II型が10-20名、III型か20-30名存在する。酵素補充療法が承認されているが、中枢神経症状には、顕著な効果は得られていない。またGaucher病の神経症状にはmiglustatが有効であるとする報告はない。進行性の神経症状に対しては対症的なケアが治療の中心になる。

2.医療上の有用性:Niemann-Pick病C型は進行性の稀少神経難病で、これまで全く治療法がない中で、進行性の神経症状に対する初めての新しい治療薬として期待できる。
Gaucher病の中枢神経症状には効果があるという報告はなく、Gaucher 病I型で、酵素補充療法の継続が困難または酵素補充療法で効果が不十分な例に対する新しい治療薬として期待できる。

1)福島雅典・総監修:メルクマニュアル第18版日本語版;日経BP社,2007
2)「医療上の必要性に係る基準」への該当性に関する専門作業班(WG)の評価資料;厚生労働省,平成22年4月27日

 

         [011.1.MIG:2011.12.31.古泉秀夫]