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「通利について」

火曜日, 5月 8th, 2012

KW:語彙解釈・通利・通・利・精神分析・カタルシス・catharsis・通利療法・カタルシス療法

Q:精神科の図書で見られた「通利」について

A:「通」について「甬」は手桶の形。手桶は筒形で空洞のものであるから、滞ることなく通り抜けることを通と言い「とおる、ゆきわたる、いたる、かよう、あまねく」などの意味に用いる。
「利」について「禾(か)」と刀(りっとう)とを組み合わせた形。禾(穀物の類)を刃物で刈り取る形で、刈り取って儲けとすることから、「もうけ、りえき」の意味となる。また刈り取る刃の「するどい」ことから、のちすべて「するどい、すばやい」の意味となる。

以上の字義を斟酌すると「通利」は、“素早く通り抜ける”ということになる。

通利が精神分析の用語とすると、通利療法に相当するのはカタルシス(catharsis)療法ではないかとされる。抑圧されて無意識の中に留まっていた精神的外傷による凝りを言語・行為又は情動として外部に表出することによって消散させようとする精神療法の技術。浄化法。

またcatharsis(通利)療法。除反応、古代ギリシャの医学では、「病的な体液を体外へ排出する」こととされている。

1)白川 静:常用字解;平凡社,2003
2)広辞苑 第五版;岩波書店,1998

 

     [015.8.CAT:2012.4.3.古泉秀夫]