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「金庫番の誤謬」

木曜日, 1月 5th, 2012

      魍魎亭主人

甚だしく残念とも、傍迷惑とも云いようのない事件が連続して報道された。薬剤師に取っては甚だ不名誉な話である。

長崎県病院企業団は、抗精神病薬を私的流用していたとして管理下病院に勤務する薬剤師を6ヵ月の懲戒・停職処分にしたという。薬剤師は10年7月頃から11年6月に掛けて催眠鎮静剤の「ドルミカム」と「セルシン」を院内や自宅で流用していたという。薬剤師は月に4-6回ある当直のたびに催眠鎮静剤を自己投与していた。当直の仮眠で眠れず、繰り返し使っていた。使用したのはドルミカム(10mg)を152アンプル、セルシン(10mg)を1アンプル。民間のクリニックで不眠不安から錠剤の睡眠剤の処方を受けていたが、処方された睡眠剤が効かなくなったという[リスファックス,第5905号,2011.8.24]。新潟市急患診療センターに勤務する薬剤師がセンターの医薬品を無断で大量に持ち出していたことが判明した。2010年以降、大量の医薬品がなくなっており、関係者は薬剤師が買い取り業者に転売し、利益を得ていたとみている。被害額は2000万円を超えるとみられている。同センターは、市の指定管理者として市医師会が運営。市薬剤師会が市医師会と業務契約を結び、薬剤師の派遣や調剤、医薬品の管理などを担っている[新潟日報,2011.12.21]。

薬剤師は薬に関するあらゆるもの(物+情報)を管理する金庫番である。その金庫番が自分の金庫に預かる薬に手を出したのでは意味が無い。第一当直中に眠れないからといって睡眠鎮静剤を打つなどと云うことは考えられない。当直は単に泊まりに来ている訳ではなく、仕事をするために夜間病院にいると云うことなのであって、眠ることは目的ではない。眠れなければ起きていればいいわけで、単に仮眠が許されているだけである。

第一急患が来た時に、処方箋が出されたにもかかわらず、薬剤師が熟睡していて起きなかったなどと云うことがあれば、大恥を