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「レスベラトロールについて」

木曜日, 9月 1st, 2011

KW:薬名検索・レスベラトロール・resveratrol・リスベラトロール・抗酸化物質・ポリフェノール・植物エストロゲン・植物由来エストロゲン様作用物質・エストロゲン作用物質・ホルモン様物質・phytoestrogen・スチルベノイド・stilbene誘導体

Q:テレビ番組で紹介されていたレスベラトロールについて

A:TVで紹介されていたレスベラトロール(resveratrol)は、赤ワイン、レッド・グレープの皮、パープル・グレープ・ジュース、桑の実、またピーナッツに微量含まれる物質だと報告されている。その他、リスベラトロール(resveratrol)として、葡萄樹が真菌や紫外線から身を守るために産生する抗酸化物質の一つで、灰色カビ病が発生した時に感染の拡大を防ぐ物質として単離されたポリフェノール。ヒトの体内で悪玉コレステロール(LDL)を減らし、血管の炎症や血栓の形成を抑制する働きがあるとされている。また、癌細胞の成長に必要な新生血管の増殖に際して、腫瘍からの血管成長因子の放出を抑えるという報告もある。健康食品として黒葡萄葉が主に乾燥葉として市販されている。エキスを加工したものも製品化されている。

別名又は関連名:植物エストロゲン、植物由来エストロゲン様作用物質、エストロゲン作用物質、ホルモン様物質(phytoestrogen)、フィトエストロゲン、プロティキン(protykin)、レスベラトロル(resveratrols)、トランス-レスベラトロール(trans-resveratrol)、cis-resveratrol、kojo-kon。CAS登録番号: 501-36-0 。

学名:3,4′,5-stilbenetriol、3,5,4′-trihydroxystilbene、3,4′,5-trihydroxystilbene
分子式:C14H12O3、分子量228.24。

resveratrol  はスチルベノイド(stilbene誘導体)ポリフェノールの一種である。幾つかの植物でフィトアレキシンとして機能しており、また抗酸化物質として知られている。ヒトでは経口摂取した場合、代謝過程で抱合や修飾を受けるため、血漿中にresveratrolとして検出される量は非常に少ないことが報告されている。マウスなどのモデル生物・実験動物を用いた研究では、寿命延長、抗炎症、抗癌、認知症予防、放射線による障害の抑止、血糖降下などの効果が報告されている。但し、ヒトでの有効性ついては調べた文献に十分なデータが見当たらない。supplementsなどの濃縮物として摂取した場合の安全性についても調べた文献に十分な情報が見当たらない。エストロゲン様作用があるため、ホルモン感受性疾患がある場合は使用を避ける。

健常成人6名 (23-24歳、米) にresveratrol 25mgを経口摂取させたところ、血漿中濃度は摂取後1時間で最大となり、resveratrolとその代謝物の濃度は491±90 ng/mLであったが、resveratrolのみでは5 ng/mL以下であったという報告がある 。

image試験管内・動物他での評価:高カロリー食を摂取させている雄性C57BL/6NIAに0.04 %resveratrolを混餌投与したところ、インスリン感受性、運動機能を改善し、延命効果を示したという報告がある 。

危険情報:十分な情報は得られていない。通常食品の含有量以上の量が安全かどうか不明であるが、食品から摂取する量であれば、おそらく安全と思われる。supplementsなどの濃縮物から摂取した場合の安全性に関しては信頼できる十分な情報がない。・妊婦・授乳婦においても食品から摂取する場合はおそらく安全と思われる 。

禁忌対象者:エストロゲン様作用があるため、乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫などホルモン感受性疾患がある患者は禁忌。抗血小板作用があるため、外科手術患者は少なくとも手術日の2週間以内の摂取はしない 。

医薬品等との相互作用:・理論的には、抗血小板作用または抗凝血作用を示すハーブ類と併用すると、挫傷や出血のリスクが高まる。・理論的には、抗血小板薬または抗凝血薬と併用すると、挫傷や出血のリスクが高まる。・予備的な試験により薬物代謝酵素であるチトクローム (Cytochrome) P450 (CYP3A、CYP1A、CYP2E1) を阻害することが示されており、これらの酵素により代謝される医薬品の血中濃度を増加させる可能性がある。

安全性:エストロゲン様作用があるため、乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫などホルモン感受性疾患がある患者は摂取を避ける。・抗血小板作用があるため、外科手術患者は少なくとも手術日の2週間以内の摂取は避ける。

有効性:ヒトに対する有効性については、調べた文献の中に見当たらない。動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)、高コレステロール、及び癌の予防がいわれているが、科学的なdataは不十分である。血管を拡張し、血液凝固作用に対する血小板の働きを抑制する。エストロゲン(女性ホルモンの一つ)の作用を減弱するとする研究もある。炎症を軽減するとの報告もある。

サーチュイン遺伝子(sirtuin gene)との関係:sirtuinは、抗老化遺伝子とも呼ばれており、通常、飢餓やカロリー制限によって活性化する。近年、resveratrolがsirtuin geneを活性化することもわかっている。sirtuin自体は、ヒストン脱アセチル化酵素であり、sirtuinが活性化するとヒストンが脱アセチル化されてヒストンとDNAの親和力が高まり遺伝子発現が抑制される。これと反対に、ヒストンがアセチル化されるとヒストンとDNAの親和力が低くなり、通常の遺伝子発現が活発化される。飢餓のような過酷な環境下ではDNAの活動が抑制され、DNAの安定化へと変化する。これが結果的に長寿につながる。

毒性試験

TDLo (最小中毒量)
・マウス経口投与200 mg/kg (炎症)
・マウス経口投与(間欠的)140mg/kg/28日間、70 mg/kg/5週間、112 mg/kg/4週間、364 mg/kg/26週間 (死亡)
・マウス経口投与 1,176 mg/kg /28週間 (尿組成)
・ラット経口投与 15 mg/kg/15日、12 mg/kg./20日、45 mg/kg/30日 (血清組成、脂質代謝)
・ラット経口投与 560 mg/kg/8週間 (肝臓)
・ラット経口投与 1,120 mg/kg/8週間 (血圧)

1)田中平三・他監訳:健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース-;同文書院,2006
2)林 輝明・他監修:2008改訂新版 健康・栄養食品事典-機能性食品・特定保健用食品-;東洋医学舎,2008

           

  [011.1.RES:2011.6.30.古泉秀夫]