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『ルラシドンについて』

火曜日, 3月 2nd, 2010

KW:薬名検索・ルラシドン・lurasidone・SM-13496・双極性障害・躁うつ病

Q:ルラシドンの効能・効果について

A:ルラシドン(lurasidone)、SM-13496。大日本住友製薬。現在米国において第III相臨床試験中。双極性障害(うつ)への適応拡大(経口剤)。serotonin 5-HT2A・dopamine受容体拮抗作用を有する統合失調症治療薬として、日米欧で開発中とされる。双極性障害(躁うつ病)は気分の激しい高揚などが起こる(躁状態)と気持ちが落ち込んで日常行動への意欲が出難くなる(うつ状態)が交互に発現するのが特徴。欧米では統合失調症と双極性障害の適応を併せ持つ薬剤が多いことから、大日本住友製薬では既存製品に対抗して市場定着を果たすには、効能を増やす必要があると判断した。

大日本住友製薬は2009年4月双極性障害を対象とした米国内第III相臨床試験PREVAIL試験のスクリーニングを開始した。2010年度に2種の効能で申請、2012年に米国での発売を計画している。

lurasidoneは非定型抗精神病薬である。従来の非定型抗精神病薬よりも、錐体外路症状が惹起されないと報告されている。また、第三世代抗精神病薬に分類されるとする報告も見られる。

急性期の統合失調症患者を対象とした6週間投与のプラセボ対照二重盲検比較試験で、lurasidone 80mg/日投与群は、有意な差を持ってプラセボ群より高い有効性を示した。また、lurasidone投与群はプラセボ投与群より低い脱落率であり、高い忍容性を示した。

全世界規模で2,000人以上の患者に対し本剤の有用性と安全性を評価するPEARL(Program to Evaluate the Antipsychotic Response to Lurasidone)と名付けられた第III相試験プログラムが実施されていたが、2009年8月26日の報告では、PEARL 2試験が終了したとされている。また本剤80mg/日投与群は、試験終了時点においてプラセボ投与群と比較して有意に高い有効性を示した等の報告が見られる。

1)New Current,20(14):26(2009.6.20.)

2)大日本住友製薬,2009.5.21.

3)大日本住友株式会社:統合失調治療剤「ルラシドン」の第III相試験(PEARL 2試験)結果について;会社資料,2009.8.26.

[011.1LUR:2009.11.2.古泉秀夫]