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マンネンタケの薬理作用について

月曜日, 12月 24th, 2007

KW:漢方薬・マンネンタケ・霊芝草・霊芝・サルノコシカケ科・薬理作用・作用機序・抗がん作用・血栓性静脈炎

 

Q:マンネンタケには抗癌作用があるといわれているが、その作用機序と開発状況また血栓静脈炎に対する効果は報告されているか

 

A:マンネンタケ(Ganoderma japonicum Lloyd)は、サルノコシカケ科に属する植物で、霊芝草と呼称されるものである。

霊芝草のうち紫芝の成分としてエルゴステロール、有機酸(リシノレイン酸、フマル酸など)、グルコサミン、多糖類、樹脂、マンニトール等を含有し、またベタイン、γ-ブチロベタイン等のアミノ酸誘導体を含有する。

霊芝草のうち赤芝は、マンニトール、α-ミコース、ステアリン酸、安息香酸、エルゴステロール、15種のアミノ酸、4 種のペプチド及び4 種の塩基等を含有する。

霊芝草の作用として動物実験の結果として、中枢神経系の抑制作用・循環器系に対する血圧下降作用として先降後昇を示し、同時に尿量が顕著に増加する。赤芝は冠状動脈の血液流量を増加し、急性の実験性心筋虚血無酸素症に対する保護作用があることが実証されている。

また呼吸器系統に対し気管支平滑筋に対する痙攣解除作用を示し、肝臓保護作用・細網内皮系の食作用増強作用等が報告されており、白血球減少症の治療にも用いられる等の報告が見られる。

尚、霊芝草に由来する治療薬の開発についてはLZ-8(明治乳業)が見られる。

本品はサルノコシカケ科のキノコ、マンネンタケの菌体に含まれるアミノ酸110個でできた分子量12,420Da の蛋白質で、動物実験でアレルギー反応を抑制する強力な作用を確認。スギ花粉のアレルギー症や関節リウマチ等、過度の免疫反応が原因で起こる病気の治療に有望な新しい免疫調節剤であるとされている。

その他、LZ-8は糖尿病モデル動物-NODマウスに対して、発症抑制効果と治療効果を示し、実験的アレルギー反応ばかりでなく、自己免疫疾患にも有効であることが示唆された。

その他、霊芝草と癌治療の関係では、グルカンあるいは酸性蛋白多糖体で、この高分子多糖体が、サルノコシカケの胞子を培養して菌糸塊を作ることに成功して発見された抗腫瘍物質であるとする報告もみられる。

[510.FD18.038GAN][1991.11.5. ・1999.4.6.一部改訂.古泉秀夫]


  1. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典;小学館,1985,p.2731
  2. NHS- DIC治験薬データベース,1991
  3. 帯津良一・編著:がんを治す大事典;二見書房,1991
  4. 紀光助・他:新しい免疫調節剤LZ8のNODマウスへの効果;第19回日本免疫学会総会・学術集会記録,19:456(1989)
  5. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.199,1991.11.8.より転載