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「カキドオシについて」

土曜日, 11月 7th, 2015

KW:薬用植物・カキドオシ・垣通し・連銭草・レンセンソウ・癇取草・カントリソウ・金銭草・キンセンソウ・ツボクサ

Q:カキドオシについて

A:垣通し(Glechoma hederacea L.var.grandis Kudo)。シソ科カキドオシ属。多年草。畑地、樹園地、道端や庭の隅で見られる。茎はつる状で四角柱状、葉は対生、腎円形で縁に丸みのある鋸歯があり長い葉柄を持つ。茎・葉には細かい毛があり、茎や葉には芳香がある。葉腋に紅紫色の唇形花を多数付ける。開花時期は4-5月とされている。分布:北海道-九州。花が終わる頃から茎が長く伸び、垣根を潜り抜ける勢いで伸びる様子から付いた和名。坪(庭)にも生えることからツボクサとも呼ばれる。

英名:Ground Ivy。
異名:レンセンソウ(連銭草)、カントリソウ(癇取草)、キンセンソウ(金銭草:中国種)。

[薬効]薬用部は花期imageから夏期の全草。茎葉にはロスマリン酸 (rosmarinic acid) 、ウルソール酸、タンニン、ビタミンC、精油等を含む。

[用法・用量]利尿や消炎剤として利用され、黄疸、胆道結石、腎臓結石、膀胱結石に用いる。血糖降下作用が強く、タラノキ皮よりも強い作用が観察されるので、糖尿病の治療に用いることが期待できるとする報告も見られる。1日量乾燥品10-15gに水0.6Lを加えて煎じ、約半量にまで煮詰めたものを1日3回食間に服用する。小児の癇や虚弱体質の改善には乾燥した連銭草を粗く刻んで1日量5gを水0.5Lで煎じ、沸騰したら弱火で全量が2/3になるまで煮詰め、1日3回食間に服用する。ヨーロッパでは、利尿剤の他に気管支と肺の病気に用い、特に鎮咳、去痰、喘息等の発作に用いているようであるとする報告も見られる。

尚、含有量は少ないが、精油には肝毒性、堕胎作用、刺激作用をもつプレゴン (pulegone、モノテルペンに分類される無色の精油) が含まれる。連銭草には堕胎作用があるため、妊娠中の摂取はおそらく危険と思われる。また、十分な情報が見当たらないため、授乳中は使用を避ける。発作性疾患、肝疾患に罹患している人は使用禁忌等の報告が見られる。

生薬名を連銭草、薬名として癇取草、漢薬名を金銭草とする報告もある。これは子供の激情痙攣、俗にひきつけ(癇)は、子供の体内に癇の虫がいるために起こるとされ、虫封じを行ったり、寄生虫の虫下しを服ませたり、癇取草の水煎液を服ませたりした(子供の癇の虫をとる民間薬)。しかし、癇取草にひきつけを和らげる力はないとする報告がある。

1)生育旺盛 早春の「一番花」;読売新聞,第49966号,2015.3.6.
2)高橋 冬・他:散歩で見かける草花・雑草図鑑;創英社,2011
3)増村征夫:和名の由来で覚える372種-野と山・山と海辺の花ポケット図鑑;新潮社,20144)廣田伸七・編著:ミニ雑草図鑑-雑草の見分けかた;全国農村教育協会,2000
5)伊沢凡人・他:カラー版薬草図鑑;家の光協会,2003
6)独立行政法人国立健康・栄養研究所:『健康食品の安全性・有効性情報』;https://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv.html#Jw02
7)水野瑞夫・他:くらしの薬草と漢方薬-ハーブ・民間薬・生薬-新日本法規,2014

                                                    [015.9.GLE:2015.3.7.古泉秀夫]