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『添付文書等記載事項の届出等』

日曜日, 5月 4th, 2014

   魍魎亭主人

我々が添付文書に期待するのは、薬を処方する医師が、必ず使用する薬の添付文書を読むこと。更に薬を使用する際、添付文書の記載事項を順守することなのである。

所で今度の薬事法の改正で、どうなるのかと思っていたが、厚生労働省は添付文書について届出制にするという意向をお持ちのようだ。添付文書は今でも勝手に変更できる訳ではなく、変更できるだけの科学的根拠と実証資料がないと厚生労働省は変更を認めていない。この状況が届出制になれば変えられるということは、従来は日本の役人が得意とする行政指導だったから、厳しい縛りにはなっていなかったと云うことか。

届出制にすれば、受け付ける段階で十分に審査し、意見を云えるということかもしれないが、その結果医師が薬を使用するとき添付文書の記載内容を順守するということにどう繋がるのか。

添付文書の届出制に関して、書かれている文書として次のものがある。

(添付文書等記載事項の届出等)

第五十二条の二 医薬品の製造販売業者は、厚生労働大臣が指定する医薬品の製造販売をするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、当該医薬品の添付文書等記載事項のうち使用及び取扱い上の必要な注意その他の厚生労働省令で定めるものを厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

この条文を紹介した渡辺(2013)は『医薬品の添付文書は、これまで新薬の承認申請時に、臨床試験データや動物試験データ等に基づいて製薬企業が作成した「使用上の注意」を提出して、薬事審議会のチェックを受けていた。しかし、あくまで製薬企業が自主的に作成するものという位置付けであり、添付文書全体の内容やその変更等について法律による厚労省への届出義務はなかった。添付文書には、使用上の注意だけでなく、薬効薬理、医薬品の臨床データや毒性試験データのサマリー等が記載されているが、上記規定により、添付文書の内容について、厚労省のチェックを受けることとなる訳である。

今回の薬事法改正では、医療機器や再生医療に係わる規定の改正に眼が行きがちであるが、医薬品の適正使用、安全対策の一層の強化が、もう一つの目的となっている。』と云っている。

と云うことは、添付文書は“法的文書”から“法律”に格上げされたと云うことなのか。法的文書から法律に格上げされれば、添付文書の記載内容の順守は当然であり、守らなかった場合、法律違反と云うことになるのか。例えば適応外使用の問題、添付文書の記載事項を持ち出して、薬剤師が適応外使用の中止を求めても、医師は添付文書を絶対に守らなければならないものとの認識がなく、薬剤師の注意に対し、その様な注意は必要ないという対応を取られる。第一、多くの医師は、添付文書の記載事項は、守らなければならない文書だという認識が全くないということが出来る。今後はそれが改善されると云うことなのか。

1)渡辺 徹:イラストトピックス(41)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律案(その5);薬事新報,No.2806:1066(2013)

           (2014.1.15.)