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「non-envelopeウイルスについて」

金曜日, 4月 25th, 2014

KW:感染症・non-envelope-virus・非エンベロープウイルス・無エンベロープウイルス・脂質・エンベロープ・envelope・膜

Q:非エンベロープウイルスについて

A:envelopeについて、次の報告がされている。
virusの基本構造は、核酸のDNAかRNAのどちらか一方と、それを保護する殼蛋白(カプシド:capsid)である。この殼蛋白は多数のサブユニットから構成されており、螺旋状又は正20面体様の規則正しウイルスの構造-01い配列となっている。
またvirusは脂質を含むenvelopeと呼ばれる膜で包まれている場合と、envelopeを持たない小型球形virusに分類できる。
消毒薬による不活性化を受け易いか抵抗性であるかの相違点は、envelopeの有無により異なる。envelopeの有無により感染経路や消毒剤に対する感受性が異なることが知られている。envelopeを持つvirusは消毒薬に対して感受性である。多くのvirusは56℃-30分でcapsid蛋白質が変性して不活化される。

またenvelopeを持つvirusはエーテル、クロロホルム、フロロカーボン等の脂質溶剤により容易に不活化される。一方envelopeを持たないvirusは、加熱処理に対しても抵抗性であり、小型であるため、濾過による除去も困難である。
virusの感染部位は、呼吸器及び消化管である。呼吸器を感染部位とするvirusは、粘液に取り込まれ、線毛運動で咽頭にまで押し返されるため、感染するには線毛に強固に吸着できるスパイク若しくはenvelopeを有するものが有利になるとされる。influenza A virusはenvelope表面のヘマグルチニンにより気道上皮細胞に吸着し感染する。
消化管感染の防御機構には、胃酸による不活化や胆汁酸の界面活性作用等があり、脂質から成るenvelopeは、胃酸等により破壊される。そのため消化管で感染症を引き起こすvirusはenvelopeを持っていない。

 

non-envelopeウイルス

①DNA

パルボウイルスB19(パルボウイルス科:parvoviridae):飛沫感染・接触感染・経口感染。症状:発熱、頭痛、腹痛、嘔吐、全身倦怠感。伝染性紅斑(りんご病)、高度貧血、慢性骨髄不全、胎児水腫(妊娠初期感染)。:pH3-9の範囲で失活せず、比較的耐熱性(56℃-60分で失活しない)。またアルカリ、各種溶剤に耐性があり、環境中で6カ月~2年間感染性を維持。高濃度次亜塩素酸ナトリウム、ホルムアルデヒドなどを使わなければ不活化出来ない。家庭で入手可能なものとしては、二酸化塩素消毒剤、塩素系漂白剤(ブリーチ)の長時間感作等が利用できる。

アデノウイルス(アデノウイルス科:adenoviridae):飛沫感染・接触感染(流行性角膜炎)。症状:肺炎、百日咳様症状、急性下痢症、腸重積、咽頭結膜熱(プール熱)。流行性角膜炎。:熱や酸に対して比較的安定であるが、envelopeを持たないため、有機溶媒に抵抗性である。尚、本ウイルスは親油性であるため、それほど消毒薬抵抗性は強くないの報告が見られる。

ヒトパピローマウイルス(パピローマウイルス科:papillomaviridae):接触感染・母子感染。症状:乳頭状、鶏冠状の淡紅色又は褐色調腫瘍が多発。男性では陰茎の亀頭、冠状溝、包皮、陰嚢、女性では大小陰唇、膣、子宮口、男女とも肛門内、肛門周囲に好発。:酸・熱に対して比較的耐性で、parvoviridae に次いで安定である。

②RNA

A型肝炎ウイルス(ピコルナウイルス科:picornaviridae):糞便-経口感染及び血液。上水道汚染、食品汚染による集団感染有。症状:突然の発熱、悪心・嘔吐、右季肋部痛、尿濃染、黄疸。流行性肝炎、散発性肝炎。:エーテルや酸(pH3-10で安定)に抵抗性があり、60℃- 60分間の加熱で不活化されないが、70℃-30分間、100℃-5分間で不活性化される。塩素:10-15ppm-30分で失活。ホルマリン:1:4000倍、37℃-4日で失活。

E型肝炎ウイルス(ヘペウイルス科:hepeviridae):糞便-経口感染が主体。豚糞便に由来する食品、飲料水の汚染。蝦夷鹿肉の生食、獣肉の生食。症状:腹痛、食欲不振、膿尿、発熱、肝腫大、黄疸、嘔気、嘔吐。流行性肝炎。:エーテルや酸(pH3-10で安定)に抵抗性があり、60℃- 60分間の加熱で不活化されないが、70℃-30分間、100℃-5分間で不活性化される。塩素:10-15ppm-30分で失活。ホルマリン:1:4000倍、37℃-4日で失活。

アストロウイルス(アストロウイルス科:astroviridae):(SRSV:小型球形ウイルス):糞口感染・接触感染。感染量はウイルス粒子100個以上。症状:乳児嘔吐下痢症。小児胃腸炎。発熱、嘔吐、下痢を3主徴とするウイルス性胃腸炎。:酸(pH:3)に耐性、60℃-5分の加熱には耐性であるが、60℃-10分の加熱により感染性が失われる。手洗いの励行、適切な手袋の使用が有効である。

エコーウイルス(ピコルナウイルス科:picornaviridae):無症候のヒトの糞便から細胞培養で分離(腸管系細胞病原性孤児ウイルス)。症状:無菌性髄膜炎、新生児感染症、発疹症。:消毒薬抵抗性はおおむね強いと推定される。不活化にalcoholが長時間を要するという報告があるが、概ねイソプロパノールより消毒用ethanolのほうが効力が強い。またこれらenterovirusについて、低濃度のポビドンヨードが効力を示したが、繁用される高濃度では比較的長い時間を要したとの報告がある。

エンテロウイルス(ピコルナウイルス科:picornaviridae):接触感染(家族内・学校内・職場内・院内感染)。症状:急な発症。眼痛、結膜充血、眼脂が主症状。球結膜下出血を合併するのが特徴。耳前リンパ節腫脹と圧痛を認める。:熱に弱く、90℃-5秒の煮沸消毒で死滅する。患者の目や顔を触れた手で触れた物を介して感染するので、患者の触れた物や機械は80%-エタノールやalcohol含液清拭除菌用ワイパーで拭く。医療従事者の手指の消毒は前述の咽頭結膜熱と同じで、器具の消毒も同じであるが、adenovirusと異なり乾燥に弱いので、外来検査の最後に纏めて検査し、用いた器具は消毒液に浸漬後流水で洗浄し、ティッシュペーパーで拭いて乾燥しておけば翌日には滅菌されている。乾燥に弱い。
コクサッキーウイルス(ピコルナウイルス科:picornaviridae):接触感染(家族内・学校内・職場内・院内感染)。症状:多様な発疹(手足口病)、粘膜疹(ヘルパンギーナ)、神経系感染症、髄膜炎。流行性筋肉痛症(ボルンホルム病)、髄膜炎、心筋炎。:熱に弱く、90℃-5秒の煮沸消毒で死滅する。患者の目や顔を触れた手で触れた物を介して感染するので、患者の触れた物や機械は80%-エタノールやalcohol含液清拭除菌用ワイパーで拭く。医療従事者の手指の消毒は前述の咽頭結膜熱と同じで、器具の消毒も同じであるが、adenovirusと異なり乾燥に弱いので、外来検査の最後に纏めて検査し、用いた器具は消毒液に浸漬後流水で洗浄し、ティッシュペーパーで拭いて乾燥しておけば翌日には滅菌されている。乾燥に弱い。

サポウイルス(sapovirus)(カリシウイルス科:caliciviridae):糞口(飛沫感染)・接触感染。症状:小児の急性嘔吐下痢症患者(ヒト以外の動物に感染せず)。:未だ研究がされておらずnorovirusを参照する。粒子は胃液酸度(pH3)、飲料水に含まれる程度の低レベルな塩素には抵抗性を示す。また温度に対しては熱(60℃)程度では抵抗性を示すので、失活には中心温度が85℃に到達してから、少なくとも1分以上加熱する必要がある。

ポリオウイルス(ピコルナウイルス科:picornaviridae):糞口感染・飛沫・接触感染。症状:小児麻痺、脳炎。:消毒にはエタノールより次亜塩素酸、グルタールアルデヒドなどが有効である。抗体保有者は感染しない。vaccine≪有≫。

ノロウイルス(norovirus )(カリシウイルス科:caliciviridae):糞口感染・経口感染・飛沫感染も推定されている。症状:嘔吐下痢症。:現状では手洗いの励行、汚染された衣類な

ライノウイルス(ピコルナウイルス科:picornaviridae):空気感染。鼻分泌物に汚染された食器、ドアノブ等からの間接接触感染も多い。家庭内の伝播が高く、2歳以下の乳児、就学前、及び低学年の子供から感染が家庭に持ち込まれ、約50%の二次感染率を示す。症状:感冒、咽頭炎。:酸に不安定、pH6以下で不活化が起き、pH3では完全に感染性を失う。熱には比較的安定である。

ロタウイルス(rotavirus)(レオウイルス科:reoviridae):糞口感染、接触感染、飛沫感染も考えられる。症状:嘔吐、下痢(冬季乳児下痢症。小児仮性コレラ、白痢)。:手洗い、充分な加熱。吐物・糞便の始末の後、適切な消毒を要する。alcoholは無効なため、次亜塩素酸ナトリウム液などで消毒する。norovirusほど感染力は強くはないが、ほぼ同様の予防策を講じるべきである。但し、rotavirusは親油性であるため、それほど消毒薬抵抗性は強くないことが報告されている。vaccine≪有≫。

 

1)小林寬伊・編集:改訂 消毒と滅菌のガイドライン;へるす出版,2004
2)中込 治・訳:カラー臨床微生物学≪チャート&アトラス≫;西村書店,2009
3)東京都新たな感染症対策委員会・監修:東京都感染症マニュアル 2009;東京都,2009
4)大里外誉郎・編:医科ウイルス学 改訂第2版;南江堂,2000

                  [615.28.NON:2014.2.26.古泉秀夫]

 

 

 

「高山病の治療について」

金曜日, 4月 25th, 2014

 

KW:薬物療法・高山病・acute mountain sickness・AMS・高地脳浮腫・HACE・高地肺水腫・HAPE・低酸素血症

Q:今秋にチベットに行くことになったが、高地における対応について、調べて頂きたい。

A:2000mを超えて、標高が高くなる地域では、気圧は低下し、低圧低酸素環境になる。動脈血の酸素分圧が低下することによって、低酸素血症に陥ることが山酔い(acute mountain sickness:AMS)になる原因である。

高度順応には個人差があり、更には体調により発症することもあるので、既往の経験は高山病発症の参考にはならないと云われている。

高山病は重症化すれば生命に危険が及ぶ状態であることを承知しておくことが必要である。可能な限り軽症のうちに病状を判断することが必要であり、高度を下げることで回復する。中等症以上の高山病では、絶対に撤退・下山を躊躇してはならない。子供は成人よりも高山病にかかりやすく、また小さい子供は高山病で見られる食欲不振や倦怠感等の不定愁訴をうまく説明できない。また妊婦については、高地に短期間行った場合の胎児への影響について、調査した報告は見当たらないが、殆どの専門家は3600m以下にいることを勧めているとする報告がある。

標高2500m以上で山酔いは発症し、数時間から72時間以内に、頭痛(必発)、倦怠感、脱力感、食欲不振、悪心・嘔吐、睡眠障害等の自覚症状が見られる。
高山病は山酔いと、重症型の高地脳浮腫(HACE:high-altitude cerebral edema)と高地肺水腫(HAPE:high-altiude pulmonary edema)の3種類の症候群に分けられる。

高地脳浮腫は、高山病の症状に加え精神状態の変化、あるいは運動失調のいずれかを伴う場合に診断される。

高地肺水腫は、高山病の症状に加え、以下の基準を満たす場合に診断される。
自覚症状として、①安静時呼吸困難、②咳嗽、③運動能力低下、④胸部圧迫感・充満感のうち二つ以上を認め、且つ他覚所見として、①少なくとも1肺野での異常呼吸音(ラ音)聴取、②中心性チアノーゼ、③頻呼吸、④頻脈のうち二つ以上を認める場合である。

予防:急激に高度を上げないこと(高地では1日に300m以上登らないこと)とする注意がされている。つまり徐々に高度を上げることが最大の予防となる。更に可能であれば、高く登っても低い場所で眠ることが重要であるとされている。呼吸抑制作用のある睡眠薬やアルコール摂取は避けるべきである。薬による予防は代謝性アシドーシスを誘導する事で、代謝性に換気を促進するダイアモックスが使用される。

*予防的投与としては高地へ向かう1-2日前から服用開始、到着後3-5日継続する。

            ダイアモックス錠(250mg) 2錠 分2(保険外)

ダイアモックス錠(三和化学)、組成:acetazolamide、錠:250mg・末:98-102%・注:500mg/v。

作用機序:生体に存在する炭酸脱水素の作用を抑制することにより眼圧低下、中枢神経系の刺激伝達抑制、利尿などの作用を示す。炭酸脱水酵素は腎上皮、赤血球、脳、毛様体上皮等に存在し、生体内で、炭酸ガスと水から炭酸を生成する可逆反応(CO2+H2O←→H2CO3)にあずかる酵素である。acetazolamideはこの酵素を特異的に抑制する。

acetazolamideは炭酸脱水酵素抑制作用により肺胞中のHCO3-の尿中排泄を増加させるとともに、他方代謝性アシドーシスを起こし、H+を増加させる。増加したH+により呼吸中枢が刺激され、換気量が増大し、併せて低酸素・炭酸ガス換気応答が改善される。この換気量の増大により血中O2が増加し、CO2は減少し、呼吸性アシドーシス・無呼吸による睡眠中の低酸素血症が改善する。また、換気応答の改善により睡眠中の呼吸感受性が維持され、無呼吸の回数が減少する。

高山病の治療

1.軽症の場合:現地点以上に高度を上げないようにし、安静・保温を保ち、頭痛には鎮痛剤の頓用にダイアモックス錠を併用する。悪心・嘔吐には制吐剤を使用する。
1)ナウゼリン坐薬(30mg) 1回1個 頓用
2)ナウゼリン錠(10mg) 3-6錠 分3

2.中等症の場合:安静の上で保温し、酸素吸入を開始し、可能な限り下山する。携帯用加圧バッグがあれば、加圧しながら下山する。使用薬剤はダイアモックス錠を投与し、必要な場合
デカドロン錠(0.5mg)   32錠 分4(保険外)

3.重症[高地脳浮腫・高地肺水腫]:安静の上で保温。酸素吸入を開始し、即時撤退。下山する。携帯用加圧バッグがあれば、加圧しながら下山する。下山不能の場合、可及的速やかに救助を要請する。次記の処方は、当座の緊急対応であり、生命に危険が及ぶ病状であることを認識させることが必要であるとされている。

高地脳浮腫
デカドロン注(4mg) 1回8mg 6時間毎に4mg追加。静注又は筋注(保険外)。
高地肺水腫
1)アダラートL錠(20mg) 2錠 分2(保険外)
2)デカドロン錠(0.5mg) 32錠     分4(保険外)
上記処方1)又は1)及び2)の併用で治療する。

1)ダイアモックス末・錠添付文書,2011.12.改訂
2)山口 徹・他監:今日の治療指針;医学書院,2014
3)高久史麿・他監:治療薬マニュアル;医学書院,2014
4)高山病で死なないために;日本旅行医学会,2014

 

  [035.1.AMS:2014.4.23.古泉秀夫]

「長時間作用型のインスリン製剤について」

金曜日, 4月 25th, 2014

 

KW:臨床薬理・長時間作用型・インスリン製剤・インシュリン製剤・インスリングラルギン・インスリンデテミル・ランタス注・レベミル注・エキセナチド・exenatide・ビデュリオン皮下注用

Q:介護施設の通所者が1週間に1回のインシュリン注射で治療を受けていると入っているが、そのインシュリン製剤の商品名は

A:長時間作用型のインスリン製剤として、次の製剤が市販されている。

①インスリングラルギン(遺伝子組換え)       insulin glargine(genetical recombination)
[商]ランタス注(サノフィ)1000単位/10mL/v 1日1回
②インスリンデテミル(遺伝子組換え)         insulin detemir(genetical recombination)
[商]レベミル注(ノボ) 300単位/3mL/筒 1日1回
両剤は「持続型溶解インスリンアナログ製剤」に分類される製剤で、いずれも1日1回の投与で、週1回の投与のインスリン製剤は見当たらない。

糖尿病治療剤で週1回の注射で治療可能とされている製剤は、『2型糖尿病治療薬』エキセナチド(exenatide)の注射剤で商品名は『ビデュリオン(イーライリリー)』である。本品は『2mgを週に1回、皮下注射する』とされている。

本剤の有効成分であるexenatideは39個のアミノ酸からなる合成ペプチドで、ヒトGLP-1に対して53%の相同性を示すGLP-1受容体アゴニストであり、GLP-1受容体に結合してcAMPを増加させ、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進させる。薬理作用については、グルコース依存性のインスリン分泌促進作用、高血糖時における過度のグルカゴン分泌抑制作用、膵β細胞の保護作用などが考えられており、2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する。化学構造的には、exenatideはN末端から2番目のアミノ酸がヒトGLP-1のアラニンと異なりグリシンであることから、内因性ペプチド分解酵素であるジペプチジルアミノペプチダーゼ-4(DPP-4)による分解に抵抗性を示し、作用が持続する。

本剤はexenatideを生分解性のd,l-ラクチド・グリコリド共重合体(50:50)(PLG)のマイクロスフェア内に包埋することにより、1週間に1回の皮下投与で、exenatideを1日2回皮下投与する製剤(バイエッタ皮下注)と同様な効果を示すよう設計された徐放製剤である。

exenatideは化学合成されたペプチドで、トカゲ(Heloderma Suspectum)由来のエキセンディン-4(Exendin-4)と同じ39個のアミノ酸配列を有している。

GLP-1とは、グルカゴン様ペプチド-1 (Glucagon-like peptide-1) の略で、1983年に同定された消化管ホルモンである。GLP-1は消化管に入った炭水化物を認識して、消化管粘膜上皮から分泌される。1971年に同定されたGIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)とともにインクレチンと呼ばれ、膵臓からのインスリン分泌を促進するものなので、糖代謝に密接に関連する。

ビデュリオン®皮下注用2mgの有効成分であるexenatideは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1:glucagon like peptide-1)の主成分であるGLP-1(7-36)amideの対応部分のアミノ酸配列において53%の相同性を示し化学合成により製造されている。

ビデュリオン®皮下注用は、血糖値が高いときだけインスリンを出させて、血糖値を低下させる。本剤はexenatideを有効成分とする薬剤で、GLP-1と同じ作用を有し、すい臓にあるβ細胞を刺激することによって、血糖値が高いときだけインスリンを出させて、血糖値を低下させる

1)ビデュリオン皮下注用2mg 添付文書,2014.3.
2)ビデュリオン皮下注用2mgインタビューフォーム,2014.3.
3)高久史麿・他監:治療薬マニュアル;医学書院,2014

 

                     [015.4.EXE:2014.4.22.古泉秀夫.]

『T-705・fabipirabiru・アビガン錠』

水曜日, 4月 2nd, 2014

      魍魎亭主人

平成26年2月28日に行われた『厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会』において、前回2月3日に承認した富山化学の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠200㎎」(一般名:ファビピラビル;fabipirabiru)について、追加の承認条件を付けることを決めた。

日本人を対象にした薬物動態試験と追加臨床試験結果を医薬品医療機器総合機構に提出し、成績が確認されるまでは「原則製造禁止」とする。

薬物動態試験の解析結果については、今回の承認から「1年以内」に提出を求める。催奇形性のリスクを踏まえ、「パンデミック発生まで一般には流通させない」としていたシバリをさらに強化した。承認条件で追加試験結果を求めるだけでなく、製造禁止まで踏み込むのは「おそらく初めてのケース」である。

申請に用いたのが米国の試験結果で、日本人を対象にしたものがなかったこともあり、委員から懸念が示されていた。ただ、承認自体はされるため、パンデミック時など厚労相が「要請」した際は製造できる。

追加試験の結果、有効性や安全性が得られなかった場合には「再評価」指定を受け、承認取り消しに進む可能性もあるとされている。

一方、追加試験の症例を、アビガンの承認適応である「新型」あるいは「再興型」インフルエンザに限定して設定することは出来ないため、「季節性」インフルエンザの罹患者で行うことを認める方針。そのため、追加試験で有効性が示されれば、富山化学は「季節性」の適応追加を申請することが可能になる。

fabipirabiruは、細胞の中でウイルスが複製されること自体を防ぐ(ウイルスのRNAポリメラーゼに作用し、ウイルスの複製を阻害)点が特徴である。その為、妊娠中の女性などが服用すると、胎児に重い副作用を引き起こす危険性が高いことから、条件付きでの承認となった。

従って、安全性を確認するため引き続き臨床試験を行うこと、妊娠中の女性などに処方しないことを徹底し、更に新型インフルエンザが発生し、今ある治療薬が全て効かない場合に限って使用する方策を示している。

この薬に関して厚生労働省が珍しく慎重な対応を採っているが、ウイルスに効果を示す薬の開発が難しいと云うことと、慎重な取扱をすれば、息長く使用できる薬を、無制限に使用することで、短命に終わらせてはならない云う考え方によるものだろう。勿論、過去の反省に基づくものであるが、催奇形性は服用後その結果が出るまでに時間がかかり、もし胎児に奇形が発生していた場合、胎児の命に係わるばかりでなく、場合によっては母体を危険に曝す結果にもなりかねない。

また、一般に誰もが使用可能だとすると、母性を全く気遣わずに投与してしまう医師が出ないとも限らない。もし、季節性インフルエンザに使用可能になったとしても、薬剤の管理は厳密に行わなければならない。妊娠に気付かずに服用した、その結果奇形児が出生した。薬害騒動に発展等という経過をたどらないように、製薬企業は拡販に血道を上げることなく、妊娠検査が十分に行える施設を優先し、丁寧な使用を推奨することが必要だといえる。薬剤師は薬剤の管理を徹底し、間違えても妊婦に投与されないように注意することが求められる。

所で催奇形性の報告があると、誰もが女性を心配するが、本剤は男性の場合に、特に問題になることはないのか。現段階では情報量が少なくて、判断のしようがないが。

            (2014.3.6.)

「無免許はありか?」

水曜日, 4月 2nd, 2014

           魍魎亭主人

亀岡暴走事件の判決で、法律家の判断の無意味さが強調されるような判決が出た。

家族は厳罰を望んでいたが、判決は遺族の満足を得られるものではなかった。検察側が併合した事故前の2件の無免許運転について、市川裁判長は「2件は直接原因の居眠り運転との因果関係は全くない。求刑通りとすることは、事故の重大性を十分考慮してもなお、躊躇せざるを得ない」と退けた。

無免許・居眠り運転、3人の命を奪い、7人に重軽傷を負わせた。「被告の一方的な過失による事故。」としながら求刑より軽い「懲役5年以上8年以下」(求刑・懲役5年以上10年以下)という不定期刑の判断が示された[読売新聞,第49224号,2013.2.20.]が、これはどういうことか。

今回の裁判の中で、無免許運転というのはどういう判断材料になったのか。裁判長は「罪悪感なく無免許運転を繰り返し、酌量の余地は全くないが、反省して遺族に謝罪している」と述べたという。更に「少年は2昼夜遊び回り、睡眠を十分に取らず事故を起こした。遺族らの峻烈な処罰感情は重大な結果に照らせば至極当然である。」とも云っている。それなのに何故、求刑を値切るようなことをしたのか。遺族への謝罪なぞ、自分に都合が悪いと思えば、腹の内は隠して頭を下げるなどと云うことは、馬鹿でもやる。

自動車というのは、それ自体が凶器である。その凶器をヒトの通る道で運転するため、最低限の規制として運転に習熟し、更に運行する際には法律を順守すると云うことを前提として運転免許が交付されているのではないか。それならば道交法に違反して、無免許で運転したということが、即罪であり、本来車に乗るべきでない人間が車に乗り、人身事故を起こしたと云うことからいえば、無免許運転は、その事実だけで厳罰に処すると云うのが当然ではないか。

裁判長は『無免許運転は、事故の直接原因である居眠り運転との因果関係は全くない』と云ったとされるが、無免許運転を容認するとでも云うことなのだろうか。少なくとも免許を持っていないことが、車の運転時に守らなければならない種々の規則を無視し、無謀運転をさせた原因ではないのか。

日本の裁判所は、従来から無免許運転や飲酒運転を軽く見る傾向があるのではないかと思ってきたが、規則無視の結果、重大な事故を起こした場合、罰則を重くすることが、違反の予防効果を揚げるのではないか。

               (2014.3.20.)

『従軍慰安婦問題』何故検証しないのか?

水曜日, 4月 2nd, 2014

          魍魎亭主人

「慰安婦問題」に関連した河野談話の再検証を行うという安倍政権の方針に対して、韓国の朴槿恵大統領は、強行に批判しているという。しかし、河野談話の成り立ちに懸念があると云うことであれば、検証することはいいのではないか。曖昧なまま放置し、お互いに己の立場を主張し続けるというのでは餓鬼の喧嘩である。大統領に確信があるなら、反対する必要はないのではないか。河野談話を出すときに擦り合わせが行われたと云われているが、どのような内容だったのか。双方が資料を公開し、話を詰めるべきである。

少なくとも韓国は、再度、国家による金銭による補償を期待している。それに対して我が国は全ての補償問題は終了していると主張している。

新たに何か対応するとしても、それは国民の税金での対応であり、国民に対する明確な説明が必要であり、疑念を残したまま対応する訳にはいかない。そのためには出発点となった河野談話の背景を調査し、水面下に潜んでいるものがあれば、それを明らかにすることが必要だろう。

それに対して朴槿恵大統領が、再検証に異論を唱えるのは、再検証をすることで韓国に不利益な問題が明らかになり、韓国の主張が否定される可能性があるという危惧を持っていると云うことなのか。

1993年の河野談話に至る慰安婦問題の火付け役は、1991年8月11日付朝日新聞朝刊≪大阪版≫にスクープ記事を書いた植村 隆記者だとされている。

彼は韓国特派員時代に『「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」の存在をソウルで確認し、日本軍による強制連行があった』とする内容の記事を書いた。しかし、この記事には重大な事実誤認が含まれていた。先ず『挺身隊』とは、国家総動員法に基づいて工場労働者として女性を動員する制度で、初歩的な間違いだとしている資料がある。

更に植村記者が記事で言及した女性は、日本軍に強制連行されたのではなく、親に身売りされて慰安婦になっていた。植村の記事にある金学順の証言と、アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件における金学順の陳述には、異なる点も多い。また女子挺身隊と慰安婦を混同した「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』」という解説は、現在では誤りとされているが、朝日新聞社は今もって謝罪・訂正をしていない。本記事を発端として、国際社会にいわゆる従軍慰安婦問題が提起されていくこととなる等の紹介記事が見られる。

兎に角この問題では、色々な意見が飛び交っている。特に韓国はあちらこちらに銅像を建てたり、朴槿恵大統領は機会ある毎に『慰安婦』問題での発言をくり返し、日本は過去の戦争に対して反省していないと云い続けている。しかし、彼女の父親である朴正煕氏が大統領の時に日韓基本条約の締結を行い、「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長へと結びつけた。韓国はこの経済成長により最貧国グループから脱したとされているが、これは日本の支援によって達成したものではないのか。つまりこの時に戦争に関わる全ての問題を双方で終結させると云う約束をしたのではないのか。

所で重要な問題が山積している中、『慰安婦』問題しか云わない大統領とういのも、如何なものかという気がしないではないが、何時までもその問題だけに拘らっている訳には行かないのではないか。兎に角何を擦り合わせたのか、その辺の話を検証するぐらいのことはするべきではないか。

1)週刊文春:56(10):30-32(2014.3.13.)
2)週刊ポスト;第2270号:32-35(2014.3.21.)

      

(2014.3.19.)