トップページ»

『体罰』

金曜日, 2月 1st, 2013

           魍魎亭主人

大阪市立桜宮高校バスケットボール部顧問の体罰問題が思わぬ展開になり話が広がっている。教育評論家諸氏は、体罰は禁止すべしと云う論議を展開しているが、一方で教育基本法で懲戒を加えることが出来るとされていると言う意見を述べる方もいる。しかし、理由はどうあれ、絶対に殴り返されることは無いという安全圏に身を置いて振るう暴力は、私刑であって、教導のための手段などにはなりえない。

今回、学生は直接殴り返すことはしなかったが、自殺という間接的な方法で殴り返した。今迄運動部の顧問としてどれほどの実績を上げてきたのかは知らない。しかし、少なくとも教師として、今回は大きな失敗をしたということである。今後とも体罰に頼らなければ、子供達の指導、教育が出来ないというのであれば、教育者として二度と子供達の前に立つべきではないと考えるが如何か。

所で桜宮高、今回の問題を理由にして、橋下大阪市長は体育系2科の募集中止を要請、同市教委は臨時の市教育委員会議開き、体育系2科の募集は中止し、普通科に振り替えて入試を行うことを決めたという。

しかし、これも素直に考えれば、可笑しな話だ。今回の問題は学生側に責任がある訳ではない。桜宮高の体育系科を受験しようと準備をしていた学生にすれば、自らのミスの修正をするために、入試を認めないなどと云う決定は、とても納得できる話ではない。学校内で教師の暴力が止められなかったというのは、暴力を振るった教師自身の問題と知っていて知らない顔をしていた他の教師と、学校の管理者である校長と、教育委員会の諸氏である。更に云えば、市の責任者である市長も含まれるのではないか。

受験を目指している子供には責任はない。更に在校生にも責任はない。体育系の2科の募集を中止すると云うことが、即新入生の零化に繋がるなら後輩がいなくなると云うことであり、ことし即倶楽部の後補充が出来ないということになり、チームの形態が取れないと云うことになる。それでは体育系を選択した意味はなくなり、子供達を騙しにかけたことになりはしないか。

大人達の都合や面子でごり押しをすることは止めたほうがいい。それこと子供達にとっては、将来に係わる問題になるかもしれない。

          (2013.1.23.)