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『ペルメトリンについて』

火曜日, 8月 4th, 2009

KW:副作用・ペルメトリン・ペルメスリン・permethrin・蕁麻疹・疥癬・シラミ・農薬・殺虫薬・CAS-52645-53-1

Q:現在米国在住、先日来疥癬、シラミを連続して貰い、ペルメトリンのクリームで治療を受けている。2日間の使用で、夕方になると全身に蕁麻疹が出ている。

A:ペルメトリン(permethrin)を成分とする医薬品は、我国では市販されていない。

3-phenoxybenzyl(1RS)-cis-trans-3-(2,2-dichlorovinyl)-2,2-dimethylcyclopropanecarboxylate(3-phenoxyphenyl)methyl 3-(2,2-dichloroethenyl)-2,2-dimethylcyclopropanecarboxylate。CAS-52645-53-1。C21H20Cl2O3=391.3。

[性状]黄褐色-茶褐色の澄明な油状液体。alcohol、acetone、benzene、xylene等の一般有機溶媒に可溶。水に不溶。中性・酸性領域で安定。アルカリ性で不安定。

住友化学工業(現住友化学)が開発したピレスロイド系殺虫剤。

[効果]殺虫スペクトラムは広範に及びアオムシ、コナガ、ハマキムシ類など鱗翅目害虫、オンシツコナジラミ、アブラムシ類など半翅目害虫に対し、強い殺虫効果を示す。

接触作用により反応は反応は早く、knockdown(必殺打)効果が見られ、殺虫性と耐光性に富むことから残効性も優れている。特異な忌避作用がある。

花卉・果実・花木・野菜・稲などの害虫防除に用いる。家庭用・動物用殺虫剤としても使用する。昆虫神経膜のNa+チャンネルに作用する。

[製剤]農薬として20%含有水和剤、同乳剤、10%水和剤フロアブルなどがある。

[毒性]IARC3。人畜毒性は普通物。魚毒性はC類。急性毒性LD50(マウス・雄・経口):574mg/kg、(マウス・雌・経口)625mg/kg、(ラット・雄・経口):539mg/kg、(ラット・雌・経口)464mg/kg。眼、皮膚、気道を刺激。神経系に影響を与える。RTECS=急性経口毒性LD50:383mg/kg(ラット)。ADI=0.048mg/kg/日。残留基準は128作物で0.05-50ppm。

*IARC3:人に対する発癌性が分類できない物質

*RTECS: 化学物質毒性データ総覧

*ADI:acceptable daily intake。1日摂取許容量。

[身体曝露]吸入(咳)、皮膚(発赤、灼熱感)、眼(発赤、痛み)、経口摂取(灼熱感、下痢、嘔吐)。

米国ではペルメスリン(permethrin)を含有する外用剤が市販されている。Permethrin 5w/w% (Perrigo Made in USA)及びElimite Cream 5w/w%(Allergan Inc.)の2種類が確認できた。

疥癬の場合、permethrin 5%クリームを皮膚に塗って1晩おき、翌朝洗い流すことで治療できる。この治療はたいてい一度で済むが、1週間後に再度同様に行うこともある。

なお、治療が成功した後も、ダニの体は皮膚の中に暫く残るため、ダニに対するアレルギー反応が持続して、長い場合2週間程度痒みが残る場合があるとされており、疥癬での使用の場合、塗布した薬物によるアレルギー反応ではなく、ダニによるアレルギー反応ということも考えられるが、素人の判断は重篤化させる可能性もあり主治医の診断を求める多後でなければ、簡単に結論は出せない。

1)15308の化学商品;化学工業日報社,2008

2)ペルメトリン;国立医薬品食品衛生研究所, http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0312c.html,2009.4.24.

3)Anthony T.Tu・編著:毒物・中毒用語辞典;化学同人,2005

4)福島雅典・総監修/監訳:最新メルクマニュアル医学百科<家庭版>;日経BP社,2004

[065.PER:2009.4.24.古泉秀夫]