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「筋骨草について」

月曜日, 5月 4th, 2009

KW:薬名検索・漢方薬・筋骨草・キランソウ・白毛夏枯草・伏地筋骨草・フラボノイド配糖体

Q: 筋骨草について

A:筋骨草はシソ科キランソウ属の植物で、和名:キランソウ(金瘡小草)の全草とされている。本草綱目拾遺では白毛夏枯草の名称で呼ばれている。

異名:金瘡小草、雪裏青・土犀角、見血青・白頭翁・筋骨草・石灰菜・紫背金盤・破血丹[植物名実図考]、退血草・散血草、伏地筋骨草[江蘇植物名録]、白夏枯草、散血丹、白毛串、白喉草・四季春草・大葉刀欣草、青魚胆草・苦地胆・透骨消、四時春、地竜胆・活血草、雪裏開花・青石藤・朋花・野鹿銜花・天青地紅・葉下紅・爬爬草、和膠毒草。

別名:地獄の釜の蓋。

原植物:キランソウ、 Ajuga decumbens Thunb.多年生草本。高さ10-30cm。茎は四角形、基部は匍匐し、分枝が多く、全株は白色の柔毛に覆われている。分布は長江流域以南の各地。本州、四国、九州から朝鮮半島、中国に分布する。

同属植物:九味一枝蒿。A.bracteosa Wall.ex.Benthの水抽出物には、ラットの肝損傷に対する予防作用、麻酔したイヌ、ネコに対する血圧降下作用、ウサギの摘出心臓に対する興奮作用(初期には抑制)。

成分:全草にはフラボノイド配糖体及びサポニン、アルカロイド、有機酸、タンニン、フェノール性物質、ステロイドや還元糖が含まれている。主成分はルテオリンである。ステロイドの中にはシアステロン、エクジステロン、及び微量のアジュガステロンC等の昆虫変態ホルモンを含む他に、このホルモンと反対の作用を持つ一種の成分アジュガラクトンも含む。根にはキランシンが含まれている。

薬理作用

1.止咳作用:フラボノイド配糖体の止咳作用は比較的よく、2.5mg/匹を腹腔内注射した止咳作用はコデイン0.4mg/匹と類似している。

2.去痰作用:フラボノイド配糖体にはかなりの去痰作用があり、サポニンの去痰作用は顕著ではない。

3.平喘作用:フラボノイド配糖体の作用が最も強く、250mg/kgの時はアミノフィリン125mg/kgの効果に相当する。サポニンには平喘作用はない。モルモットの摘出した気管支と肺への灌流法は、白毛夏枯草のアルカリ性エーテル抽出物に気管支の平滑筋を弛緩拡張する作用があることを証明している。

4.抑菌作用:煎剤かエタノール-エーテル抽出液はin vivoでかなりの抑菌作用を示し、抽出液の中でも鉛塩で夾雑物を取り除いた後の抽出液の抑菌作用が最も強い。主に黄色ブドウ球菌、カタル菌、肺炎菌、α-型連鎖球菌、大腸菌及び緑膿菌に作用する。

5.毒性作用:酸性アルコール抽出物のLD50は、マウス(経口)254-288g(生薬)/kg、マウス(腹腔内注射)39.9-42.0g(生薬)/kg。

効果:止咳し、痰を化す、清熱する。血を涼める、腫れを消す、解毒するの効能がある。気管炎、吐血、鼻出血、赤痢、淋病、咽喉腫痛、疔瘡、癰腫、打撲傷を治す。

1)上海科学技術出版社・編:中薬大辞典 第三巻;小学館,1998
2)牧野富太郎:原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版3;北隆館,2002

[011.1.AJU:2009.4.3.古泉秀夫]