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「半夏厚朴湯の副作用」

金曜日, 7月 11th, 2008

KW:副作用・漢方薬・半夏厚朴湯・半夏厚朴湯エキス顆粒・半夏・茯苓・厚朴・蘇葉・生姜・副作用・掻痒感・過敏症

 

Q:半夏厚朴湯を服用すると痒みがでるが、その様な副作用は報告されているか

 

A:ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)の組成は次の通りである。

本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.5gを含有する。
日局半夏(ハンゲ) 6.0g
日局茯苓(ブクリョウ) 5.0g
日局厚朴(コウボク) 3.0g
日局蘇葉(ソヨウ) 2.0g
日局生姜(ショウキョウ) 1.0g

その他、添加物として、次の成分が配合されている。日局ステアリン酸マグネシウム、日局乳糖水和物、ショ糖脂肪酸エステル

本品の適応症は、『気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症』とされている。

なお、本剤の添付文書には副作用に関する記載は何等されておらず、現在までのところ配合製剤としての副作用は規制当局に報告されていないと考えられる。
個別の生薬について調査した結果は、下記の通りである。

半夏(pinelliae tuber):サトイモ科カラスビシャクのコルク層を除いた塊茎である。健胃消化薬、鎮吐薬、鎮咳去痰薬と見なされる処方及びその他の比較的高頻度で配合。副作用:記載無。

茯苓(Poria cocos):サルノコシカケ科のマツホドの菌株で、通例、外層を殆ど除いたものである。利尿薬、尿路疾患用薬、精神神経用薬、鎮暈薬、鎮痛薬、健胃消化薬、鎮吐薬、保健強壮薬と見なされる処方及びその他の処方に高頻度で配合される。副作用:記載無。

厚朴(Magnolia cortex):朴木の樹皮である。健胃消化薬、寫下薬、鎮咳去痰薬と見なされる処方及びその他の処方に配合されている。また、芳香健胃薬として、あるいは腹痛などにいずれも配合剤として用いることがある。副作用:記載無。

蘇葉(Perilae folium):紫蘇又は縮緬紫蘇の葉及び枝先である。鎮咳去痰薬、かぜ薬と見なされる処方及びその他の処方に少数例配合されている。また芳香健胃薬として胃腸薬に配合することがある。副作用:記載無。

生姜(Ginger root):ショウガの根茎である。かぜ薬、健胃消化薬、鎮吐薬、鎮痛薬と見なされる処方及びその他の処方に高頻度に配合されている。また粉末を芳香辛味健胃薬として配合剤の原料とする。副作用:記載無。

調査の結果、『半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)』の副作用を記録した資料は入手できなかったが、記載がないことと副作用がないことは同意語と成らないので、副作用と考えられる何等かの症状が発現した場合、処方医に相談すること。

 

1)ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)添付文書,2007年5月改訂
2)第十五改正日本薬局方解説書;廣川書店,2006
3)井上博之・監訳:カラーグラフィック西洋生薬;廣川書店, 1999
4)高木敬次郎・他編:和漢薬物学;南山堂,1983
5)上海科学技術出版社・小学館・編:中薬大辞典[4];小学館,1998

  [065.PIN:2008.1.28.古泉秀夫]